産総研 - ニュース 受賞

2015/10/07

平成27年度工業標準化事業表彰を受賞

 平成27年10月5日に東京都千代田区の都市センターホテルにて工業標準化事業表彰式が行われ、「工業標準化事業表彰(内閣総理大臣表彰)」を野間口 有(最高顧問)が、「工業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)」を赤松 幹之(情報・人間工学領域 自動車ヒューマンファクター研究センター 首席研究員)、大蒔 和仁(情報・人間工学領域 情報技術研究部門 名誉リサーチャー)および原田 晃(エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 名誉リサーチャー)が受賞しました。

 また、「国際標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)」を桜井 博(計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 粒子計測研究グループ 研究グループ長)および山下 信義(エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 海洋環境動態評価研究グループ 上級主任研究員)が、「国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)」を雨宮 邦招(計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 レーザ放射標準研究グループ 主任研究員)および尾暮 拓也(情報・人間工学領域 ロボットイノベーション研究センター ディペンダブルシステム研究チーム 主任研究員)がそれぞれ受賞しました。

工業標準化事業表彰(内閣総理大臣表彰)

野間口 有(最高顧問)

[受賞理由]
1.内閣知的財産戦略本部にて、2003 年の第1回会合以降、国際標準化の重要性を説き、「国際標準総合戦略」の策定をはじめとして、「国際標準化の推進」を日本の重要施策である「知的財産推進計画」の主要な柱に位置付ける原動力として尽力。
2.2009 年以降、日本工業標準調査会の会長として、日本の国際標準化活動の陣頭指揮をとり、国際標準化機関の日本人会長・副会長の就任や日本人国際幹事数の増大を実現するとともに、IEC(国際電気標準会議)の適合性評価評議会での日本の常任委員化を実現するなど国際標準化活動における日本の地位向上に大きく貢献。国内においても、国際標準化アクションプランの策定やその実行、標準化官民戦略会議の活動を通じて、日本の国際標準化活動のさらなる推進をけん引。
3.2014 年には、IEC 大会の日本開催(IEC 東京大会)を 15 年ぶりに実現。国内外約 2,600 名の参加者を得て、シンポジウム、展示会、テクニカルビジット等の従来にない取り組みにより日本の技術力と国際標準化活動への取り組みを世界に強くアピールし、日本のプレゼンスを向上させるなど、IEC 東京大会組織委員会委員長として IEC 東京大会を成功裏に開催させた功績。

工業標準化事業表彰(経済産業大臣表彰)

赤松 幹之(情報・人間工学領域 自動車ヒューマンファクター研究センター 首席研究員)

[受賞理由]
 ISO/TC22(自動車)/SC13(人間工学)/WG8(ITS機器のヒューマンインタフェース)において警報情報の統合の共同議長(コンビナ)を9年務め、標準策定を主導、新技術の普及に貢献。日本工業標準調査会標準部会消費生活技術専門委員会臨時委員を9年務め、人間工学専門家の立場から、多くの人にとってわかりやすく使いやすいものとなるように、数多くのJIS策定に貢献。また、各種標準化研究を統括し、アクセシブルデザイン(高齢者・障害者対応)規格や映像の生体安全性に係る数々のISO規格発行に尽力。
 

大蒔 和仁(情報・人間工学領域 情報技術研究部門 名誉リサーチャー)

[受賞理由]
 日本工業標準調査会情報技術専門委員会委員長として、わが国の情報技術のJIS化に貢献。またISO/IEC JTC1国内技術委員会の委員長を務め、多岐にわたる技術の国内意見の集約を図るとともに、JTC1の年次総会では、日本代表団長を務め日本の意見の反映に尽力。また、JTC1/SC2(符号化文字集合)国内専門委員会などの複数の委員会の委員長を務め、文字コードの標準化を推進。
 

原田 晃(エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 名誉リサーチャー)

[受賞理由]
 ISO/TC147/SC2/WG67(海水のpH)のコンビナを務め、「海水中のpH高精度測定法」について日本から提案、規格化を主導するとともに、同SCのWG54(海洋中のアルカリ度測定)においてもコンビナ補佐を務め、CCS技術による海底下地下帯水層への二酸化炭素貯留による海水への影響について、より高感度のモニタリングの実現に貢献。さらに、日本工業標準調査会(環境・資源循環専門委員会)の臨時委員を務め、環境分野に資するJISの制定・改正に関わり、わが国の環境対策の向上に大きく貢献。

国際標準化貢献者表彰(産業技術環境局長表彰)

桜井 博(計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 粒子計測研究グループ 研究グループ長)

[受賞理由]
 気中ナノ粒子計測技術の専門家として、自身の研究成果を生かし当該分野の国際標準化をリード。ISO/TC24(粒子特性評価およびふるい)/SC4(粒子特性評価)/WG12(エアロゾル粒子の電気移動度分析および個数濃度計測)において、エキスパート、共同コンビナ、プロジェクトリーダーとして規格作成を主導。ISO/TC229(ナノテクノロジー)やISO/TC146(大気の質)/SC2(作業環境)における複数のWGにおいてもエキスパートを務め、急速に利用分野が広まりつつある当該計測技術の発展と普及に大きく貢献。
 

山下 信義(エネルギー・環境領域 環境管理研究部門 海洋環境動態評価研究グループ 上級主任研究員)

[受賞理由]
 ISO/TC147(水質)/SC2(物理的・化学的・生物的方法)/WG56(PFOSおよびPFOA)において、「水中のペルフルオロオクタンスルホン酸およびペルフルオロオクタン酸試験方法」を日本から提案、コンビナとして規格化を主導し、国際的な規制の議論を踏まえて国際規格を制定。また、ノニルフェノールや揮発性環状メチルシロキサンなど、水質の環境管理を行う上で重要となる化学物質の分析技術に関する国際標準化活動において、コンビナ補佐やエキスパートを務めるなど幅広く貢献。

国際標準化奨励者表彰(産業技術環境局長表彰)

雨宮 邦招(計量標準総合センター 物理計測標準研究部門 レーザ放射標準研究グループ 主任研究員)

[受賞理由]
 光測定に関する国家計量標準を研究開発してきた専門性を生かし、IEC/TC86(ファイバオプティクス)/WG4(光測定器校正)のエキスパートを務め、IEC規格への日本提案の反映に尽力。特にIEC62522:2014 Calibration of tuneable laser sources(波長可変レーザ光源校正方法)ではプロジェクトリーダーを務め、NWIP(新業務項目提案)採用から国際規格化への進展を図るとともに、国内委員会にも参画して翻訳JIS化等の整備にも貢献。今後のさらなる活躍が期待される。
 

尾暮 拓也(情報・人間工学領域 ロボットイノベーション研究センター ディペンダブルシステム研究チーム 主任研究員)

[受賞理由]
 ISO/TC184(オートメーションおよびインテグレーション)/SC2(ロボットおよびロボティックデバイス)のWG7(サービスロボットの安全性)におけるISO13482(サービスロボットの安全要求事項)の制定において、機械安全および機能安全の専門家として貢献。また、日本提案に基づき現在WG7で審議中の生活支援ロボットの安全関連試験方法では、プロジェクトエディターとして貢献。今後のさらなる活躍が期待される。


受賞者写真
左から、大蒔 和仁 名誉リサーチャー、尾暮 拓也 主任研究員、桜井 博 研究グループ長、野間口 有 最高顧問、原田 晃 名誉リサーチャー、赤松 幹之 首席研究員(佐藤 稔久 研究チーム長が代理出席)、山下 信義 上級主任研究員、雨宮 邦招 主任研究員