発表・掲載日:2007/06/06

地質情報の検索システムと地質図データベースを公開

-地質情報インデックス検索システム(G-INDEX)と統合地質図データベース(GeoMapDB)の開発-

ポイント

  • 地質情報の総合的な検索システムが完成
  • 各種の地質図を高度に利用するデータベースを公開
  • 両システムを中核として、地質調査総合センターのデータベースを体系化


概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)地質調査総合センターは、産総研が公表している大量の地質情報を有効に活用してもらうことを目的として、地質情報を総合的に検索する地質情報インデックス検索システム(G-INDEX)(図1)と、各種地質図をインターネット上で高度に利用することができる統合地質図データベース(GeoMapDB)(図2)を開発し、公開しました。この両システムは、産総研の地質情報に関する基幹データベースの一つであるとともに、その検索システムと位置付けることができます。

図1
図1 現在公開中のG-INDEXのトップページ
http://www.aist.go.jp/RIODB/GINDEX/GSJ/index.html

図2
図2 統合地質図データベース(GeoMapDB)のトップページ
http://www.gsj.jp/researches/geodb/geodb-info01.html


開発の社会的背景

 産総研地質調査総合センター(旧地質調査所)では、これまで、研究の成果を紙やCD-ROMを媒体とした出版物や、インターネット・データベースとして公表してきましたが、これらの出版物・データベースは、それぞれが独立して公開されてきたため、総合的に検索したり、相互に重ね合わせて解析をしたりするには難しい面がありました。

 しかし、近年では、地質情報の標準化のための仕様がJIS化される等、地質情報の統合化を進めやすい環境が整備されたほか、インターネット上での地図データ処理技術(WebGIS技術、Google Earthの普及)の目覚ましい進歩により、各種のデータベース・数値地質図類をインターネット上で総合的に検索したり、地質図を高度に利用するデータベースを構築したり、あるいは他機関の地球科学データベースと連携するようなことが可能となりました。

 G-INDEXやGeoMapDBが想定する用途は、専門家に対しては、新たな地質課題へ対処するための調査計画の立案や情報解析に資する地質情報を提供することであり、一般向けや学生向けには、地質調査結果の閲覧と、より広く地質学を普及させることです。

研究の経緯

 1995年に100万分の1日本地質図が初めてCD-ROMで出版され、その中に収録された画像をベースとして、インターネット上でのデータベース「日本地質図データベース」が公開されました。その後、出版された数値地質図CD-ROMは37枚を数え、RIO-DB等で公開している地質情報のデータベースも現在では22種類に増えました。

 2001年8月に地図情報の標準化仕様として、G-XML (Geographic- eXtensible Markup Language) がJIS規格化されました。

 2002年度から地質情報の総合的な検索システムとして地質情報インデックス検索システム(G-INDEX)の開発を開始し、2006年3月に公開しております。

 一方、地質情報の中で大きなウェイトを占める地質図に関しては、20万分の1地質図幅をベクトル化して、CD-ROMとして出版し、さらにこれらベクトルデータをもとに、全国統一凡例で再編集した20万分の1日本シームレス地質図データベースが2003年度~2005年度に作成し、RIO-DB上で公開しました。その後、2005年度からWebGISサーバの導入とシステム開発を開始し、100万分の1、20万分の1、5万分の1、2万5千分の1の縮尺の各種地質図を統合化した地質図専用データベースとして統合地質図データベース(GeoMapDB)を整備し、2006年9月から試験公開を開始しました。

 2007年4月には、地質調査情報センターの中に地質情報統合化推進室を新設し、G-INDEX、GeoMapDBを中核とした地質情報データベース構築と地質情報の統合化を強力に推進しております。

研究の内容

 地質情報インデックス検索システム(G-INDEX)は、地質情報をJIS規格(JIS X7199)のG-XML形式で標準化することによって、網羅的な検索を可能としました。(図3)。位置とキーワードで検索した結果は、インターネット上で簡単な図として確認することができます。G-INDEXには、2007年5月現在、5つの種類で15個のデータベース・地質情報が登録されています。G-INDEXでは、ただ単に地質情報を検索・閲覧するのみではなく、より詳細に地質情報を調べたいユーザのために、個別データベースへ直接、接続する機能も備え、各種データベースへの入り口としての機能も果たしています。

図3
図3 G-INDEXでの検索結果の表示例。
より詳細な地質情報表示は、個別データベースで行うことができる。

 統合地質図データベース(GeoMapDB)は、産総研地質調査総合センターが出版公開している各種の地質図を、WebGIS技術により自在に活用することができます。現時点では、100万分の1、20分の1、5万分の1、2万5千分の1の4種類の縮尺の地質図の画像データと、20分の1地質図幅などの一部の地質図ではベクトルデータも公開しています。GeoMapDBでは、画面上、あるいは地名や緯度経度により指定した範囲について、複数の地質図を地形図のような背景画と重ねて表示したり、地質図とリンクされている断面図を表示したりすることが可能です。(図4)。さらに、3次元表示機能を備えているため、立体的に各地域の地質を把握することができるほか、ベクトル版では、各岩体の凡例表示や属性による検索など高度な機能を利用することも可能となっています。

図4
図4 GeoMapDBで、2万5千分の1筑波研究学園都市環境地質図
を表示し、北東-南西方向の断面図を別画面で表示した。

今後の予定

 G-INDEXで検索・閲覧することのできるデータベースを早急に拡大し、インターネットを通した地質情報のダウンロード・サービスについて積極的に推進するとともに、他機関のデータベースと連携して、統合的な表示を行うことができる機能を開発していく予定です。

 また、G-INDEXとGeoMapDBを中核として、従来から公開されているデータベースや各種の地質情報と合わせて「総合地質情報データベース(GEO-DB)」(http://www.gsj.jp/researches/geodb/geodb-info01.html)と総称して、系統的な整備体制を整える予定です。

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