発表・掲載日:2026/09/17

千葉県の3次元地質地盤図の整備範囲を拡大

-都市部の地下を立体的に示した「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」を公開-

ポイント

  • 4,000地点のボーリング調査データにより千葉県中央部から北部地域の地下の地質構造を3次元で可視化
  • 過去の地震で大きな液状化被害があった千葉県中央部の軟弱層の広がりが明らかに
  • 国や自治体による防災マップづくりやインフラ整備等での活用に有効

概要図

(A)都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」の位置図、(B)千葉県北部延長域の地質立体図、(C)千葉県中央部の地質立体図、(D)千葉県中央部の軟弱層(沖積層)基底面の標高分布
※都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」より編集


国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、千葉県域の地下地質構造を3次元で可視化する都市域の地質地盤図「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」を公開しました。2018年に公開した「千葉県北部地域」と合わせると、千葉県中央部から北部の地域を網羅するこれまでになかった3次元の地質地盤図が整備されたことになります。

千葉県の中央から北部にかけては都市化が大きく進んでおり、内陸の低い土地や台地では商業施設や住宅が多く広がり、東京湾沿いの埋立地には工場や商業施設が集まっています。この地域の低い土地や埋立地では、1923年関東地震や2011年東北地方太平洋沖地震によって、地盤が液体のような挙動を示す「液状化」が起こり、大きな被害が発生しました。また、将来発生が想定されている首都直下地震においても、大きな被害が出るおそれがあります。

産総研は、千葉県環境研究センターと共同で、4,000地点に及ぶボーリング調査で得られた地下の情報の解析により「千葉県中央部」および「千葉県北部延長域」の地下数十メートルまでの地質構造を可視化しました。その結果、養老川低地をはじめとする低い土地の地下には、昔の谷を埋めるように広がる軟弱層(沖積層)が立体的にどのように分布しているかを詳しく示すことができました。この地域の沖積層は、泥が多い東京下町の沖積層に比べて、全体に砂の割合が高いこともわかりました。これは房総半島の丘や台地をつくる砂の地層が川によって削られて運ばれ、下流の低地に積もったためと考えられます。広域的な3次元地質地盤図の整備により、千葉県の丘陵・台地から低地への土砂供給過程と、それに伴う砂の割合や地盤特性の地域差を初めて一体的に示すことができました。

軟弱層は地震の揺れを大きくしたり、地盤沈下の原因になったりすることがあります。また、泥の層は液状化が起きにくいですが、地下水を多く含んだゆるい砂の層は、液状化が起きやすいとされています。そのため地震災害リスク評価では、地層中の砂の割合や地層の地盤特性の地域差を知ることが重要になります。こうした地層が地下でどのように広がっているのかを立体的に示した地質地盤図は、国や千葉県をはじめとする自治体等での防災マップづくりや都市開発、建設工事などに役立つと期待されています。


メンバー

野々垣 進(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究グループ長)
中澤 努(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究グループ付)
米岡 佳弥(産総研 地質情報研究部門 情報地質研究グループ 研究員)
小島 隆宏(千葉県環境研究センター(研究当時)、現:北海道立総合研究機構 エネルギー・環境・地質研究所)
吉田 剛(千葉県環境研究センター)
潮﨑 翔一(千葉県環境研究センター(研究当時)、現:千葉県防災危機管理部)
風岡 修(千葉県環境研究センター)
八武崎 寿史(千葉県環境研究センター)

 

入手先

本地質地盤図は、産総研地質調査総合センターのウェブサイト「都市域の地質地盤図」から閲覧できます(https://gbank.gsj.jp/urbangeol/)。


用語解説

都市域の地質地盤図
ボーリングデータ等をもとに都市域の地下の地層の分布を3次元解析することによって作成した地質図のシリーズ。地層の3次元の分布形態を平面図・断面図・立体図で表示したり、解析に使用したボーリングデータを閲覧したりすることができる。これまでに都市域の地質地盤図は、首都圏を中心に「東京都区部」「千葉県北部地域」「埼玉県南東部」が公開されている。今回の「千葉県北部延長域」および「千葉県中央部」は、「千葉県北部地域」に隣接している。[参照元へ戻る]
台地
地盤の隆起あるいは海面の低下により河川の侵食(下刻)が進み、河川沿いの低地よりも高くなった平坦な地形を指す。段丘ともいう。千葉県北部延長域と千葉県中央部はそれぞれ、千葉県域に広く分布する「下総台地」の北西端と南西部に位置する。低地よりも古い時代の地層で構成され、下総台地は主に10万年前よりも古い時代の地層により構成されている。[参照元へ戻る]
低地
河川沿いや沿岸域に発達する標高の低い平坦な土地。河川や沿岸域の堆積作用により形成される。千葉県北部延長域では、利根川沿いに発達する「利根川低地」、江戸川沿いに発達する「中川低地」のほか、台地を開析する小河川沿いにも狭い低地(谷底低地)が発達する。千葉県中央部では、養老川沿いに発達する「養老川低地」、村田川沿いに発達する「村田川低地」、海岸線に平行に発達する海岸低地のほか、千葉県北部延長域と同様に、台地を開析する小河川沿いに谷底低地が発達する。[参照元へ戻る]
沖積層
最終氷期最盛期(約2万年前)以降に河川沿いや沿岸域に堆積した地層で低地の地盤を構成する。水分を多く含むため、軟らかいことが多い。約70万年前以降の地球は、およそ10万年のサイクルで氷期(氷河期)と温暖な間氷期(氷期の間の意)を繰り返していた。一番新しい氷河期は11.5万~1.17万年前であり、最終氷期と呼ばれる。最終氷期の最盛期は約2万年前とされ、氷床の発達により地球上の海水が減少し、海面は現在よりも120~130 mも低かった。そのため河川の侵食により各地に深い谷が形成された。千葉県中央部の低地の地下には、最終氷期に形成された深い谷を埋めて軟弱な沖積層が厚く分布している。[参照元へ戻る]

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