産総研 - ニュース 受賞

2009/05/11

平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

 4月14日虎ノ門パストラルにて、平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞・若手科学者賞)の表彰式、4月13日産業技術総合研究所つくばセンターにて平成21年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)の伝達式が行われました。

 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とすることを趣旨として、文部科学省が主催しているものです。

塩谷文部科学大臣ご祝辞の写真
  塩谷文部科学大臣ご祝辞

開発部門

エレクトロニクス研究部門 相浦義弘主任研究員

「超高真空用高精度冷却試料ゴニオメーターの開発」

 超高真空中において広範囲の温度制御可能な試料駆動装置の開発を行い、装置の小型化や装置の温度変化に伴う歪の課題を解決するために可動式動力伝達機構を開発し、広範囲での温度制御および高精度回転制御の両立に成功した。また、本装置を国内の主要な研究施設への普及を積極的に進めることで、超精密測定技術等の新規測定手法の開拓を行い、国内の基礎科学研究の飛躍的な向上に貢献した。

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計測標準研究部門
    日置昭治研究室長、大畑昌輝研究員、衣笠晋一研究室長、松山重倫研究員

「グリーン調達対応プラスチック標準物質の開発」

 欧州RoHS指令等の環境規制に対応するグリーン調達のための重金属分析用9種類と臭素系難燃剤分析用2種類のプラスチック標準物質の製造法および濃度決定法の開発を行い、認証標準物質として頒布を開始した。これにより、認証標準物質のほとんどないプラスチックメーカーや分析試験機関に標準物質が供給され社会へ貢献した。

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研究部門

生産計測技術研究センター
    秋山守人研究チーム長、上野直広研究チーム長、 田原竜夫主任研究員、岸和司主任研究員、野間弘昭主任研究員

「窒化アルミ薄膜の圧電特性の解明と振動センサの研究」

  AlN薄膜を用いた量産車用の燃焼圧センサや、超高温用アコースティックエミッション(AE)センサ、無拘束生体情報計測用センサの研究開発を行っているが、積層構造によってローカルエピタキシャル現象を利用すること等により、金属電極上でも高い圧電性を示すAlN薄膜の作製に成功した。

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情報技術研究部門
    関口智嗣研究部門長、田中良夫主幹研究員、中田秀基主任研究員

「科学技術計算用グリッドミドルウエアの研究」

 グリッドコンピューティングにおいて、グリッド上での遠隔手続き呼び出しに基づくプログラム方法であるGridRPCを提唱し、また、グリッドミドルウェアNinf-Gを開発・公開した。これにより、従来技術では不可能であったグリッド上での大規模長時間実行アプリケーションの実装を可能とし、大規模計算資源を必要とする様々な科学技術分野の発展に貢献した。

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計測標準研究部門 
    高辻利之副研究部門長、尾藤洋一主任研究員、大澤尊光主任研究員

「世界最高精度の平面度標準実現のための研究」

 従来にない低ノイズ・低ひずみな画像が得られる大口径平面度干渉計を設計・製作し、これらの技術開発により、国際的認証を取得した。さらに、産業界への供給の際に必要な不確かさの算出方法が従来抱えていた矛盾を解決する理論を構築し、計量法校正事業者登録制度を立ち上げ産業界への標準供給を開始した。

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若手科学者賞

人間福祉医工学研究部門 中川誠司主任研究員

「骨導超音波知覚の解明と新型補聴器への応用に関する研究」

 脳磁界計測によって骨導超音波知覚の存在を客観的に証明すること等で,ほとんど未解明であったその知覚特性および神経生理メカニズムを明らかにし、重度難聴者のための新型補聴器(骨導超音波補聴器)の開発に取り組んでいる。重度難聴者のための補聴器として世界初の試みであり,近い将来の実用化にむけた開発が期待されている。

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脳神経情報研究部門 小村豊主任研究員

「初期知覚系による情報の選択・統合の研究」

 ヒトを含め、生物が、その場、その時に応じて、ふさわしい行動をとるためには、異なる情報の選択と統合が、不可欠である。本研究は、神経科学的手法を使って、その計算機構が、当時注目されていなかった視床(初期知覚系)に潜んでいることを、世界に先駆けて証明した。この事実は、生物が、環境の変化にすばやく適応するために、合目的であり、大脳皮質、なかでも連合野に高次機能が宿ると考えられていた通説に、一石を投じた。

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創意工夫功労者賞

計測標準研究部門 福田健一研究員

「密度浮ひょう用衡量法校正装置の改善」

 産総研物性統計科流体標準研究室によって考案・製作されたトリデカン液(密度及び表面張力が安定している)を校正用液体として用い、「密度浮ひょう用衡量法校正装置」を改善し、ピクノメータ法での密度浮ひょう校正方法に比べて一桁以上校正の不確かさを小さくすることができ、かつ、非常に短期間(従来の1/10程度)に校正を行うことが可能となった。

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地質調査情報センター 渡邉和明主査

「地質図類メタデータ作成とデータベース公開の考案」

 産総研がこれまでに発行してきた地質図類についてのメタデータ(データのタイトル、発行元、発行年月日、緯度・経度などの位置、形態、入手先などを記述したデータ)を整備し、産業技術総合研究所の研究情報公開データベース上の「地質情報総合メタデータ(日本版)」というデータベース上でそれらのメタデータを整備・公開することにより、出版物などの貴重な成果の普及・活用に寄与している。

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