職員が語る25年間のエピソード集「産総研らしさってこういうことさ」編
産総研25周年を機に、現役職員たちにこれまでの仕事にまつわる思い出話をヒアリング。本記事では、研究分野や職種の垣根を越えて挑戦してきた「産総研らしさ」が感じられる、7つのエピソードをご紹介します。
人をワクワクさせる場所
産総研へ転職して数カ月の頃、特別公開の職員家族向け内覧会のお知らせが。「どんな研究者さんがいるんだろう?研究に触れてみたい!」「転職を後押ししてくれた夫にも、自分の職場を知ってほしい」。そう思ってすぐ申込んだ。
当日は、まず『石を割る』体験へ。夫は一番固い石を選択し、火花を散らしながらハンマーを振るも、割れず。割れないけれど、とても楽しそう。夫が研究者さんから日頃の研究活動や石の解説を熱心に聞く姿を見て、「子供の頃は鉱物が好きだったんだ」と以前聞いたことをふと思い出す。『キッチン火山』体験では、マグマを模したトマトジュースがゼラチン製の地盤からあふれ出す様子に歓声をあげ、大人でも夢中になれる実験に驚いた。
さまざまな研究に触れ、家族とともに「産総研だからこそ生み出せる成果がある」「人をワクワクさせる場所」だと実感。記憶に残る1日になった。
(入所3年目|事務系)
草野球から生まれるコラボの種
産総研には、旧研究所時代から続く野球部の文化があります。私は旧・機械研にルーツを持つ野球チームMEL(メル)の監督を務めてます。それぞれ背景の異なる全5チームが現在は活動していて、最強チームを決める「産総研大会」も毎年開催。
試合中は研究を忘れるほど本気だけど、実はこの野球部でも“分野横断の研究連携”が生まれることがあるんです。普段は接点の少ないライバルチームの研究者とも、休憩中は「あの装置を使いたい」「この相談、聞いてもらえる?」なんてやりとりが自然発生。草野球から新しいコラボレーションの種が生まれるなんて、産総研らしいでしょ。
(入所24年目|エネルギー・環境領域 小熊光晴)
所内ネットワークで広がる挑戦
応用研究を進めるには、自身の専門分野から離れたことにもチャレンジする必要がある。そんな時、所内の専門家にTeamsで質問してみるのだが、ほとんどの人は優しく詳しく教えてくれる。企業の方と話をする際も、先方の関心事に詳しい専門家や、先方と知り合いの研究者がすぐに見つかる。所内ネットワークの幅広さには、いつも助けられている。
(入所10年目|研究系)
多彩な専門家が集結!
「画像認識の技術を別分野に応用できないかな……」と提案すると、所内で相談先がすぐ見つかる!「全方向ステレオカメラ搭載の電動車いすを開発しようと思うんだけど……」と相談すると、ロボット工学やヒューマンファクターなどの多彩な専門家が集結してくれる!
分野横断で顔の見える関係が作れると、課題解決のスピードも質も高まります。所内交流イベント「AISTコラボタイム」が最近始まって、横断連携がさらに強化されています。大きさ・質・分野の広さ、3つが揃った産総研だからこそ生まれる総合力。これが私の研究を支えています。
(入所23年目|研究系)
研究だけでは見えなかった景色
「産総研っぽい」といえば、事務系の部署に研究者が異動する制度。もちろん嫌がる研究者もいます。1年間研究を中断するって、正直痛いですから。でも、「研究所という組織の運営に参加する」というのは、研究に専念するだけでは見えないものが見えたという点で、得がたい経験でしたね。別分野の研究者と思わぬつながりが生まれ、それが自分の研究にも生かせたり。
(入所17年目|研究系)
つぎの一歩を後押ししてくれた
産総研に移行した2000年前後、それまであった研究所や分野の違いによる「心の壁」が一気に取り払われた。専門をまたいだ連携が当たり前になり、若手研究者による所内横断プロジェクトもぞくぞくと誕生した。
ちょうどその時期に自分が関わっていたのが熱電材料。研究成果を論文で出して終わり……ではなく、知財の統合・デバイス化・事業化、さらにはベンチャー設立まで。私の「つぎの一歩」を、産総研という組織が強力に後押ししてくれた。研究の枠を越え、企業・社会と本気で「ともに挑む」のが産総研だ。
(入所35年目|研究系)
AIsolと二人三脚で
産総研からの事業化を担うAIST
Solutions(AISol)と二人三脚で約2年間、CO2回収技術の実装に向けて走った「カーボンネガティブ・プロジェクト」。現実は甘くなく、残念ながらこの計画は一旦終了した。
でも、得たものは大きい。ビジネス用語の飛び交う会議、AISol幹部との壁打ち議論を繰り返す日々──「事業化とは何か」を徹底的に掘り下げた経験は、今後の社会実装に必ず生かせる。まさに今、もっと大きな共同研究を計画中だ。
(入所37年目|研究系)
ここで紹介したのは、集まったエピソードのごく一部です。これ以外のエピソードも順次公開していきますので、おたのしみに!