つくって学ぼう
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セロファンテープで、偏光の状態が変わるのはどうしてでしょう。セロファンテープのように方向によって性質のちがう(異方性)物質では、方向によって屈折率がちがうことがあります。これを複屈折といいます。セロファンテープでは分子の向きがある程度そろっているので、たてと横の方向で屈折率がちがいます。ここでポイントとなるのは、屈折率がちがうと、光の速度がちがうことです。なので、たてと横の方向でテープの中を進む光の速度がちがっています。
セロファンテープに45度傾いた直線偏光が入ることを考えてみましょう。テープに入った偏光(赤)はたて向き(ピンク)と横向き(緑)の偏光を合成したものと考えることができます。(波の山の位置がそろっていることに注意。)
テープの中では、縦向きの偏光と横向きの偏光では速度がちがいますから、入るときは、波の山の位置(位相)がそろっていますが、テープから出るときには波の山の位置がずれています。また、このずれはテープの厚さによって変わることも、図からわかると思います。
もし波の山の位置が波長の4分の1だけずれていると、たて向きの偏光(ピンク)と横向きの偏光(緑)を合成すると、ちょうど円偏光になります。波長の2分の1だけずれているときは、合成するともとの直線偏光と90度方向の変わった直線偏光になります。1波長分ずれていると、ものと偏光と同じになります。これらの中間のずれのときは、たて向きの偏光と横向きの偏光を合成するとだ円偏光になります。(図のピンクと緑の偏光を合成して、薄茶色と青の方向に分解すると、だ円偏光になっていることがわかります。)
波の山の位置のずれと波長との関係でどのような偏光になるかが決まるので、波長がちがうとちがった偏光になります。波長が短いほど、テープの中を少し進んだだけで変化しますから、図のように偏光がテープの中を進むときに、波長によって偏光の状態がちがってしまうのです。