産総研:研究ハイライト 7世紀末と9世紀末の東海地震の痕跡を発見

地質調査総合センター
7世紀末と9世紀末の東海地震の痕跡を発見
-1300年間にわたる東海地震の繰り返しと南海地震との連動性が明らかに-
  • 活断層・火山研究部門藤原 治

掲載日:2020/10/09

記録の空白を埋める東海地震の痕跡を発見

静岡県西部の太田川低地から7世紀末と9世紀末の津波堆積物を発見し、歴史記録上未確認であった2回の東海地震の発生を確認した。

太田川の河川改修工事の写真
太田川の河川改修工事で現れた津波堆積物
 

南海トラフ巨大地震の「空白期」

南海トラフで起こる巨大地震は、主に歴史記録に基づいて復元されてきた。南海地震では684年白鳳地震以降の歴史記録があるが、東海地震では7~11世紀に歴史記録の空白期間がある。このため、684年と887年の南海地震に対応する東海地震が起きたかどうかが未確定で、東海地震の繰り返し間隔や南海地震との連動性の議論の支障となっていた。

津波堆積物の写真
 

津波堆積物が示した、東海・南海地震連動の可能性

太田川低地では4枚の津波堆積物が発見され、放射性炭素年代測定の結果、それぞれの年代は7世紀末頃、9世紀末頃、11世紀から12世紀、15世紀後半から17世紀初頭と推定された。新しい2つは、1096年永長地震と1498年明応地震による津波と考えられる。9世紀末頃の津波は、歴史記録と併せて887年8月22日に南海地震と同時に東海地震が起きたことを裏付ける。7世紀末頃の津波堆積物も東海地震発生を示すが、日時までは特定できないので684年の南海地震と同時かは不明。

津波堆積物の写真
 

未来の巨大地震予測へ、震源域の広がりを解明

今後はそれぞれの地震・津波の規模の復元のために、太田川低地などでの津波の遡上範囲や、遠州灘周辺で地震に伴う海岸の隆起・沈降の範囲の復元などを行う。

藤原副研究部門長の写真
 
 

本研究テーマに関するお問合せ先

藤原副研究部門長の写真
活断層・火山研究部門

副研究部門長 藤原 治(ふじわら おさむ)

〒305-8567 茨城県つくば市東1-1-1 中央第7

メール:ievg-webmaster-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)
ウェブ:https://unit.aist.go.jp/ievg/