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受賞

2020/04/09

令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が4月7日に文部科学省にて決定され、産総研から科学技術賞研究部門を1件、若手科学者賞を2件、創意工夫功労者賞を1件受賞しました。

この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として行われています。

科学技術賞 研究部門

受賞者

賞状を持つ増田 淳の写真

国立大学法人新潟大学 自然科学系 増田 淳 教授
(推薦当時 産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 副研究センター長)

業績名、概要

「太陽電池モジュールの劣化機構解明と信頼性向上に関する研究」

太陽電池モジュールの一層の信頼性向上・長寿命化が求められており、そのためには、各種材料と電子デバイスの複合体である太陽電池モジュールの劣化メカニズムの解明が喫緊の課題である。

本研究では、太陽電池モジュールの主要な劣化現象を化学分析法や微視的分析法により明確化し、そのメカニズムの解明に努めた。さらには明らかにしたメカニズムに基づき、劣化抑止法を考案し、長寿命化を実現した。

本研究により、電極腐食による太陽電池モジュールの劣化に関して、モジュール内への酢酸滞留が原因であることを明らかにし、劣化抑止のための指針を示した。また、高電圧印加にともなう太陽電池モジュールの劣化に関して、現象を総合的に説明可能なモデルを構築し、当該モデルに基づき、劣化をほぼ完全に抑止可能な手法を開発した。経験則に頼ることの多かったモジュール信頼性技術に関して、材料科学やデバイス物理の知見を融合した「モジュール科学」の学理を構築した。

本成果は、太陽電池モジュールの信頼性向上・長寿命化に資するものであり、太陽光発電所の長期安定運用が可能になること等を通じて、太陽光発電の一層の普及拡大に寄与することが期待される。

 

若手科学者賞

受賞者

賞状をもつ鮎澤光の写真
 

AIST-CNRSロボット工学連携研究ラボ 鮎澤 光 主任研究員

業績名、概要

「人型システムの力学理論と運動最適化に関する研究」

人型ロボットや人体モデルを含む人型システムの運動生成や解析に関する実用的な問題では、身体・運動・力・制御入力といった要素が複雑に絡み合った力学的問題となり、ロボティクスやバイオメカニクスの古典的な力学理論体系で扱うには限界があった。

受賞者は、多リンク機構の力学理論を再構築し、運動に纏わる様々な問題を包括的に扱える運動最適化理論を構築し、人型ロボットによる人動作再現法や人体モデルに基づく身体負荷推定法等の応用技術を開発した。それら技術に基づき、人型ロボットを用いた腰装着型ロボットの評価試験法を開発し、その日本工業規格の制定にも貢献した。

本研究成果は、人に関わる製品の製造・設計効率化、定量評価を通じたロボット支援機器の普及への貢献等、人間工学やロボット分野への産業的波及効果を持つと期待される。

 

受賞者

賞状をもつ衞藤 雄二郎の写真
 

物理計測標準研究部門 衞藤 雄二郎 主任研究員

業績名、概要

「高度な内部状態制御に基づく冷却原子スピンの研究」

レーザー冷却技術を用いて絶対零度近くまで冷やされた原子や原子集団は、量子多体系における新規物性の探索や超精密計測など、様々な研究への発展が期待されている。量子系特有の現象の観測や量子技術の実現を目指すうえでは、量子系と相互作用する環境の影響を理解し、如何にしてそれを遮断もしくは制御するかという点が重要である。

受賞者は、冷却原子系を作り出す真空装置内の磁場環境を計測し、クリーンに整備する技術を開発することで、原子の持つ微弱な磁石としての性質が織りなすパターン形成の観測や環境との相互作用により生み出されるコヒーレンス形成などの量子現象の観測に成功した。

本研究成果は、原子スピンを用いた量子技術の発展や開放量子系の理解に大きく貢献すると期待される。

 

創意工夫功労者賞

受賞者

賞状をもつ安藤弘二の写真
 

工学計測標準研究部門 安藤 弘二 主任研究員

業績名、概要

「湿式用気体流量試験装置の改良」

家庭用ガスメータなどで多く用いられている湿式ガスメータの試験で用いられる湿式用気体流量試験装置は、繰り返し発生する液面調整を目視にて行うことでばらつきが発生し、器差に影響が生じていた。そこで、液面高さ位置を数値化し記憶できる液面自動調整装置を作成した。また、湿式ガスメータの計測値の読み取り方法を見直し、自動読み取り装置を作成した。

これらの改良により、試験担当者の経験値によるばらつきの差、試験に掛かる時間を大幅に低減した。

改良した本装置の高度な測定技術が公正な取引の確保に活用され、社会の安心・安全を守る社会の基盤として役立つことが期待される。

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国立研究開発法人産業技術総合研究所