京都府立医科大学大学院医学研究科 分子標的予防医学 講師 渡邉元樹、同 内分泌・乳腺外科学 後期専攻医 井口英理佳、国立研究開発法人産業技術総合研究所 上級主任研究員 亀田倫史、同 研究員 小林海渡、関西医科大学附属病院 臨床腫瘍科 診療講師 朴 将源らの研究グループは、このシソ由来天然成分に着目し研究を進めました。その結果、POHがミトコンドリア内に存在するタンパク質ANT2に結合することを見出し、ANT2がホルモン療法抵抗性乳がんに対する新たな治療標的となり得ることを明らかにしました。本件に関する論文は、国際科学雑誌『International Journal of Molecular Sciences』に2026年4月21日(現地時間)付けで掲載されました。
本研究ではまず、ケミカルバイオロジーの手法によりPOHがANT2に直接結合することを明らかにしました。続いて、ANT2の機能解析を進めた結果、ANT2の阻害により細胞内エネルギー(ATP)のバランスが乱れ、乳がんの増殖に重要なタンパク質のエストロゲン受容体(ER)の発現が低下することを見出しました。さらに、ホルモン療法抵抗性乳がんでは、RNAシーケンス解析により、ER経路ではなく、脂肪酸伸長経路の異常が明らかとなり、ANT2を阻害することで、この経路も抑制される可能性が示されました。
さらに臨床応用を目指してANT2を標的とする医薬品を探索するために、スーパーコンピューター(スパコン)を用いたバーチャルスクリーニングを行ったところ、既存医薬品であるベネトクラクスおよびナイスタチンがANT2に結合する可能性を見出しました。これらの化合物は実際にホルモン療法抵抗性乳がん細胞の増殖を顕著に抑制し、ANT2を標的とする新たな乳がんの治療戦略への応用が期待されます。
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https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2026/20260501press.html