アルツハイマー病やパーキンソン病などの多くの疾患では、タンパク質が異常に集合することが関わっています。
東北大学を中心とする研究グループは、マイクロ微細加工技術を利用して細胞に近い大きさの微小油中水滴を作製し、タンパク質液滴からアミロイド線維ができる過程を観察しました。その結果、タンパク質液滴はアミロイド線維だけでなく、別の固体状態であるアモルファス凝集体にも変化し、両者が競合することを明らかにしました。特に、小さい液滴ではアモルファス凝集体が先にできやすく、アミロイド線維の形成が抑えられました。これは、従来の試験管内実験では見えにくかった準安定な凝集状態が、細胞サイズの微小空間では重要な役割を持つことを示しています。
本成果は、タンパク質凝集疾患に対する新しい薬剤評価法や治療戦略の開発につながることが期待されます。また、微小空間におけるタンパク質凝集過程を実験データと数理モデルにより定量的に捉える本研究のアプローチは、より精密な解析に膨大な計算を要しますが、将来的には量子・古典ハイブリッド計算をはじめとする先端計算技術の活用も視野に入れることで、創薬・生命科学分野の新たな解析・評価手法の開発にもつながることが期待されます。
本研究成果は、2026年6月6日付(現地時間)で、学術誌Journal of the American Chemical Societyに掲載されました。
なお、本研究成果は、東北大学の福山真央 准教授、梶本真司 准教授、中林孝和 教授、東京科学大学の大橋祐美子 特任講師、田口英樹 教授、火原彰秀 教授、産業技術総合研究所の水野雄太 主任研究員、冨田峻介 研究グループ長、神戸大学の茶谷絵里 教授、大阪大学の中島吉太郎 准教授、筑波大学の白木賢太郎 教授、ケンブリッジ大学のTuomas Knowles教授らの研究チームの共同研究によるものです。
詳細は以下を参照ください。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/06/press20260610-04-amyloid.html