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お知らせ記事2011/02/24

産総研とインドネシア技術評価応用庁が包括的研究協力覚書を締結

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下、「産総研」という)と、インドネシア研究技術省傘下のインドネシア技術評価応用庁【長官 マルザン・イスカンダール】(以下、「BPPT」という)は、2011年2月24日、インドネシア・ジャカルタにおいて、双方で関心の高いライフサイエンス分野、環境・エネルギー分野、地球科学分野、材料・製造技術・ナノテクノロジー分野、情報技術・電子工学分野等の研究開発を推進するため、包括的研究協力覚書(以下、「覚書」という)を締結しました。

 産総研とBPPTは、日本とインドネシアそれぞれを代表する最大規模の公的研究機関であり、その人員、研究分野、組織形態が非常に似ており、今回の覚書締結により、幅広い研究分野での共同研究を加速してまいります。

 BPPTとは、産総研の前身である工業技術院時代から、環境・エネルギー、ライフサイエンス分野等で交流・連携実績があります。最近では、産総研バイオマス研究センターとの間で、バイオマス研究での連携実績があり、また東アジア・アセアン経済研究センタープロジェクトを通して、バイオ燃料の標準化およびバイオマス利活用の持続性評価に関する研究を継続しています。2010年11月には、BPPTが現地主催機関となり、「バイオマス・アジアワークショップ」を、スハルナ・スラプラナタ大臣臨席のもと、開催しています。

 今後の連携可能な研究分野として、ライフサイエンス分野では、プラント・バイオテクノロジー、ナノバイオテクノロジー、医療技術など、環境・エネルギー分野では、バイオマス燃料の製造・改質・標準化および環境影響評価、バイオマス利活用、ライフサイクルアセスメント、ガス化など、地球科学分野では、海洋活断層調査などが想定されており、今後、連携を強化していきます。

 また、今回、産総研は、BPPTとの覚書の下で、株式会社 ブリヂストン(以下「ブリヂストン」という)と天然ゴムに関する三者共同研究を開始することに合意しました。天然ゴムは、ゴム産業、タイヤ産業において重要な位置を占める原材料の一つで、インドネシアは世界有数の天然ゴムの生産国であります。また、ブリヂストンは、世界有数のゴム・タイヤ製造企業であり、インドネシアにおいて、タイヤ製造および、ゴム農園・天然ゴム製造事業を行っています。本共同研究では、遺伝子情報等バイオテクノロジー研究に基づいた、天然ゴムの生産性向上に取り組み、インドネシアにおける天然ゴム産業への貢献を目指します。

 我が国とインドネシアでは、経済連携協定が2008年7月に発効しており、また我が国は長年に亘りインドネシアに対する最大の政府開発援助供与国でありますが、今回の産総研とBPPTとの公的研究機関間の科学技術研究レベルでの連携強化は、二国間の関係強化のみならず、両国の経済成長の基盤作りにつながるものです。
 

(補足説明)
インドネシア技術評価応用庁(BPPT)の概要
 BPPTは、インドネシア国家開発において必要とされる科学および技術の評価、選択およびその応用を図ることを目的として1978年に設立された。研究技術省に所属し、2009 年時点の職員総数2,900名(うち研究者301名、エンジニア770名)、年間予算は約55億 円(開発予算:約19億円、人件費等含む一般予算:約25億円他)で、(1)国家開発に必要な技術評価および応用に関する政策の立案、(2)技術の評価および応用に関する計画実施の総合調整、(3)技術の応用に関し政府及び民間へのサービス提供、(4)国家開発のための技術の開発応用政策を支援するための業務を主たる任務とされており、情報通信、エネルギー(電気/燃料)、食料、医療、輸送、安全・防衛、有害物除去、材料、製造技術、環境および地球科学、技術政策の12分野で技術評価および応用のための幅広い活動が、それぞれ技術政策評価、天然資源開発技術、農工業技術およびバイオテクノロジー、情報、エネルギー及び材料技術、工業技術、デザインおよびエンジニアリングの5つの部門のもとで推進されている。