受賞者は、1993年から、アニマル・セラピーが認知症患者などに与える利点の観察から発想を得て、ロボット・セラピーを提唱し、人工知能とロボット技術により、動物型ロボットの研究開発を行った。ロボットは動物に比べて、感染症の問題が無く、噛み付き等が無いためとても安全で、餌を与える必要もないといったメリットがある。
受賞者が開発したアザラシ型ロボット「パロ」は、認知症高齢者等の患者がふれあうことにより、気分を向上し、不安を低減し、痛みを軽減し、睡眠を向上し、孤独感を低減する等の効果があり、副作用が無い非薬物療法として、それらの臨床エビデンスが示されている。
パロは、2005年に商品化され、世界30か国以上で利用されており、将来のヘルスケアに大きな影響をもたらすことが期待されている。
また、アメリカのFDAから医療機器に承認されているだけではなく、イギリスのVictria and Albert Museum、フランスのルーブル、アメリカのMuseum of Modern Artでも展示された。
受賞者は、高齢者ケアにおけるロボット・セラピーの先駆者として20年以上に渡りパロの改良を続け(現在は第9世代)、同分野で根強い懐疑論に打ち勝った。