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発表・掲載日:2001/07/06

酵母によるヒト遺伝病(ライソゾーム病)治療薬の開発

-難病であるライソゾーム病をターゲットとした治療薬の基礎技術の確立-

ポイント

  • 酵母による安価な医薬品(酵素)生産
  • 糖鎖改変による高機能化した酵素の生産
  • 酵母に ヒト由来遺伝子を導入して ヒト遺伝病治療薬のα-ガラクトシダーゼ生産
  • マンノシダーゼ処理でα-ガラクトシダーゼの効果増強

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【 理事長 吉川 弘之 】( 以下「産総研」という )分子細胞工学研究部門【 部門長 地神 芳文 】は、キリンビール株式会社【 社長 荒蒔 康一郎 】ならびに東京都臨床医学総合研究所【 所長 荻野 忠 】(以下「都臨床研」という)との共同研究により、ヒト遺伝病(ライソゾーム病)の一つであるファブリー病の治療薬として有望なα-ガラクトシダーゼを酵母で生産するための基礎技術を確立した。

 出芽酵母特有の糖鎖(炭水化物)を産生する遺伝子を破壊した株で、ヒト由来のα-ガラクトシダーゼ遺伝子を導入することによりα-ガラクトシダーゼを生産させた。さらにマンノシダーゼを作用させることにより、ヒトのライソゾームへの輸送に必須なマンノース-6-リン酸を含有する糖鎖を多く含有するα-ガラクトシダーゼを生産させることに成功した。実際に患者由来の皮膚線維芽細胞を用いて解析したところ、マンノシダーゼ処理したα-ガラクトシダーゼは細胞内に多く取り込まれ、ファブリー病の原因物質であるセラミドトリヘキソシド( CTH )を効率良く分解していた。

 これらの技術は他のライソゾーム病の治療薬開発にも有効であり、安価かつ効率のよい治療薬が期待される。

 この成果は、7月16日より静岡県静岡市にて開催される「2001年日本糖質学会年会」で発表される。


産業への波及効果

 これまで非常に高価であったファブリー病の治療薬を出芽酵母で生産できるようになったことにより、低コストで治療薬が供給できると考えられる。また取り込み効率が比較的高いため、投与量を下げることが可能になると思われる。さらにファブリー病以外の他のライソゾーム病の治療薬も同様に生産できるため、さらなる応用が期待できる。

 本研究の一部は、通商産業省【現:経済産業省】の産業科学技術研究開発制度の一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構( NEDO )より委託を受けて、キリンビール株式会社が実施したものである。




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国立研究開発法人産業技術総合研究所