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お知らせ記事2006/07/01

産総研が九州大学伊都キャンパスに「水素材料先端科学研究センター」を設立

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、国立大学法人 九州大学【総長 梶山 千里】(以下「九州大学」という)との連携のもと、平成18年7月1日付けで、九州大学伊都キャンパスに「水素材料先端科学研究センター」(研究センター長:村上 敬宜 九州大学理事・副学長)を設立しました。本研究センターは、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構が、「新エネルギー技術開発プログラム」の一環として平成18年度から実施する「水素先端科学基礎研究事業」に参加する予定です。

 燃料電池は、新エネルギー技術開発プログラムのキーテクノロジーです。その燃料である水素を高圧化または液化した状態で輸送・貯蔵する場合の水素や周囲の材料の物性については、いまだ国際的にも知見の集積が乏しい状況です。なかでも、高圧水素または液化水素と接触する金属材料の水素脆化(水素が材料中に侵入することによって金属材料が脆くなる現象)やトライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑現象)の諸問題のメカニズムは、水素を長期間、安全に利用するために早急に解明しなければなりません。

 産総研と九州大学は、水素を安全・簡便に利用するための指針を産業界に提供することにより、水素社会到来に向けた基盤整備を行うことを目的として、以下の研究開発を推進します。

[1] 高圧水素・液化水素による材料の脆化や疲労強度特性の低下のメカニズム解明と対策
[2] 水素環境下でのトライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑現象)の諸問題のメカニズム解明
[3] 高圧化・液化した状態における水素物性の基本原理の解明及び対策検討
[4] これらの諸現象のコンピュータによるシミュレーション技術の開発

 九州大学は、伊都キャンパスに「水素利用技術研究センター」を設置し、水素利用社会の実現を目指した「水素キャンパス構想」を進めております。また、伊都キャンパスは、福岡水素利用技術研究開発特区の認定を受けております。産総研「水素材料先端科学研究センター」を、この伊都キャンパス内に設立し、産総研九州センター(所長:伊ケ崎 文和)管内の福岡西サイトとして位置づけ、研究活動を行います。これにより、産総研と九州大学は、連携・協力をより一層促進し、「新エネルギー技術開発プログラム」の目的達成に向けて研究を推進します。