- 4,000地点のボーリング調査データにより千葉県中央部から北部地域の地下の地質構造を3次元で可視化
- 過去の地震で大きな液状化被害があった千葉県中央部の軟弱層の広がりが明らかに
- 国や自治体による防災マップづくりやインフラ整備等での活用に有効

(A)都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」の位置図、(B)千葉県北部延長域の地質立体図、(C)千葉県中央部の地質立体図、(D)千葉県中央部の軟弱層(沖積層)基底面の標高分布
※都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」より編集
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、千葉県域の地下地質構造を3次元で可視化する都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」を公開しました。2018年に公開した「千葉県北部地域」と合わせると、千葉県中央部から北部の地域を網羅するこれまでになかった3次元の地質地盤図が整備されたことになります。
千葉県の中央から北部にかけては都市化が大きく進んでおり、内陸の低い土地や台地では商業施設や住宅が多く広がり、東京湾沿いの埋立地には工場や商業施設が集まっています。この地域の低い土地や埋立地では、1923年関東地震や2011年東北地方太平洋沖地震によって、地盤が液体のような挙動を示す「液状化」が起こり、大きな被害が発生しました。また、将来発生が想定されている首都直下地震においても、大きな被害が出るおそれがあります。
産総研は、千葉県環境研究センターと共同で、4,000地点に及ぶボーリング調査で得られた地下の情報の解析により「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」の地下数十メートルまでの地質構造を可視化しました。その結果、養老川低地をはじめとする低い土地の地下には、昔の谷を埋めるように広がる軟弱層(沖積層)が立体的にどのように分布しているかを詳しく示すことができました。この地域の沖積層は、泥が多い東京下町の沖積層に比べて、全体に砂の割合が高いこともわかりました。これは房総半島の丘や台地をつくる砂の地層が川によって削られて運ばれ、下流の低地に積もったためと考えられます。広域的な3次元地質地盤図の整備により、千葉県の丘陵・台地から低地への土砂供給過程と、それに伴う砂の割合や地盤特性の地域差を初めて一体的に示すことができました。
軟弱層は地震の揺れを大きくしたり、地盤沈下の原因になったりすることがあります。また、泥の層は液状化が起きにくいですが、地下水を多く含んだゆるい砂の層は、液状化が起きやすいとされています。そのため地震災害リスク評価では、地層中の砂の割合や地層の地盤特性の地域差を知ることが重要になります。こうした地層が地下でどのように広がっているのかを立体的に示した地質地盤図は、国や千葉県をはじめとする自治体等での防災マップづくりや都市開発、建設工事などに役立つと期待されています。
野々垣 進(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究グループ長)
中澤 努(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究グループ付)
米岡 佳弥(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究員)
小島 隆宏(千葉県環境研究センター(研究当時)、現:北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所)
吉田 剛(千葉県環境研究センター)
潮﨑 翔一(千葉県環境研究センター(研究当時)、現:千葉県防災危機管理部)
風岡 修(千葉県環境研究センター)
八武崎 寿史(千葉県環境研究センター)
本地質地盤図は、産総研地質調査総合センターのウェブサイト「都市域の地質地盤図」から閲覧できます(https://gbank.gsj.jp/urbangeol/)。