柏センター ニュース

お知らせ記事2026/04/24

【柏センター】目に星が入った!ワクワクを共有 二松学舎大学付属柏高校見学会

柏市内にある二松学舎大学付属柏高校の生徒8名が春休みに入った2026年3月25日、教員引率のもと柏センターを訪れました。
部活動で工学部に所属している生徒さんたち、研究者の話へのリアクションが大きい!
目がキラキラとしてきて、とまらないワクワクがこちらにも伝わってきました。
 
実験室でタブレット画面をのぞき込む高校生


見学会の様子をご紹介します。

「産総研を前から知っていた人!」
柏センター所長代理の森郁惠さんが投げかけると、嬉しいことに手を挙げた生徒さんがいました。
経済産業省所管の産業技術総合研究所は、産業界との連携による社会課題解決をミッションとしているため、中高生とのタッチポイントはそれほど多くはありません。
しかし、次世代の研究者を育てることも重要課題のひとつとして、社会の役に立つ技術の研究をすることの魅力を伝える機会を設けています。

研究室を周る前に、今回の見学会への意気込みを一人ずつ語ってもらいました。
 
意気込みを語る高校生


介護・生活模擬環境室で待っていたのは、人間社会拡張研究部門生活機能ロボティクス研究グループの田中秀幸研究グループ長。

 
研究紹介をする田中さん

グループの研究紹介では、人の生活や働く場で役に立つロボット技術という視点を入れながら説明をしていきます。
さらに、自身が開発した高精度マーカを応用したシューティングゲームでデモンストレーションを行いました。
この瞬間、生徒さんたちの目に星が入ったようにキラキラと輝き始めました。
ゲームに興じているのではなく、この技術の凄いところを理解してゲームに挑戦しています。
高精度マーカについて、いつくらいから市場に出るようになるかなどの質問が出て、実用化への高い期待を寄せていました。
 
シューティングゲームのデモ体験の様子

柏センターでは”クリーンルーム前室”と呼んでいる実験室で待っていたのは、センシング技術研究部門スマートインタラクションデバイス研究グループの古志知也主任研究員。
 
研究紹介する古志さん

「センシングデバイスとは」の入り口から説明に入り、研究グループで取り組む「人の身体を測るための柔らかいデバイス」技術について紹介しました。
人の身体を測ることの目的を伝えることで、なぜ柔らかいセンサの開発に取り組むのかを理解したようで、話を聞きながらうなずいていました。
また、湿度変動電池などセンサを動かすための電源の研究開発も紹介しました。
 
センサデバイスのデモンストレーション


最後に柏センター1階に設置された大きな実験装置「サービスフィールドシミュレータ(SFS)」の紹介を担当したのは、人間社会拡張研究部門インターバース研究グループの小木曽里樹主任研究員。
 
SFSの紹介をする小木曽さん

装置の中に再現された柏センターを見て「お~!」と声を出してくれるところが、嬉しいです。
「そもそもバーチャルという言葉の本当の意味を知っていますか?」と小木曽さん。
英語のvirtualは「実質的な」というニュアンスだと話しました。

このSFSは360度のバーチャル空間を歩き続けることができるのですが、その仕組みについて興味を持っていただけたようでした。
 
SFSの仕組みについて説明する小木曽さん

代表して何人かが体験し、他の人はその様子をモニターで確認しています。
 
SFSデモ体験の様子

先生も体験していらっしゃいました。


後半は、研究者を交えて質疑応答の時間。
参加した生徒さん、先生全員から感想や質問をいただきました。
 
田中さんに質問する高校生 質問する高校生
VRについて質問する高校生 感想をコメントする高校生

自分の研究テーマのヒントを得ようと質問する人、今日知った技術への感動をコメントする人など、それぞれが得たものを言葉で伝えてくれました。
またAIについて、将来的に社会はどうなっていくと思うか、生成AIをどのように使っているかなどの質問もありました。
研究者からは、「AIを使わない日はないが、自分の専門分野については自分よりもAIは情報を持っていないので使わない。」
「AIの情報が正しいとは限らないので、鵜吞みにせず検証することが大事である」など、使い方についてアドバイスしていました。

進路選択について、どのように決めたのか、時期やきっかけについての質問もあり、研究者にとっては振り返りの機会になります。
毎回、中高生とのディスカッションで出るテーマですが、どの研究者も同様のことを話します。
それは、いろいろな経験を通し、初めに取り組んだ研究テーマからどんどん変わっていくものだということ。

「なんでだろう」と疑問に思ったことを調べるうちに、次の疑問にぶつかり、テーマは変わっていく。
そして今、自分はここにいる。

「今の時代で、高校生になったら何をしたいですか」
教員から出た質問に、研究者の皆さん顔を見合わせて苦笑い。

 
質問に苦笑いする研究者

「高校時代はスマホもなかったから」と、AIの活用が進むこの時代の高校生活を自分はどう過ごすか想像したこともないと話しました。
 
集合写真


田中秀幸さんコメント
見学や議論に積極的に参加いただき、ありがとうございました。自分の子ども世代くらいの若い皆さんと交流でき、私もとても楽しかったです。議論の最後のほうで「親の言うことを無視してはならない。話をちゃんと聞こう!」とお伝えしましたが、実は続きがあります。「話をきちんと聞いたうえで、では自分はどうすべきかを自分の頭でしっかり考え、行動する」ことが大切です。無視もだめ、鵜呑みもだめ、ということです。どこかAIとの向き合い方にも通じる気がします。
ますます予測が難しい世界ですが、自分が楽しいと思えるものを見つけ、情報収集・分析・行動を主体的に繰り返していくことで、道は開けると信じています。

古志知也さんコメント
生成AIの進歩は非常に速く、今後も様々な分野で活用が広がっていくでしょう。しかしその一方で、世の中にはまだ言語化・データ化されていない知識やノウハウが数多くあります。実際に自分で経験して初めてわかるようになる勘や、背景や雰囲気を読む力、うまくいかない時の微妙なすり合わせや帳尻合わせといった能力は、今後皆様が社会に出るころには、ますます重要になると思います。勉強もスポーツも遊びも、学生時代にしかできないことを、ぜひ自分自身でたくさん経験していただければと思います。

小木曽里樹さんコメント
見学や最後の議論などを通じ、私としても刺激をいただきました。積極的に体験して頂いたほか、すでにVRのコンテンツ制作などに取り組んでいる方もいらっしゃるとのことで、アクティブな印象でした。最後の議論にもありましたが、授業等で勉強することは基礎としつつ、興味を持ったことはとりあえずやってみて、経験として吸収してもらえると良いのではないかと思います。AIの登場など以前より世の中が大きく早く動いているのかもしれませんが、自分が得た実体験は他に換えのない財産になると思います。

森郁惠さんコメント
実際に実験装置を見て研究内容を体験・体感していくごとに、高校生の皆さんがどんどん笑顔で積極的になっていく様子を見て、未来の仲間が増える期待を感じ、とても頼もしく嬉しく思いました。
研究者の側も、どのように紹介したら分かりやすく楽しいかという工夫を凝らしており、これからも、広く社会に向けて研究所やその活動を発信し、研究開発に関わる人の裾野が広がるような取り組みを行いたい思っています。