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生命工学領域

健康で活力のある長寿社会の実現を目指して

 生命工学領域は、新たな健康評価技術や創薬推進技術の開発、 あるいは個人の状態に合わせて健康維持・増進・回復を推進する技術の開発により、ライフ・イノベーションに貢献します。また、バイオプロセスを用いた環境負荷低減技術の開発により、グリーン・イノベーションに貢献します。これらの活動により、健康で安心して暮らせる健康長寿社会や環境負荷を抑えた持続可能な社会の実現を目指します。

生命工学領域の体制図1

重要戦略詳細

創薬基盤技術の開発

 創薬のリードタイムを短縮するために、これまで絨毯爆撃的に行われてきた古典的な新薬の探索から脱却し、短時間に低コストで成功率の高いスマートな創薬プロセスを実現することを目指します。そのために、ロボットやナノテクノロジー、数理解析技術を駆使した創薬最適化技術、ゲノムデータから疾病因子を推定したりゲノム情報の秘匿検索を行ったりするゲノム情報解析技術、糖鎖などのバイオマーカーによる疾病の定量評価技術など、新しい創薬の基盤となる技術を開発します。そのため、以下の研究開発に取り組みます。

  • 産総研が優位性をもつバイオとITを統合した医薬リード化合物最適化技術の高度化・高速化を進め、新薬開発速度の加速および開発コストの低減に資する創薬基盤技術の開発を行います。
  • 産総研がもつ優れた糖鎖解析技術やライブラリー解析技術を応用して、疾患に特異的に反応する分子標的薬の開発に資する基盤技術の開発を行います。
  • 生体分子の構造や機能を理解するとともに、得られた知見を活用し、新しい創薬技術基盤、医療技術基盤の開発を行います。

医療基盤・ヘルスケア技術の開発

 豊かで健康的なライフスタイル実現のために、医療基盤・ヘルスケア技術の開発を行います。そのために、損傷を受けた生体機能を幹細胞などを用いて復元させる再生医療などの基盤となる幹細胞の標準化と細胞操作技術の開発、健康状態を簡便に評価できる技術や感染症などの検知デバイスの開発、さらに、生体適合性や安全性の高い医療材料や医療機器の開発を行います。そのため、以下の研究開発に取り組みます。

  • 先進医療技術を確立するための基盤となる細胞操作技術と医療機器・システムの技術開発を行います。さらにガイドライン策定と標準化による幹細胞ならびに医療機器などの実用化支援を行います。
  • 健康状態を簡便に評価する技術や感染症などの検知デバイスの開発を目指して、健康にかかわる分子マーカーや細胞の計測技術、生理状態の計測技術、そのデバイス化技術の開発を行います。

生物機能活用による医薬原材料などの物質生産技術の開発

 化石燃料代替物質、化成品原料、医薬品原料、有用タンパク質、生物資材など、物質循環型社会の実現のために、遺伝子組み換え技術を用いて微生物や植物の物質生産機能を高度化し、バイオプロセスを用いた医薬原材料などの有用物質を効率的に生産する技術の開発を行います。そのため、以下の研究開発に取り組みます。

  • バイオプロセスによる高効率な物質生産技術の開発を進め、医薬原材料、有用タンパク質、生物資材、新機能植物品種、化石燃料代替物質、化成品原料などの有用物質を高効率に生産する技術の開発を行います。
  生命工学領域の体制図2

最近の研究成果

魚油による脂質代謝改善効果が摂取時刻によって異なることをマウスで発見

魚油の摂取による脂質代謝改善効果が、摂取時刻によって異なることを、マウスを使った実験により明らかにした。今回、DHAやEPAなどの機能性成分を含む魚油を、マウスに朝食あるいは夕食とともに摂取させたところ、朝食時の魚油が、果糖の過剰摂取によって引き起こされる脂質代謝異常を、より効率的に改善することが分かった。また、朝食時の魚油の摂取が、夕食時の魚油の摂取よりも、血中のDHAやEPA濃度を高める効果があることも確認できた。この成果は、時間栄養学の成果の積極的な実践による予防医学分野への貢献が期待される。

アフリカツメガエルの複雑なゲノムを解読

さまざまな生物の全ゲノム解読は、全遺伝子の解明を通じて広く生命科学に寄与するとともに、生物進化の研究に多くの知見をもたらしてきました。多くの動物は父方と母方からの同一のゲノムをもつ「二倍体」ですが、アフリカツメガエルは、異種交配と全ゲノム重複により一つの生物の中に異なる2種類のゲノムをもった「異質四倍体」とされていました。そのため、非常に有用なモデル生物であるにもかかわらず、全ゲノム解読が非常に困難と諦められ、主要モデル生物の中で唯一行われていませんでした。しかし日本とアメリカを中心とする国際コンソーシアムは、アフリカツメガエルの全ゲノム解読に挑み、見事その全貌を明らかにしました。得られた情報は今後生物学から医学に至るさまざまな研究分野に大きく貢献すると期待できます。加えて、アフリカツメガエルのゲノムの中にある2種類のゲノム(サブゲノム)が別々の染色体のセットに分かれて存在するという重要な発見をしました。それにより、このカエルは約1800万年前に、2つの種が異種交配と全ゲノム重複を起こして誕生した異質四倍体であること、その後2つのサブゲノムが一つの生物の中で異なる進化を辿ったことが明確に示されました。今日の地球上には実に多様な種類の脊椎動物が生息し繁栄していますが、その最大の要因と考えられるのが約5億年前の古生代カンブリア紀に起きたとされる「2回の全ゲノム重複」です。その謎を解くための重要な鍵、いわゆるロゼッタストーンとしてアフリカツメガエルのサブゲノムの進化の仕組みが役立つことになります。これは生命科学における画期的な成果です。


研究ユニット

創薬基盤研究部門

創薬や再生医療に求められる新たな技術の開発と産業化を目指して

病気を早期に検出するとともにその原因因子の異常を修復することが医療で求められています。当部門では、我々が強みとする“糖鎖解析技術”、“ヒト幹細胞の樹立・標準化技術と分化誘導技術”、“バイオインフォマティクスによるヒト由来大量データ解析技術”を駆使しながら、

  • ①糖鎖の差異を用いたガンを含む疾患の診断マーカー開発と診断薬への展開、疾患の生体内標的糖タンパク質の同定とその治療薬開発
  • ②安全なヒト幹細胞樹立・単離法の開発と幹細胞から作り出した細胞・組織・器官を創薬スクリーニングや再生医療へ応用するための効率的な幹細胞分化誘導技術
  • ③大量ゲノムデータから疾病因子を効率よく推定するバイオインフォマティクス技術やゲノム情報の秘匿検索技術の開発
など、創薬や再生医療に求められる新たな技術の開発と企業連携による成果の産業化を進めています。

 

創薬基盤研究部門の画像

研究拠点

臨海副都心センター、つくばセンター(中央)

参画する技術研究組合

・幹細胞評価基盤技術研究組合(SCETRA)
・次世代天然物化学技術研究組合
・エピゲノム技術研究組合(EpiRA)
・高機能遺伝子デザイン技術研究組合(TRAHED)
・次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)

所在地

〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 つくば中央第2
TEL : 029-861-3253 FAX : 029-861-3252
創薬基盤研究部門WEBサイト

バイオメディカル研究部門

生体分子・細胞・個体の一体的な機能を理解し、新たな創薬基盤技術を創出

生体分子の構造・機能、細胞の機能・動態、個体の病態・発症メカニズムを理解、解明するとともに、得られた知見を活用し新しい創薬基盤・医療基盤技術の開発を進めています。
新しい薬の開発や病気の治療法の開発のため、生体メカニズムや疾病に関連する遺伝子・蛋白質などの機能・構造の解明や、生体内での複数の事象を総合的に制御する仕組みの解明を目指します。併せて、それら生体内事象の制御技術や、疾病診断に寄与する高感度センサなど、創薬・医療産業振興に求められる新しい基盤技術を開発します。また企業や国際機関との連携およびその活動を支援するハブ機能を強化し、さらには、進行しつつあるバイオテクノロジーの国際標準化の流れに対応できる国際競争力のあるバイオメディカル研究を推進します。

バイオメディカル研究部門の画像

研究拠点

つくばセンター(中央)、関西センター

参画する技術研究組合

・次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB)

所在地

〒305-8566 茨城県つくば市東1-1-1 中央第6
TEL : 029-861-6022  FAX : 029-858-3282
バイオメディカル研究部門WEBサイト

健康工学研究部門

医療機器基盤・ヘルスケア技術の開発により健康な社会づくりへ貢献

健康工学研究部門では、持続可能な社会の中で健康かつ安全・安心で質の高い生活の実現を目指し、人と適合性の高い製品や生活環境を創出するための研究開発を行います。具体的には、

  • 1)医療機器の高度化とレギュラトリーサイエンス
  • 2)健康状態の可視化
  • 3)生活環境における健康増進
を研究開発の柱としました。大学や産業界とも連携し、基礎研究から橋渡し研究を進め、健康工学研究領域の確立、並びに21世紀における新たな健康関連産業創出に貢献することを目指します。
また、本研究部門は、四国、つくばに研究開発拠点を置き、地域の健康関連産業の活性化への貢献を着実に推進することも任務とします。

 

健康工学研究部門の画像

研究拠点

四国センター、つくばセンター(中央、東)

所在地

〒761‑0395香川県高松市林町2217‑14
TEL : 087‑869‑3526 FAX : 087‑869‑4178
健康工学研究部門WEBサイト

生物プロセス研究部門

バイオテクノロジーによるものづくりのための基盤研究から実用化へ

当部門は、バイオプロセスによる高効率な物質生産を目指した基礎的・基盤的研究から実用化研究に至るまでの一貫した研究を行い、化石燃料代替物質、化成品原料、医薬化学品、有用タンパク質、生物資材など、物質循環型社会の実現ならびに高品位な物質生産技術の開発に貢献することを目的とします。本目的を達成するために微生物あるいは植物を利活用した物質生産技術の開発に取り組んでいます。
微生物を中心とした研究では、

  • ①生物資源や有用遺伝子資源探索技術開発
  • ②微生物の生理的変化をゲノム科学的手法により解析し物質生産に結び付ける手法の開発
  • ③物質生産に適したプラットフォームの開発を推進します。
 一方、植物を中心とした研究では
  • ①植物機能を改変する技術あるいは育種技術などによる有用植物の作出
  • ②植物工場など人工環境による高度な栽培技術の開発などを行います

 

生物プロセス研究部門の画像

研究拠点

北海道センター、つくばセンター(中央)

参画する技術研究組合

・高機能遺伝子デザイン技術研究組合(TRAHED)

所在地

〒062‑8517札幌市豊平区月寒東2条17‑2‑1
TEL : 011‑857‑8537 FAX : 011‑857‑8915
生物プロセス研究部門WEBサイト

創薬分子プロファイリング研究センター

「橋を渡る」-「橋渡し」研究の深化

世界断然トップの高精度なバイオ計測技術とバイオIT技術を融合することにより、新薬開発に要する時間を短縮化し、開発コストを大幅に削減する次世代の革新的な創薬プロセスを実現します。当研究センターでは、“高精度かつ網羅的な定量プロテオミクス”、“オミックスデータ数理情報システム解析”、“分子設計・分子シミュレーション”に関する基盤技術を開発してきました。それぞれの基盤技術を一つの拠点で同時進行することにより高い相乗効果が生まれ、これまでに多数の国内外製薬企業との「橋渡し」研究へと繋げています。また今年度から、産学官によるオープンイノベーション拠点形成をさらに促進するために組織を改編し、より多様な産業界ニーズに対応できる技術開発を進めるとともに、7つの実用化目標を設定し、すべての課題について事業化-橋を渡る-を目指します。

創薬分子プロファイリング研究センターの画像

研究拠点

臨海副都心センター

参画する技術研究組合

・次世代天然物化学技術研究組合
・エピゲノム技術研究組合(EpiRA)

所在地

〒135-0064 東京都江東区青海2-4-7
TEL : 03-3599-8100 FAX : 03-5530-2064
創薬分子プロファイリング研究センターWEBサイト


「プロジェクトユニット」、「研究ラボ」、「オープンイノベーションラボラトリ」

 「プロジェクトユニット」は政策的・社会的に重要な国家プロジェクト等の研究課題を、「研究ラボ」は将来の研究センター化を目指す重要な研究課題や政府等からの要請に基づく研究課題、研究所外との連携研究課題等を、領域や研究部門を問わずに集中的に実施する研究者の集合体です。また、「オープンイノベーションラボラトリ(OIL)」は経済産業省の進める「オープンイノベーションアリーナ構想」の一環として、大学等内に設置する連携研究拠点です。OIL の設置を行うことで大学等の基礎研究と、産総研の目的基礎研究・応用技術開発を融合し、産業界へ技術の「橋渡し」を推進します。

研究ラボ

  • 創薬資源研究ラボ
  • ペプチド創薬研究ラボ
  • ヒト細胞医工学研究ラボ

オープンイノベーションラボラトリ(OIL)



生命工学領域研究戦略部

連絡先:生命工学領域研究戦略部 研究企画室

E-mail:life-liaison-ml*aist.go.jp(*を@に変更して送信下さい。)
TEL : 029-862-6032


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