つくって学ぼう
監修:下村正樹
「偏光」を知っていますか?光には波の性質がありますが、普通の光は、いろいろな方向の波が混ざっています。ひとつの方向にそろった波の光を(直線)偏光といいます。光が偏光板を通ると偏光になります。ある方向の波の光だけが、偏光板を通り抜けられるからです。セロファンテープは、どこにでもありますが、特殊な性質(複屈折という特殊な屈折率)をもっています。(直線)偏光がこのような物質を通り抜けるとき、特殊な偏光(円偏光やだ円偏光といいます)に変化します。偏光板とセロファンテープのこのような特性を利用して、紙コップを使った「万華鏡?」を作ってみましょう。
作り方は、産総研のイベントで体験してもらっているものを例に説明します。
まず、紙コップの底の中央に丸い穴を開けます。二つとも同じような穴を開けてください。ここに偏光板を貼り付けますので、あまり大きな穴にしないでくださいね。(カッターなどを使うときは気をつけてください。)ちょっと難しいので、小さい子は大人にやってもらいましょう。
偏光板2枚と透明な板を、コップの底に入って、開けた穴より大きい形にします。産総研のイベントでは、八角形にしています。
偏光板には保護フィルムが、貼ってあることがあります。とってしまったほうが良いでしょう。
偏光板をコップの底に貼ります。両面テープを使う場合は写真のように偏光板の4ヶ所ぐらいに細い両面テープをつけます。のりで貼る場合は、コップの底にのりをつけて貼ると良いでしょう。
1つのコップには外側から、もう1つのコップには内側から、偏光板を貼り付けます。
2種類のコップができます。
次に、透明な板にセロファンテープをいろんな向きで、たくさん重ねて貼り付けます。
内側から偏光板を貼り付けたコップの中に、テープをたくさん貼った透明な板を入れます。
上から、もう1つのコップを重ねて、「偏光万華鏡」のできあがり。
偏光万華鏡を明るい方向(窓など)へ向けて、重ねたコップのうち、どちらか1つを回しながらのぞいてみましょう。
こんな風に、色がついて見えたでしょうか。コップを回すと色が変わって見えますよ。
この「偏光万華鏡?」は、色のついた材料をまったく使わないで作りました。色がついてないのに、どうしてきれいな色が見えたのでしょう。不思議に思いましたか?でも、本当は何も不思議なことではありません。科学の目でみると、あたりまえのことなのです。科学の知識をうまく使うとこんなことができてしまいました。