お知らせ

お知らせ記事2011/03/22

産業技術総合研究所と大阪大学が連携・協力の推進に関する基本協定を締結

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下、「産総研」という)と国立大学法人 大阪大学【総長 鷲田 清一】(以下、「大阪大学」という)とは、2011年3月22日、連携協力の推進に係る協定を締結します。

 産総研は1882年に創立された地質調査所をはじめとする産業技術系の旧国立研究所群を統合して2001年に発足した研究機関で、「持続的発展可能な社会の構築、技術を社会へ」という理念のもとに、世界を先導する研究開発を推進し、我が国の産業競争力強化と持続発展可能な社会の実現のため基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究を実施しています。

 一方、大阪大学は1931年、大阪帝国大学として創設以来、その精神的源流である適塾と懐徳堂の学風を継承しつつ、合理的な学知と豊かな教養を究めることを通じて、世界に冠たる知の創造と継承の場となることを目指しています。そのために、研究における「基本」と「ときめき」と「責任」を強く意識しながら、基礎研究に深く根を下ろし、かつ学知の新しい地平を切りひらく先端的な研究を推進しています。

 産総研と大阪大学は、これまでにも共同研究等により各種研究プロジェクトを推進するなど、先端的研究・教育を連携して進めてきました。今般、「学」の中核に位置付けられる大阪大学と、この「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研が協定を締結し、科学技術立国にとって必要不可欠な産官学連携をより強固にすることで、優れた「学」の成果の効果的な社会還元を図り、地球規模で拡大しつつある諸問題の解決に大きく貢献します。


1.協定の目的

(1) 「学」の中核に位置付けられる大阪大学と、「学」の成果を「産」に橋渡しする位置にある産総研の連携による相乗効果で、研究成果を活用した社会への貢献をさらに加速させます。
(2) 独立行政法人と国立大学法人という異なる基盤とその特色を生かし、研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学・技術の高度化を図ります。
(3) 人間と機械の融合領域、情報研究の産業応用分野、理工学と医学の連携分野等における共同研究、産官学連携による産業振興、科学技術立国を目指した基礎学術研究などにおいて、研究・教育・社会貢献の迅速な推進を図ります。
(4) 大型研究プロジェクトなどの先端的研究および教育をさらに精力的に推進しうる学術的土壌を醸成します。

2.主な連携内容

(1)研究分野における協力

①人間と機械の融合領域における共同研究

 21世紀型の健康な暮らしに貢献するライフ・イノベーションによる産業変革が強く求められています。大阪大学と産総研は、ロボットなどの知能機械システムや人間を科学するライフサイエンスについて長年にわたる研究実績を有しており、双方の連携を一層推進し、新しい融合領域を創出し、成果の社会への還元を進めます。

②情報研究の産業応用分野における共同研究

 情報技術はあらゆるものづくりの基盤となっており、これを強化し拡充することは我が国の産業振興に欠かせません。産総研と大阪大学は、組込みシステム技術の進展・普及の観点から、産業界の人材育成のための「組込み適塾」活動を連携して進めてきました。今後は、相互交流によりこの分野の基礎研究を推進するとともに、産業基盤の拡充に貢献できる連携体制を構築します。

③理工学と医学の連携分野における共同研究

 産総研と大阪大学には、ナノバイオテクノロジー、炭素材料、高分子科学、生物工学などの理工学分野での先端的研究成果が蓄積されており、これらの基礎的な研究を、創薬基盤技術、診断技術、医療機器などの開発に結びつけるための連携研究体制を構築し、安全・安心な生活環境の創出につとめます。

(2)国際連携および産官学連携・人材育成等における協力

 急速な技術革新の進む現代において、わが国と世界との連携協力が重要です。産総研と大阪大学は、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどの大学・研究機関との連携を協力して進めることにより、我が国の研究水準の向上とその成果の産業展開を目指します。

 大阪大学は長年にわたり優れた人材を社会に供給しており、一方、産総研は産業人材育成への貢献をミッションの1つとしています。両機関は、人材交流・研修を実施するとともに、優れた人材の供給という視点から、産業界の協力を得ながら効果的な共同事業を策定いたします。

 以上の共同研究・連携事業の展開を通じて、オープンイノベーションシステムの構築や産業競争力の強化にも寄与します。

補足説明資料

連携体制図