発表・掲載日:2025/10/29

微生物によるタンパク質生産効率向上の新技術を開発

-医薬品や酵素、抗体などバイオものづくりへの応用に期待-

名古屋大学大学院生命農学研究科の加藤 晃代 准教授、中野 秀雄 教授、産業技術総合研究所の本野 千恵 主任研究員、早稲田大学理工学術院の浜田 道昭 教授(兼:産業技術総合研究所 招聘研究員)、横山 源太朗 助手(兼:産業技術総合研究所 技術研修員)らの研究グループは、大腸菌などの微生物によるタンパク質生産効率を高める新技術を開発しました。

研究グループはこれまで、特定の短いペプチド配列が翻訳を促進し、リボソームの停滞を軽減できることを報告してきました。今回の研究ではこの知見をもとに、人工的にランダム化したペプチドライブラリーを用いて、リボソームの停滞(ribosome stalling)を抑制するペプチドを探索し、新たな翻訳促進ペプチド(Translation-Enhancing Peptides:TEPs)を多数発見しました。これらのTEPsはそれぞれ異なる強度で翻訳を促進し、タンパク質生産効率を向上させることが明らかになりました。

さらに、研究グループは機械学習(machine learning)を用いたAIモデルを構築し、ペプチド配列から翻訳促進活性を予測することに成功しました。このAIモデルは実験値と高い相関を示し、目的のタンパク質に適した配列を合理的に設計できる手法として応用可能であることを示しました。

本成果は、微生物によるタンパク質生産のボトルネックである翻訳効率の問題を解決する新たなアプローチであり、バイオ医薬品や酵素、抗体などの生産を支える基盤技術としての応用が期待されます。

本研究成果は、2025年10月25日付で、英国Royal Society of Chemistry (RSC) によって発行されている、化学生物学分野を対象としたオープンアクセス誌『RSC Chemical Biology』に掲載されました。
 

詳細は以下をご覧ください。
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/10/post-892.html






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