発表・掲載日:2026/07/21

固体中をイオンが高速で流れる仕組みを解明

-単純物理モデルが明らかにした超イオン伝導の基礎原理-

大阪大学D3センター Sucharita Niyogi特任研究員、川﨑猛史准教授らの研究グループは、産業技術総合研究所 マテリアルDX研究センターの中村壮伸主任研究員、理化学研究所開拓研究所の小林玄器主任研究員、東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所の安藤康伸准教授らとの共同研究を通して、結晶構造を保ったまま一部のイオンだけが液体のように協同的に運動する「超イオン伝導」が、どのような物理機構によって生じるのかを明らかにしました。

超イオン伝導体は、固体でありながら内部でイオンが高速に移動できる特殊な物質であり、全固体電池などへの応用が期待されています。しかし、その発現機構には未解明な点が多く残されていました。これまで超イオン伝導は、物質ごとの複雑な結晶構造や化学的性質に強く依存すると考えられており、異なる物質に共通する普遍的な発現機構については十分には理解されていませんでした。

今回、共同研究グループは、本質的な要素のみを取り出した単純物理モデルを構築し、大規模数値計算を行うことにより、「ホスト粒子の結晶構造の維持」とイオン伝導に寄与する「キャリア粒子の液体的イオン輸送」が両立する仕組みを解明しました。具体的には、静電相互作用に代表されるキャリア粒子同士の弱い遠隔相互作用と、結晶骨格を形成するホスト粒子の強い立体斥力があれば、普遍的に副格子融解を伴う高速イオン輸送が生じることを明らかにしました。

本研究成果は、高イオン伝導性を示す次世代固体電池材料やエネルギー変換材料の設計指針を提供し、原理に基づく材料開発の効率化に貢献することが期待されます。

また、本研究成果は、米国科学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』に、7月8日(水)午前3時(日本時間)に公開されました。
 

詳細は以下をご覧ください。
https://www.d3c.osaka-u.ac.jp/2026/07/public-20260721/






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