職員が語る25年間のエピソード集「研究人生いろいろ」編
産総研25周年を機に、現役職員たちにこれまでの仕事にまつわる思い出話をヒアリング。本記事では、研究者たちのそれぞれの歩みが垣間見える「研究人生いろいろ」をテーマに、6つのエピソードをご紹介します。
挑戦をつづけられる理由
産総研には、研究者が研究活動をしやすいように、事務や経営に携わる人まで含めて「研究者を支える」文化が根づいています。研究者同士も、特に若手が全力で挑戦できるよう、互いに支え合っています。2023年に「パーマネント型研究員」での採用が基本になったことは、こうした文化の象徴と言えます。
そんな中で上級首席研究員を拝命したときは、とても嬉しく、励まされる気持ちでした。研究を心から楽しむ姿を若い世代に見せることの大切さを改めて感じつつ、これからも仲間と力を合わせて挑戦を続けていきたいと思っています。
(入所29年目|情報・人間工学領域 後藤 真孝)
話好きにはうってつけの職場
産総研に入って最初に思ったこと。「飲み会、多いな!?」自分の周りの研究者は、みんな飲み好きですね。話好きが多いってことなのかも。話といえば、『研究者カード』は産総研ならではの取り組みじゃないかな。自分の経歴が誰にでもわかる形で見えるって、いいですよ。名刺出す時に「あ、間違えました!」って渡してるんです。まさに話の種になってます(笑)
(入所13年目|研究系)
誰のためかという眼差しを
大学の助手から産総研に異動してきた当初、私は「科学的に面白い現象を見つけ、良い論文を書くこと」が研究の中心だと思っていました。それが研究者としての正しい姿なのだと。しかし産総研では、それだけでは研究が次の段階に進まない、という場面に何度も直面しました。
転機は、ある企業研究者の講演で聞いた「ニーズが研究の優先順位を決める」という言葉。「誰の課題を解決するのか」という視点が抜けている自分に気づきました。これがきっかけになって、新しい評価技術の開発をスタート。今では、その成果が実際のものづくりの現場で使われるようになりました。
(入所23年目|研究系)
やっかいな金属に魅せらせて
子供の頃から、石に魅せられていた。筑波大ではタングステンの濃集を研究し、地質調査所(産総研の前身)で岩石の分析バイトをした。九州工業技術試験所(産総研の前身)に入って出会ったのが、マグネシウム。非常に軽く、そして強い。でも、大気中で加熱すると燃えるし、とても扱いにくい。やっかいだが、それだけ魅力的な金属だ。
研究を続けて30年、所属はいつしか産総研に変わり、私の金属愛は今、新幹線という形で日本中を走っている。
(入所42年目|研究系)
一般公開が育てた科学の芽
年に一度、つくばの産総研が大にぎわいになるのが、一般公開の日。子供が小学生の頃は、親子で毎年訪れていました。子供が科学好きになり、理系の道に進んだのは、一般公開のおかげかもしれません。一方、職員として毎年のように出展した時期もありました。
研究者は、研究の話を聞いてもらって「面白い!」と言われると本当に嬉しいもの。準備や当日は大変でしたが、来てくれた方々、特に子供たちから元気をもらっていた気がします。
(入所22年目|研究系)
驚きと興味の種を未来へ
ここ5年ほどのCO₂利用に関する研究成果を、特別公開のラボツアーで紹介したときのこと。お母さんと来てくれた中学1年の男の子が、説明のたびに目を丸くして「へぇ~」「すごいぃ~」と反応してくれました。社会が必要とすることを、研究という活動を通じて解決策を見つけ、育て、そして世に示す──それが研究者の責務だと、常々思ってます。
自分が研究で得た知見や成果を発信することで、あの中学生のような「次の世代の人たち」に驚きと興味の種を与えられるのだとしたら……。これは何物にも代えがたい、研究者の喜びですね……うんうん、そう思います。
(入所27年目|研究系)
十人十色の研究人生が垣間見えるエピソードをご紹介しました。次回は、「産総研らしさってこういうことさ」です!