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お知らせ

2018/05/28

第2回テラワットワークショップを開催
-太陽光発電が世界のエネルギー経済を変革する中心的役割を担う-

ポイント

  • 独フラウンホーファー研究機構 太陽エネルギーシステム研究所、米国国立再生可能エネルギー研究所、産総研の3研究所間の国際連携によりワークショップを開催
  • 太陽光発電の将来の方向性を示すことによって、太陽光発電の導入・普及を加速するための重要課題の解決や研究開発の推進に貢献
  • 太陽光発電がエネルギーシステムの中心的役割を担うことによって、持続可能なエネルギーシステムへの転換を加速

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、平成30年4月26日から4月27日に、独フラウンホーファー研究機構 太陽エネルギーシステム研究所(以下「Fraunhofer ISE」という)と米国国立再生可能エネルギー研究所(以下「NREL」という)と合同で「The Terawatt Workshop」(以下「ワークショップ」という)を開催しました。

本ワークショップは、世界の太陽光発電研究を先導するこの3研究機関による国際同盟(GA-SERI: Global Alliance of Solar Energy Research Institutes)によって招集されました。2016年3月にドイツのフライブルクで第1回のテラワットワークショップが行われ、今回は2回目の開催となります。ワークショップには、日本、米国、ドイツと、その他7カ国から約70名の専門家(研究所、大学、政府系研究開発統轄機関、製造メーカー、金融機関など)が米国コロラド州ゴールデンに参集しました。すぐそこまで迫っているテラワット(TW)(1 TW=10億キロワット(kW))太陽光発電(以下「PV」という)時代に向けてさまざまな議論が交わされました。

再生可能エネルギーによる電力は世界のエネルギー経済を変革しつつあります。その中でもPVは、研究や製造技術の大きな進展によって、世界各地でコスト競争力に優れた電力源になっています。第1回テラワットワークショップ当時の2016年に約230 ギガワット(GW)(1 GW=100万 kW)だった世界のPV累積導入量は現在400 GWと約2倍になりました。ワークショップの参加者の95 %は、「遅くとも2023年までには1 TWに達する」という認識でした。さらに、現状の年率25 %のペースで導入が拡大した場合、2030年には約7 TWに達する見込みです。ワークショップでは、2030年までに5~10 TW、さらに世界的に主要なエネルギー部門の電化が進めば2050年までに60~80 TWを導入という幅広いシナリオについて議論を行いました。

PVは、数TWレベルまで発電容量を伸ばして世界の電力需要の大部分をまかない、さらに大気汚染防止、脱化石燃料や経済成長などの世界中の多様な要請にも対処する、という目標軌道にのって順調に導入が進んでいます。輸送部門をはじめとしたさまざまなエネルギー部門において電化がはじまっているなかで、PVは、現状の電力需要に対応するだけでなく、全エネルギー需要の大半に対応可能です。大規模な再生可能エネルギーの導入が進む中で、PVは、高度なパワーエレクトロニクス機器との組み合わせによって電圧・周波数変動を抑制して系統の安定化を可能にするだけでなく、停電の際の電力供給などにも貢献できます。PVの成功のためには、風力、水力、バイオエネルギーや近年著しい進展を見せる蓄電や負荷シフト技術などとの連携も重要となります。

2日間の精力的な議論を経て参加者は、研究所・大学・企業が一体となった包括的な研究開発プログラムの推進により、短期~中長期にわたるさまざまなニーズに応え、PVのさらなるコスト低減、系統安定化における役割の拡大、新たなエネルギー需要への対応という挑戦的課題に取り組んでいくことができるとの結論に至りました。

ワークショップでは、迫り来るテラワットPV時代に向けて、PVに関するデバイス・製造技術、信頼性・バンカビリティー、グリッド統合技術、政策、蓄電技術の5つの個別課題についてグループディスカッションも行いました。また、将来のPVの成長シナリオと課題について総合討論を行いました。

PVはエネルギーと環境の持続可能性を両立する技術であり、産総研、Fraunhofer ISE、NRELの3研究機関は協力してさらに挑戦を続けていきます。

開会挨拶の写真
産総研 小林 哲彦 理事の開会挨拶

集合写真
ワークショップ参加者の集合写真

ワークショップ開催の背景・経緯

環境とエネルギーの2つの持続可能性を両立することは、全世界的な要請であり、挑戦的な課題です。PVはこれに対して、重要な役割を担える技術です。PVは、程度の違いこそあれ、世界中の全ての地域で環境、経済性、エネルギー安定供給の点で優位性を発揮し始めています。過去10年間のPVの飛躍的な進展は世界中に大きなサプライズとしてとらえられています。PVの発電コストの大幅な低減が進むなか、多様化するエネルギーシステムの中でPVの価値をさらに高めることが重要です。PVがエネルギーの中心的役割を担うことによって、単によりクリーンであるというだけでなく、安全かつ低コストで信頼できる持続可能なエネルギーシステムへの変革が加速されると考えています。

産総研、Fraunhofer ISE、NRELの3研究機関は、国際的な連携協定覚書を締結し、これらの国際的な挑戦課題に取り組んでいます。2016年3月に第1回のテラワットワークショップがドイツのフライブルグで開催され、その成果としてステートメントの内容が日独米共同で公表されるとともに、議論や解析結果がScience誌に論文として掲載されました。

(参照:“Terawatt-scale photovoltaics: Trajectories and challenges” Science 356 (6334), 141-143)

今後の予定

今回のワークショップでの議論の成果は、産総研、Fraunhofer ISE、NRELの3研究機関が中心となり、学術論文として発表する予定です。また、今後はPVの役割を拡大し、エネルギー経済の変革を加速するための提言や適切な研究開発を進めるとともに、さまざまな国際協力を推進する予定です。

用語の説明

◆フラウンホーファー研究機構 太陽エネルギーシステム研究所(Fraunhofer ISE
ドイツ全土に67の研究所・研究ユニットを持つ欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構の中の一研究所。太陽エネルギーを中心にした研究を行っており、同分野における欧州最大の研究機関です。[参照元へ戻る]
◆米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)
米国エネルギー省傘下の国立研究機関。米国で唯一、再生可能エネルギー全般と省エネルギー技術に関する研究開発を実施しています。世界トップレベルの太陽光発電の研究機関であり、関連する主要な国際標準規格の制定にも深く関わっています。[参照元へ戻る]

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