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こんなところに産総研 最新の研究成果をはじめ、産業技術・科学技術をわかりやすくご紹介! 極限環境へ。高所調査ロボット、出動! 産総研とHondaが開発したロボットが、福島第一原発の環境調査へ

過酷な場所へロボットの投入が求められる

東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所の事故は、2014年の現在もまだまだ収束とは言えない状況にあります。廃炉に向けた処理作業がなかなか進まない理由は、発電所一帯が高濃度の放射能に汚染されているため、人間が容易に近づくことができないからです。
作業員の年間被ばく許容量は50ミリシーベルトと定められています。そのため高線量の建屋内での作業は、10~15分という非常に短時間に限られてしまいます。被ばく量が基準に達した作業員は現場に入れなくなるため、大勢の交代要員が必要となります。こうしたことから、人間の代わりに建屋内で作業ができるロボットの投入が求められていました。
そこで、これまでにも国内外のさまざまなロボットが現場に送り込まれ、それぞれができ得る範囲内で活動してきました。しかし狭い場所を進んでいく、あるいは高い場所の調査を行うという期待に的確に応えるロボットは開発されていませんでした。

過酷な場所へロボットの投入が求められるイメージ

伸びるボディとASIMOの腕を合体したロボット

2013年6月、産総研とHondaが共同開発した「高所調査用ロボット」が、福島第一原発2号機原子炉建屋内に入り調査作業を開始しました。産総研は、このロボットのクローラー(無限軌道)式高所作業台車部分と、その遠隔操作の技術を担当。そしてヒューマノイドロボットASIMOを開発したHondaが、ロボットの調査用アームの部分を担当しました。
この「高所調査用ロボット」、走行時は高さ1.8m、幅0.8m、奥行1.8mなので、普通に人間が通れる空間ならば楽に進めます。加えて、高所作業時には高さを5mまで伸ばせ、そこから1.7mのアームを伸ばしての作業が可能。ASIMOのアームは、多くの関節を同時に制御できるのが特徴です。
 「高所調査用ロボット」が調査したのは、これまで調査のできていなかった建屋内の1階の高所でした。遠隔操作によって狭いところまでアームを伸ばし、構造や作業の障害になるものがないか確認を行い、さらに現場の放射線量の測定などを行いました。

伸びるボディとASIMOの腕を合体したロボットイメージ

放射線量の把握で、処理作業の進展に貢献

原発事故の現場では正確な放射線量がわからなければ、線量の低減対策や補修などのための計画を立てることができません。そのため原発建屋内の特に高所の状況は、これまで十分に把握できずにいましたが、この「高所調査ロボット」の活躍によって今後は処理作業が大きく進む可能性が高まりました。
冒頭でもふれたように、「高所調査ロボット」以前にもロボットは現場に投入されました。しかし、原子力発電所は人間が作業する前提でつくられているので、大型のロボットが作業をするとなると、どうしても問題が生じます。
たとえば2011年6月に投入された日本製のレスキューロボット「Quince(クインス)」は、放射線の測定と燃料プール付近の撮影には成功しましたが、クローラー幅よりも階段の幅が狭く、本来調査を行いたかった地下に降りることはできませんでした。また、ケーブルの断線によって戻って来ることができず、現在も現場にとどまっている状況です。

放射線量の把握で、処理作業の進展に貢献イメージ

改善を重ねて、現場で役立つロボットを開発

こうした先行事例を踏まえて、産総研が重視したのは確実に目的の場所に行き、さらに元の場所に戻って来られるということ。そのため作業台車には高性能クローラーを搭載し、遠隔操作機能も装備するなど、現場で役立つものになるよう、改善を重ねて完成させました。
建屋内では基本的には有線通信ですが、無線も搭載しました。これはケーブル断線で現場に残っているロボットと他のロボットを無線通信させることで、現場からロボットを帰還させられる可能性を含んでいます。また、ケーブル長を400mにしたのは、万一ケーブルが何かに引っかかっても、残りを引き出して帰還できるとの配慮からです。さらに、アーム部分は、狭い場所にある複雑な配管の間でも作業ができるように設計されています。
これまで「高所調査ロボット」は、現場に2回入り、線量の計測や調査を行いました。実際に見えてきた課題についても改善を進め、さらなる新機能を追加することも計画しています。

改善を重ねて、現場で役立つロボットを開発イメージ

こんなことが現実になるかも?

  • ロボットレスキュー隊員が配備された?
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  • あのアニメのロボットがリアルに完成?
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  • 「えっ、君ロボットなの!」が日常茶飯事に?

産総研には「夢」がたくさん!

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