産総研:研究ハイライト 高耐熱・高強度のCNTとPEEK複合エンジニアリングプラスチックの開発

2016研究ハイライト 高耐熱・高強度のCNTとPEEK複合エンジニアリングプラスチックの開発

要点

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は自動車、航空宇宙産業など幅広い分野でアルミなどを代替する高性能樹脂。PEEKにSG法単層カーボンナノチューブ(SGCNT)を添加し、PEEK単体より耐熱性、引張強度、曲げ強度が向上した「PEEK/SGCNT複合材料」を開発した。この複合材料は射出成型が可能である。

一定温度下での重量変化率の図
一定温度下での重量変化率
  PEEKとPEEK/SGCNT複合材料の引張強度と曲げ強度の図
PEEKとPEEK/SGCNT複合材料の引張強度と曲げ強度

新たな成果

量産化可能で、SGCNTをPEEK中に連続的に解繊・分散させる新しい超高分散技術を開発して、PEEK/SGCNT複合材料を作製した。この複合材料は軽量で、PEEKと同様に射出成型可能で、耐熱性(450℃で2時間でも安定)に優れている。

背景

SGCNTの添加による複合材料の耐熱性向上効果が知られている。これまでCNT複合材料は、有機溶媒にCNTを分散し、これに高分子材料を溶解させてから、有機溶媒を除去して作製していた。ところが、PEEKを溶解する有機溶媒がないので、SGCNTとの複合化が困難であった。

今後の展開

今後は、CNTの改質により一層の高機能化する、CNTとPEEKの親和性を改善して分散性を向上させる、成形時のCNT配向制御法を確立する、などを目指す。

関連リンク

 

本研究テーマに関するお問合せ先

阿多研究員の写真  
ナノチューブ実用化研究センター CNT用途チーム 研究員 阿多 誠介(あた せいすけ)

〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 中央第5

話:029-861-4551
ウェブ:https://staff.aist.go.jp/ata-s/