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産総研理事長賞 FY2015 AIST PRESIDENT AWARD

賞の概要

 産総研では平成15年度より、職員の士気高揚を図るため、理事長賞表彰を毎年度実施しています。
 平成27年度は以下のとおり受賞者を決定いたしました。


受賞者全員と理事長、審査委員長の写真
産総研理事長賞研究の受賞者と中鉢理事長、金山審査委員長
 

研究

バイオ作業用ロボット「まほろ」の開発

受賞者

  • 夏目 徹
  • 八田 知久

研究業績概要

 創薬などのバイオ分野では、ウイルスや放射性物質などバイオハザード環境や嫌気環境での作業効率の悪さだけでなく、手作業に起因して再現性が低いため、医学生物学論文の70%以上が再現できないとも言われている。作業のロボット化による問題克服が求められていたが、専門知識がないと複雑な作業を構築・実行できないことが欠点であった。
 受賞者らは、誰でも使えるロボット動作教示インターフェースを開発し、試薬の分注作業などにおいて再現性のある高精度で複雑な作業を実行できるシステムを実現した。本システムは、既存の設備をそのまま活用でき、初期投資が従来よりも小さいため、バイオ関連作業用ロボット市場に大きく貢献した。また、バイオハザード作業の安全効率化に加え、再生医療用細胞等の標準化への応用も期待できる。
 更に、バイオ分野に於ける再現性、安全性などの課題克服のため、産業用ロボット開発企業と連携してバイオ作業用ロボット「まほろ」を開発し、ベンチャー企業を設立にも取り組んでいる。

受賞者代表(夏目 徹)(左)と中鉢理事長(右)の写真
受賞者代表(夏目 徹)(左)と中鉢理事長(右)

アジアにおける沿岸域地質環境の解明

受賞者

  • 齋藤 文紀

研究業績概要

 受賞者は、アジア沿岸域の地質や人間活動・気候変動の影響などに関する研究を推進してきた。最も大きな業績としては、アジアの三角州(デルタ)、沖積層に関する研究である。1990年代までのデルタ研究は、ミシシッピ河やナイル河の研究を行う欧米が中心であったが、受賞者は、1990年代後半から黄河、長江、紅河、メコン河等アジアのデルタの沖積層に関する研究において、現在の堆積過程とボーリングによる堆積学的な研究、デルタの詳細な層相と発達過程を明らかにし、世界のデルタ研究を大きく進展させた。また、人間活動のデルタへの影響に関する研究を推進することにより、デルタの環境保全に関する研究にも取り組むとともに、これらの研究を通じて人材育成にも大きく貢献した。以上の貢献によって、2014年に日本地質学会と日本第四紀学会から、それぞれの学会における最高の賞である「学会賞」を顕彰されるとともに、同年に中国地質調査局から、2015年にベトナム科学技術院からも顕彰されている。

受賞者(左)と中鉢理事長(右)の写真
受賞者(左)と中鉢理事長(右)

高機能暗号とデータベースの秘匿検索技術の開発

受賞者

  • 花岡 悟一郎
  • 清水 佳奈
  • 縫田 光司
  • 照屋 唯紀
  • Attrapadung Nuttapong
  • 松田 隆宏
  • 浜田 道昭
  • 津田 宏治
  • 浅井 潔

研究業績概要

 ビッグデータの利活用が産業競争力強化に直結するなかで、プライバシー保護や機密性の高いデータの利活用のための技術開発は重要であり、秘匿性の高いデータの利用促進の鍵となる技術として、プライバシーを保護したままデータを計算する技術や匿名化技術の開発が求められている。しかし、その実現には、理論から実装に至る広い範囲で高い知見と技術を結集して対応する必要があり、世界的に見ても実用的なレベルでは実現されていなかった。
 受賞者らは「暗号化したまま足し算ができる」加法準同型暗号や「暗号化したまま任意の演算ができる」完全準同型暗号などの高度暗号技術を拡張し、暗号化したままデータベースの利用を可能とする最先端理論を確立した。本技術は、今後、様々な分野への応用が期待されている。また、化合物データベース検索を対象としたデータベースの秘匿検索システムを開発し、実用的なシステムの開発に成功し、複数の企業との共同研究により秘匿検索の実用化への道筋を立てた。
 また、受賞者らは、学生や若手研究者にも積極的に声をかけ、優秀な人材の雇用につなげ、暗号研究の拠点化を進め、人材育成についても特筆すべき成果を挙げている。

受賞者(花岡悟一郎)と中鉢理事長の写真
受賞者代表(花岡 悟一郎)(左)と中鉢理事長(右)

運営・管理・支援

研究記録管理システムの構築

受賞者

  • 松井 俊浩
  • 田村 厚雄
  • 一木 正聡
  • 後藤 秀作
  • 池上 徹
  • 板場 智史
  • 鶴岡 直樹
  • 兼子 尚知
  • 真部 高明
  • 小倉 勇
  • 関根 重幸

研究業績概要

 昨年、文科省の研究不正に係るガイドラインの見直しが行われ、2015年4月からは当該ガイドラインに従った体制整備が各研究機関に求められることになった。産総研では、文科省ガイドラインの改定前から、研究ノートの管理に係る検討を進め、研究記録の検認や一元管理等の独自の仕組みを取り込んだ新しい仕組みの構築を目指した活動を行ってきた。その結果、研究記録に関する新たな規程を整備することができた。さらに、新しい仕組みを実施するため、業務フローの整備及び管理システムを早期に構築した。このような産総研の研究記録に係る新しい仕組みの導入に関しては、他研究機関からも問い合わせがきており、他研究機関の模範となっている。

受賞者(松井 俊浩)と中鉢理事長の写真
受賞者代表(松井 俊浩)(左)と中鉢理事長(右)

知財ルールの改正による不実施補償の廃止

受賞者

  • 加藤 幹
  • 馬場 創
  • 広野 健
  • 岩沼 英璃果
  • 吉原 公一
 
  • 梶川 佐依子
  • 飯竹 秀行
  • 菅井 美賢
  • 平本 隆輔
  • 根上 裕成
  • 高井 一也
  • 横地 俊弘
  • 渡辺 一寿
  • 三田 芳弘
  • 高岡 正義
  • 三塚 順
  • 小川 正和
  • 磯谷 整
  • 藤本 真人
  • 守山 速飛
  • 関 美貴子
  • 山栗 綾香
  • 櫻井 めぐみ
  • 石川 明由子
  • 金 守美

研究業績概要

 産総研の技術、成果等の橋渡し機能に貢献する知財アセット等に関する方針を定めた知財行動指針を具体化するため、共通基盤領域に係る共有知財を広く第三者に提供する仕組みの導入と引き替えに、不実施補償を廃止する知財ルールの改正を2014年11月に行った。この改正では、10社以上の企業等へのヒアリングを実施して、成果普及、連携促進に関する項目も検討し、共同研究契約の知財条項の骨子や雛形の作成に一年近くの期間を費やした。上記の方針変更は外部より高い評価を受け、新たな共同研究契約の知財条項により、以前は企業との連携に繋がらなかったケースも、柔軟に調整でき、連携が構築できるようになった。

 本スキームによって、研究成果の位置付けに応じた独占、非独占の設定が容易となり、知財アセットの橋渡し機能が高まった。共同研究相手企業及び第三者企業による共同研究成果の活用を加速することにつながるため、第4期における産総研目標への貢献は非常に大きなものである。

受賞者(岩沼 英璃果)と中鉢理事長
受賞者代表(岩沼 英璃果)(左)と中鉢理事長(右)

自治体との包括協定に基づく中小中堅企業連携の加速

受賞者

  • 黒澤 茂
  • 米山 秀彌

研究業績概要

 自治体(埼玉県、静岡県)との間に結ばれた包括連携協定を活用して、具体的な成果に繋がる仕組みを構築したことにより、産総研に年間1億3千万円を超える外部資金がもたらされた。包括連携協定は、大学、企業、自治体等、数多く締結しているが、昨今、その協定の意義、特に産総研側のメリットが問われている。その中で、埼玉県との協定は、受賞者らが企画提案を行い、交渉・調整をした結果、埼玉県が用意した予算により、県内中小中堅企業と産総研の共同研究を資金的に支援するという事業が実現し、本事業において、4件の研究テーマが実施中である。
 本事業は、自治体予算で産総研を活用し、県内中小中堅企業を支援するという初めての事例であり、他自治体への波及効果の点でも非常に意義がある。実際に埼玉県に続いて静岡県も、類似のスキームの事業として産総研に対して3年間(H27FY~H29FY)で2億492万円の委託事業が開始され、7テーマが実施中である。他にも多くの自治体が興味を示し、予算確保に動いており、大きな波及効果が期待されている。

受賞者代表(米山 秀彌)(左)と中鉢理事長(右)の写真
受賞者代表(米山 秀彌)(左)と中鉢理事長(右)
理事長賞運営・管理・支援受賞者全員と理事長、審査委員長の写真
産総研理事長賞運営・管理・支援の受賞者と中鉢理事長、金山審査委員長

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国立研究開発法人産業技術総合研究所