受賞

2023/10/19

令和5年度産業標準化事業表彰を受賞

令和5年10月16日に経済産業省より本年度産業標準化事業表彰の受賞者が発表され、「産業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)」を中江 裕樹(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)、廣瀬 志弘(生命工学領域 健康医工学研究部門 生体材料研究グループ 研究グループ長)、田代 秀一(元 情報技術研究部門 主任研究員)の3名が受賞しました。

また、「産業標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)」を栗山 信宏(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)、中里 哲也(エネルギー・環境領域 環境創生研究部門 上級主任研究員)、中山 敦好(生命工学領域 バイオメディカル研究部門 主任研究員)、中坊 嘉宏(情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター 主任研究員)、権太 聡(計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 研究部門長)、朝海 敏昭(計量標準総合センター 計量標準普及センター 標準物質認証管理室 室長)の6名が、「国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)」を中嶋 香奈子(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 主任研究員)が受賞しました。

併せて、国際電気標準会議(IEC)によるIEC1906賞を神垣 幸志(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)が受賞しました。

経済産業省が主催する表彰式が、令和5年10月17日に東京都千代田区の都市センターホテルにて行われました。

受賞者の写真

受賞者写真
(左から中坊 嘉宏、中江 裕樹、栗山 信宏、中山 敦好、権太 聡、廣瀬 志弘、朝海 敏昭、中里 哲也)


 

産業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)

受賞者

中江 裕樹(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)

主な功績

欧州、米国を中心に標準化が加速しているバイオ分野において、日本では経験者がいないことから試行錯誤の中、関係者とのネットワークを構築、ドラフト開発から国際会議での交渉まで、バイオテクノロジー業界の標準化のリーダーとして日本チームを牽引、バイオ分野における標準化のフロンティアを切り拓いた。さらに企業の開発活動とISOでの標準開発活動の橋渡しを行う「境界組織」;JMAC(特定非営利活動法人バイオ計測技術コンソーシアム)を立ち上げ、食品だけでなく医療、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、標準物質など関連分野のTCにて主要な役職を歴任し、また、(一社)日本バイオテクノロジー認証機構を立ち上げ、市場拡大の切り札であるバイオ分野の製品認証への道筋を拓いた。

 
受賞者

廣瀬 志弘(生命工学領域 健康医工学研究部門 生体材料研究グループ 研究グループ長)

主な功績

ISO/TC 150(外科用インプラント)/SC 7(再生医療機器)/WG 3(骨格組織用再生医療機器)のコンビーナを15年7ヶ月務め、円滑な議事進行により、各国の信頼を獲得し、再生医療評価技術で世界初となる日本提案のISO規格であるISO 19090:2018(生体活性セラミックス-多孔質材料における細胞移動の測定方法)の制定に貢献。日本製品の競争力強化が期待される。軟骨再生評価など整形外科領域の再生医療評価技術に関する提案に尽力。ISO/TC 198(ヘルスケア製品の滅菌)/WG 9(無菌操作)やISO/TC 276(バイオテクノロジー)のエキスパートとして、再生医療用細胞製造プロセスに関する日本提案に尽力し、再生医療等製品の高品質・低コスト製造による我が国の再生医療産業の創出への貢献は大。

 
受賞者

田代 秀一(元 情報技術研究部門 主任研究員)

主な功績

ISO/IEC JTC1(情報技術)/SC2(符号化文字集合)の国際議長を務め、言語・文化との調和、中立性、公開性、および共同で規格を開発する民間組織との良好な関係維持に注力しつつ委員会運営に尽力。任期中に約2万3千文字の規格追加を実現。日本の人名・地名等の表記に必要な漢字等約6万文字全てを国際規格準拠で使用可能とするための規格化を推進、ISO/IEC 10646(情報技術ー国際符号化文字集合)2019年追補版で実現し、官民での活用による大きな波及効果(同規格活用のための業界団体の設立、デジタル庁によるペースレジストリ構想)をもたらした。プログラム言語RubyのJIS規格化と我が国発のプログラミング言語として初の国際規格化を実現し、我が国の地位向上に貢献。

 

産業標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)

受賞者

栗山 信宏(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)

主な功績

ISO/TC197(水素技術)/WG10エキスパートとして、安全性評価規格であるISO 16111(可搬式ガス貯蔵装置ー可逆金属水素化物の吸蔵水素)の開発に参画、WE-NET等水素技術開発に関する日本の成果を反映。本規格に基づき国連危険物輸送勧告が改定され、水素吸蔵合金容器の貨物輸送が可能となった。また、IEC/TC113(電気・電子分野の製品及びシステムのナノテクノロジー)/WG11コンビーナ及びIEC/TC113国内委員会委員を8年間務め、我が国のリチウムイオン電池業界の意見を反映した。現在同委員会委員長、さらに、ISO/TC333(リチウム)国内委員会委員として、リチウムイオン蓄電池の技術開発・事業推進リスクを避けるべく、プレナリー会議等に日本代表団の中心メンバーとして参加し、同業界発展に資する規格開発に尽力。

 
受賞者

中里 哲也(エネルギー・環境領域 環境創生研究部門 上級主任研究員)

主な功績

六価クロム等の有害金属の精密かつ簡便な分析法を開発し、ISO/TC147(水質)およびISO/TC27(石炭及びコークス)の環境・エネルギー分野でWG82(クロム価数別分析)の設立に貢献、コンビーナ・エキスパート等を務め、これら欧州や豪州が主導するTCで我が国発の国際標準規格化(ISO 24384 クロム価数別分析法等)に貢献し、国内外の環境保全対策、地球温暖化対策、および国内の分析機器企業の市場拡大に大いに貢献。また、国内でもJIS B(一般機械)およびJIS K(化学)のエネルギー・環境分野で、発電所等のボイラ水、工場排水、および排ガスの水質・大気の質の分析規格の原案作成委員長・委員として簡便化や有害試薬低減を図った規格化および規格の普及・技術指導に貢献。

 
受賞者

中山 敦好(生命工学領域 バイオメディカル研究部門 主任研究員)

主な功績

欧州主導で作成された海洋生分解関連のISO規格の問題点を整理。大幅な試験期間短縮、再現性を向上させた新規海洋生分解試験法を開発。技術コンサル等を通じた国内企業への普及に加え、生分解に影響を及ぼす因子や海水採取時の注意点、保管についても示すことにより、多くの企業や研究機関で設備が導入され、新規生分解材料の開発への貢献は大。今まで実施困難であった実海域浸漬試験法を簡易化した新手法も開発し、ISO/TC61(プラスチック)/SC14(環境側面)/WG2(生分解度)に我が国から提案、どちらも100%の賛同率を獲得し、CD(委員会原案)18957(好気的海水生分解加速試験)及びDIS(国際規格原案)16636(水環境下崩壊度試験)のプロジェクトリーダーとしてISO化に尽力。

 
受賞者

中坊 嘉宏(情報・人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター 主任研究員)

主な功績

初のサービス産業分野規格JIS Y 1001(サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項)原案作成委員会委員長として多様な利害関係者の意見をまとめて規格策定を推進。さらにISO/TC299(ロボティクス)/WG7(サービスロボットのマネジメント)のコンビーナに就任し国際標準化を推進(FDISの取り纏め)。衝撃吸収型接触検知外装カバーの性能評価方法に関するJIS B 8451-1(サービスロボットの性能試験方法ー第一部)においても委員長として規格策定を主導。またIEC/TC125(個人用電動トランスポーター)/WG6(自動走行カーゴ電動トランスポーターの一般要求)のコンビーナに就任し、日本の関係者と予め準備した安全要求事項に関するドラフトが可決され、公道走行配送ロボットの安全規格の標準化推進にも大きく貢献。

 
受賞者

権太 聡(計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 研究部門長)

主な功績

ISO/TC201(表面化学分析)国際幹事を7年間務め、総会開催ほかTCの着実な運営の実務を主導、221件のN文書(審議や投票などのための文書)を発行、各国と日本の意見調整に奔走しながら、日本の経済・社会の発展に寄与する規格となるよう9件の規格の進行・発行を支援し、日本の国際プレゼンス向上に貢献。また、ISO/TC201/SC9(走査型プローブ顕微鏡)およびISO/TC229(ナノテクノロジー)のエキスパート、国内委員を10年以上務め、日本の意見を反映させることに努め、規格開発に貢献。JIS R 1683(原子間力顕微鏡によるセラミックス薄膜の表面粗さ試験方法)の原案作成委員として規格の骨格部分を策定し、先端部材の微細な表面粗さ評価技術の普及に貢献。2017年にISO規格化され、国内ディスプレイ産業の競争力強化に貢献。

 
受賞者

朝海 敏昭(計量標準総合センター 計量標準普及センター 標準物質認証管理室 室長)

主な功績

15年にわたり化学分析分野のISO及びJISの標準化活動に尽力。400以上の一般用試薬のJIS原案作成及び400以上のJIS規格に引用される中核JISの改正に貢献。最新技術を適切に正しく利用できるよう記載することに尽力した。また、国際整合性を考慮するとともに、国際競争力を失わないように努めた。9年にわたりISO/TMB(技術管理評議会)/REMCO(標準物質委員会)の国内審議委員会の事務局として国内産業界の意見集約と委員会運営を主導、成果普及(広報)に努めた。また、当該委員会のエキスパートとして、我が国の国際競争力向上を視野に国際文書への意見反映に尽力。標準物質生産を中心とした包括的な活動による我が国の計測の信頼性と産業競争力向上への貢献は大。

国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)

受賞者

中嶋 香奈子(情報・人間工学領域 人間拡張研究センター 主任研究員)

主な功績

ISO/TC159(人間工学)/SC3(人体計測と生体力学)のSC国際幹事サポートチームメンバーを2015年から、同SC国際幹事を2017年から担当、ISO中央事務局との折衝、SC3総会の運営、開発した国際標準29件・開発途中10件の規格の管理、親委員会への状況報告などの活動に大きく貢献している。また、ISO/CD TR 5716(人体計測データとの合成のための多変量解析ツールおよび技法)のエキスパートとして規格開発に寄与し、現在は、各国のエキスパートと連携を図りながら、規格発行に向けた原稿の開発を進めている。加えて、国内対策委員会分科会・作業部会委員を担当し、SC3の国際幹事として、国際・国内の両委員会を把握する立場である役割を果たしている。別の国内委員会では、高齢者のフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)予防に繋がる歩容(人が歩く動作を行う際の歩行のパターンやその特徴)評価に関する新規規格提案のための活動に貢献。

 

国際電気標準会議(IEC)1906賞

受賞者

神垣 幸志(企画本部 知財・標準化推進部 標準化推進室 標準化オフィサー)

推薦されたTC等

TC111(電気・電子機器、システムの環境規格)