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日常生活から先端産業までを支える計量標準

計量標準総合センター(NMIJ)は、持続可能な社会の構築、生活・環境の評価と向上、産業の国際競争力強化への貢献を目指し、国家計量標準機関(NMI: National MetrologyInstitute)として国が整備すべき計量標準の開発・供給と利活用促進、計量標準の普及、計量標準に関連した計測技術の開発、法定計量業務の実施と人材の育成について重点的に取り組みます。


重点戦略概要

計量標準の整備と利活用促進

ユーザーニーズなどを勘案し定期的に更新される国の知的基盤整備計画に基づいて、長さ、質量、時間などの物理標準と高純度、組成系などの標準物質の開発・範囲拡張・高度化などの整備を行います。また計量標準の利活用を促進するため、参照標準器や各種センサの開発を通じ、計量標準トレーサビリティの高度化を図ります。さらに国際単位系(SI)に定める単位の定義改定に対応するなどの次世代計量標準の開発を進めます。

計量標準の普及活動

より広いユーザーが計量標準を利活用できるよう環境を整備し、情報提供や相談などにより計量標準の普及促進に取り組みます。また、計量標準の管理・供給、国際計量標準と工業標準への貢献および計量標準供給制度への技術支援を行います。製品の認証に必要となる計量標準の国際同等性を確保します。計量法の運用に係る技術的な業務と審査、およびそれに関連する支援を行います。

計量標準に関連した計測技術の開発

計量標準に係る計測・分析・解析手法および計測機器・分析装置の開発・高度化を行います。工業標準化や国際標準化を推進し、開発した機器・技術、コンサルティング業務により、ユーザーにソリューションを提供します。研究開発の基盤強化に資する計量に係るデータベースの整備・高度化に取り組みます。

法定計量業務の実施と人材の育成

計量法の適切な執行のため、特定計量器の基準器検査や型式承認試験などの試験検査・承認業務を着実に実施します。また、計量教習などにより人材育成に取り組みます。さらに、新しい技術に基づく計量器の規格策定などにも積極的な貢献を図ります。

4研究部門および1普及センターの重点戦略

計量標準総合センターでは、工学計測標準研究部門、物理計測標準研究部門、物質計測標準研究部門、分析計測標準研究部門、計量標準普及センターの4研究部門と1普及センターにて、上記の重点戦略に取り組みます。
工学計測標準研究部門では、自動車に代表されるものづくり産業の高度化に役立つ、幾何学量、質量、力学量、流量などに関連する国家計量標準の整備と普及、関係する計測・評価技術の開発を行います。また、アボガドロ定数精密測定による質量標準などの次世代計量標準の開発を推進します。さらに、試験検査と承認業務などの法定計量業務を実施します。

キログラムの再定義を目指すシリコン球とレーザー干渉計(アボガドロ定数精密測定用)の画像

キログラムの再定義を目指すシリコン球とレーザー干渉計(アボガドロ定数精密測定用)

物理計測標準研究部門では、エネルギーや電気・電子機器産業などに資する、電気、電磁波、周波数、温度、光などに関連する国家計量標準の整備と普及、関係する計測・評価技術の開発を行います。また、光格子時計による時間標準や単電子ポンプによる電流標準、熱力学温度計測などの次世代計量標準の開発を推進します。

次世代の時間標準を目指す光格子時計の画像

次世代の時間標準を目指す光格子時計

物質計測標準研究部門では、高純度標準物質および、生体関連や組成系、先端材料系標準物質など、材料・化学産業などに資する国家計量標準の設定と標準物質の整備・普及、関係する計測・評価技術の開発を行います。また、材料、計量、評価技術などに係る信頼性が明示されたデータベースを維持・高度化します。

有機標準物質の整備と普及を加速する定量NMRの画像

有機標準物質の整備と普及を加速する定量NMR

分析計測標準研究部門では、医療機器の信頼性確保に必要な治療用標準に代表される、分析・検査産業などに資する放射線、超音波などの基盤となる国家計量標準の整備と普及を行います。また、微細構造計測技術や非破壊検査用X 線発生技術など、関係する先端計測・評価・分析・検査技術の開発を行います。

医療用リニアックを用いた治療レベル線量標準の画像

医療用リニアックを用いた治療レベル線量標準

計量標準普及センターでは、計量標準の円滑な供給を通じて、計量標準の普及を図ります。また、計量標準の品質管理、計量法に係る計量技術に関する関係機関との調整、国内の計量技術者の計量技術レベルの向上のための計量教習などを行うとともに、法定計量の技術に関する相談、講習などを行い、役立つ情報を提供します。


最近の研究成果

たった1個の電子で1ビットを表現する世界初のデジタル変調を実現

電流の最小単位である電子を1個単位でオン・オフ制御できる単一電子デジタル変調技術を開発した。電流は電子の流れなので、電子1個1個を正確に制御・検出できれば、従来の計測器では不可能だった精度での電流発生・計測を実現できる。産総研では、これまで、半導体ナノ加工技術で作製した単一電子素子を用いて、一定周期で電子を1個ずつ送り出し、直流電流を発生・計測する技術の開発に取り組んできた。今回、電子の密度を時間的に変化させる単一電子デジタル変調技術を開発し、電子数個レベルで正確な任意波形の電流を発生させることに成功した。発生させた電流を基準とすることで、直流(0 Hz)~メガヘルツ(MHz)の周波数帯域で、フェムトアンペア(fA)(10-15 A)以下の極微小電流を精密に測定できるようになる。今回開発した極微小電流の発生技術は、低消費電力化が期待されるスピントロニクスなど次世代素子の研究開発や、ナノ構造中で生じる物理現象の解明などの基礎研究への貢献が期待される。

高出力フレキシブル熱電モジュールの開発

量産性に優れた、87 mW/cm2の高出力フレキシブル熱電モジュールを開発した。熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電モジュールを用いて、身の回りの廃熱(未利用熱)を、活用する発電が期待されているが、セラミックス基板に熱電材料を実装した従来の平面型熱電モジュールは、基板が固くて曲がらないため、排熱源の多くを占める配管などの熱が効率よく伝わらず、モジュールの熱回収効率が低いという課題があった。そこで、曲面にも設置できるよう、フレキシブル基板と、以前から電子冷却用の素子として広く利用されている熱電材料であるビスマス・テルル材を用い、平面型に比べ熱回収効率に優れたフレキシブル熱電モジュールの開発を進めてきた。今回、ビスマス・テルル材に遷移金属をドーピングした熱電素子を用いて、発電性能を従来の1.5倍に向上させ、この熱電材料を極薄のフレキシブル基板に実装したフレキシブル熱電モジュールは、湾曲した熱源に対し、温度差70 ℃で発電出力87 mW/cm2と高い発電性能を示した。さらに、その材料を以前よりも安価に大量生産できるビスマス・テルルのインゴット製造プロセスを確立した。これにより、工場プラントの温水・ガス配管など曲面状の熱源を利用できるようになるため、廃熱を活用した発電の拡大が期待される。


研究ユニット

工学計測標準研究部門

幾何学量・質量・力学量・流量などに関連する国家計量標準の整備と普及、計測・評価技術の開発

工学計測標準研究部門では、自動車に代表されるものづくり産業の高度化に役立つ、幾何学量・質量・力学量・流量などに関連する国家計量標準の整備と普及、関係する計測・評価技術の開発・高度化を行います。これら開発・高度化した計測・評価技術及び計測機器を用いて、ユーザが必要とするソリューションの提供に務めます。また、アボガドロ定数精密測定による質量標準など、次世代計量標準の開発を推進します。さらに、工業標準化や国際標準化をはじめとする基準認証業務への貢献を図ります。加えて当部門では、特定計量器と呼ばれる、規制が要求される計量器の型式承認や、その検定に必要な基準器の検査など、商取引における消費者保護などを目的とした法定計量業務を実施します。

工学計測標準研究部門の画像

研究拠点

つくばセンター(中央)

所在地

〒305-8563 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第3
TEL : 029-861-4346 FAX : 029-861-4152
工学計測標準研究部門WEBサイト

物理計測標準研究部門

産業基盤となる電気・周波数・温度などの計量標準・計測技術の開発と、その応用技術の開発

エネルギーや電気・電子機器、材料等の多くの産業の基盤となる、電気、電磁波、時間・周波数、温度、光などの国家計量標準と計測・評価技術の開発、その産業への応用に取り組んでいます。
電圧、抵抗、インピーダンスなどの量子効果に基づく電気標準は、電気計測の信頼性の向上や新技術の開発などに貢献します。高周波電気標準や、電界・磁界、各種アンテナ、周波数の標準は、通信技術の高度化や、電子機器が発する電磁波の評価などに貢献します。温度標準は、半導体や材料の製造プロセスで重要となります。LEDやレーザーなどの新光源の測光技術は、様々な産業分野への応用が期待されています。
さらに、次世代計量標準となる技術の確立を目指し、光格子時計による時間標準や単電子ポンプによる電流標準、熱力学温度計測などの開発も推進しています。

物理計測標準研究部門の画像

研究拠点

つくばセンター(中央)

所在地

〒305-8563 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第3
TEL : 029-861-4365
物理計測標準研究部門WEBサイト

物質計測標準研究部門

標準物質を通じて確かな値を全ての人に

科学的根拠に基づいて定量的に物質の状態や性質を知ることは、私たちのくらしを安全で安心なものに、また豊かなものにするために必要不可欠です。物質計測標準研究部門では、化学分析の基礎を支えるpH 標準液や元素標準液、生活・食品の安全性確保に不可欠な生体関連標準物質や組成系標準物質、高品質な工業製品の開発・生産で利用される先端材料系標準物質など、材料・化学産業などへ資する国家計量標準の設定と標準物質の整備・普及、関係する計測・評価技術の開発を行います。また、材料、計量、評価技術等に係る信頼性が明示されたデータベースを維持・高度化します。

物質計測標準研究部門の画像

研究拠点

つくばセンター(中央)

所在地

〒305-8563 つくば市梅園1−1−1 中央第3
TEL : 029-861-4125 FAX : 029-861-4125
物質計測標準研究部門WEBサイト

分析計測標準研究部門

分析・検査産業を支える国家計量標準の整備・普及と先端計測・評価技術の開発

分析計測標準研究部門では、医療用リニアックを用いた治療レベル線量標準、食品の放射能測定、環境騒音の低減に資する標準などに代表される、医療の信頼性、分析・検査産業の発展を支える放射線・放射能・中性子・音響・超音波に関連する国家計量標準の整備と普及を行います。また、ナノ材料の評価等に必要な微細構造解析と製品や施設など構造物の非破壊検査のために、陽電子、X線、レーザー光やイオンなどをプローブとした先端計測、評価、分析および検査技術の研究開発を行います。これら分析と計測に関する標準と先端技術を分析・検査産業等を通じて普及し、より豊かで安全な社会の構築に貢献します。

分析計測標準研究部門の画像

研究拠点

つくばセンター(中央、西)

参画する技術研究組合

・ミニマルファブ技術研究組合

所在地

〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2
TEL : 029-861-5300 FAX : 029-861-5881
分析計測標準研究部門WEBサイト

計量標準普及センター

計量標準の円滑な供給を通じて、計量標準の普及を図ります

計量標準普及センターでは、計量・計測器の校正・試験や標準物質の頒布などを通じて、計量標準の普及を図ります。また、計量標準の品質管理、計量法に係る計量技術に関する関係機関との調整、国内の計量技術者の技術レベル向上のための研修を行うとともに、法定計量の技術に関する相談、講習などを行い、役立つ情報を提供します。

計量標準普及センターの画像

研究拠点

つくばセンター(中央)

所在地

〒305-8563 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第3
TEL : 029-861-4124 FAX : 029-861-4018
計量標準普及センターWEBサイト


計量標準総合センター研究戦略部

連絡先:計量標準総合センター研究戦略部 研究企画室

E-mail:nmij-liaison-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)
TEL : 029-861-4346(計量標準調査室)

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