産総研:大阪平野が持つ地中熱ポテンシャルを「見える化」

エネルギー・環境領域
地質調査総合センター
大阪平野が持つ地中熱ポテンシャルを「見える化」
-地下水資源を活かした新たな都市づくりに向けて-
  • 再生可能エネルギー研究センター内田 洋平
  • 地圏資源環境研究部門井川 怜欧

掲載日:2020/10/09

地下水情報から地中熱ポテンシャルを「見える化」

水文環境図の地下水情報から関連データを抽出・解析し、冷房需要地域に適応した「地中熱ポテンシャルマップ」を初めて作製、ウェブサイトに公開。

大阪湾周辺の地中熱ポテンシャルマップ
左:クローズドシステムの熱交換器長さを示すポテンシャルマップ(暖色は短、寒色は長)
右:オープンシステムの適地を示すポテンシャルマップ(ピンクが適地)
 

暖房だけでなく冷房にも地中熱を活かす

地中熱利用システムは、地下水の流れや地下温度を利用した冷暖房の省エネ技術として注目されており、これまでの実証研究においては約40%の節電・省エネが実証されている。一方で産総研の地中熱ポテンシャル評価手法研究は暖房需要が高い東北地域が主体であり、冷房需要が高い西日本地域における適用が課題となっていた。また、大阪府は街づくりの一環として地中熱利用システムの導入促進につながる指標を求めていた。

ディスプレイに映した地中熱ポテンシャルマップ
 

“エネルギー資源“としての地下水の新たな活用

冷房需要の高い大阪平野で初めて地中熱ポテンシャルの評価手法を適用し、評価結果をマップとして「見える化」した。これらのマップを利用することで、地質・地下環境に応じた最適なシステムを導入することが可能となる。今回の結果により、地下温度と地下水流動の観点から“エネルギー資源”としての地下水の有用性を示すことができ、地下水資源を活用した環境にやさしい新たな街づくりの方向性を示すことができた。

内田研究チーム長と井川主任研究員の写真
 

地域に最適な地中熱利用システムを選択

地中熱利用システムの導入コストや設置方法を具体的に検討しやすくなることで、地域ごとの地質・地下水環境に最適なシステム設計の促進に繋がることが期待される。

内田研究チーム長、井川主任研究員の写真
 
 

本研究テーマに関するお問合せ先

内田研究チーム長の写真
再生可能エネルギー研究センター 地中熱チーム

研究チーム長 内田 洋平(うちだ ようへい)

〒963-0298 福島県郡山市待池台2-2-9 福島再生可能エネルギー研究所

メール:frea-contact-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)

ウェブ:https://www.aist.go.jp/fukushima/ja/unit/

井川主任研究員の写真
地圏資源環境研究部門 地下水研究グループ

主任研究員 井川 怜欧(いかわ れお)

〒305-8567 茨城県つくば市東1-1-1 中央第7

メール:geore-web-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)

ウェブ:https://unit.aist.go.jp/georesenv/