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2017研究ハイライト 害虫の殺虫剤抵抗性は共生細菌を介してあっという間に発達する

生物プロセス研究部門 伊藤 英臣、菊池 義智

ポイント

殺虫剤を数回使用しただけで土壌中の殺虫剤分解菌が増殖し、これを害虫であるホソヘリカメムシが体内に取り込むことで、急速に害虫の殺虫剤抵抗性が発達しうることを明らかにしました。

図下にキャプションを表示
土壌および害虫腸内での殺虫剤分解菌の動態

背景

殺虫剤の継続的使用により殺虫剤が効きにくい害虫が出現することが大きな問題となっています。殺虫剤抵抗性が発達すると、それまでの殺虫剤はほとんど使えなくなってしまい、また新たな殺虫剤の開発には多大な時間を要することから、農作物の食害や感染症の流行など害虫による被害が甚大化してしまいます。そのため、殺虫剤抵抗性の発達メカニズムの解明が求められています。

新たな成果

土壌に定期的に殺虫剤を散布して土壌中の殺虫剤分解菌の密度を測定するとともに、散布土壌を用いてダイズ害虫のホソヘリカメムシを飼育し、殺虫剤分解菌への感染率を調査しました。その結果、使用推奨範囲内の量を1週間に1回の頻度で2回散布した土壌において殺虫剤分解菌に感染した個体が現れ始め、6回散布した土壌では約9割の個体が殺虫剤分解菌に感染していました。従来、殺虫剤の継続使用による害虫の殺虫剤抵抗性は害虫自身の遺伝子が変化して数年、数十年かけて集団レベルで顕在化すると考えられてきましたが、本研究成果より土壌中の共生細菌を介するとわずか数週間で急速に発達しうることが分かりました。

今後の展開

土壌中の殺虫剤分解菌密度から殺虫剤抵抗性害虫の発生確率を算出してリスク評価するといった、殺虫剤抵抗性害虫の発生を未然に防ぐ害虫防除技術の開発につなげていきます。

関連リンク


本研究テーマに関するお問合せ先

伊藤研究員の写真   菊池主任研究員の写真  
生物プロセス研究部門 環境生物機能開発研究グループ

研究員 伊藤 英臣(いとう ひでおみ)(左)、主任研究員 菊池 義智(きくち よしとも)(右)

 

〒062-8517 札幌市豊平区月寒東2条17丁目2-1

メール:bpri-webmaster-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)
ウェブ:http://unit.aist.go.jp/bpri/


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国立研究開発法人産業技術総合研究所