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地熱チーム

地熱適正利用のための技術

地熱チーム紹介ビデオ

  • 地熱チームの表紙 「地球の恵みを生かす」 地熱の適正利用のための研究開発

    [ YouTube 4分 ]

研究背景

 火山国である我が国には膨大な地熱エネルギーが存在しています。地熱エネルギーは気象条件等に依存せず安定しているため、再生可能エネルギーの中ではベースロードを賄う役割が期待されています。

研究目標

 当チームでは「地熱の適正利用」をキーワードに、地熱エネルギーを地下や社会の状態に合わせて適正な規模および形態で持続的に利用するための研究開発を実施しています。短期的には、温泉と共生した地熱発電のためのモニタリング機器の開発や貯留層変動の高度モニタリング等により、持続的な発電と発電量の増大に直接的に寄与すること目指しています。また、長期的には沈み込み帯に起源を有する超臨界地熱資源を利用した革新的発電法の開発や、地熱エネルギーの社会実装法の導出等により、ベースロード電源として地熱エネルギーを大規模に利用可能にします。

【図1】地熱研究開発の必要性
【図1】地熱研究開発の必要性
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【図2】FREA地熱研究のロードマップ
【図2】FREA地熱研究のロードマップ
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研究内容

 現在、当チームでは、地熱の適正利用を実現するために、国や民間企業等からの委託を受け、様々なプロジェクトを実施しています。それとともに、地熱システムの科学的理解の深化へ向け、地球科学に関連した様々な基礎研究も実施しています。
 地下は不可視であり、また、地熱資源の特性は地域に大きく依存するため、地熱研究では、フィールドで実データの取得を行ない、それをベースに研究を行うことが非常に重要です。このため、東北地方を中心とした多数のフィールドで、野外実験、モニタリング、機器テスト等を実施しています。
 当チームでの研究開発の主な達成目標は以下のようになります。

  • 沈み込み帯に起源を有する超高温・高圧の超臨界地熱資源の開発可能性を探求し、2050年以降に大規模ベースロード発電のために利用可能にします。
  • 室内実験やシミュレータの開発を通じて、水圧刺激や注水による貯留層の最適作成・制御技術を開発します。これにより地域に依存せず、持続性を有した開発・利用方法を導出します。
  • 地震,電磁波信号等の高度解析法の開発に加え、MEMS、光ファイバ等を利用した高機能センシングシステムの開発等を進め、地下数kmの貯留層内で生じている現象の解明と可視化を実現します。
  • AIやIoT技術の導入により、温泉と地熱発電の共生のためのモニタリングシステムや地熱資源量の評価を実現します。
  • 東日本大震災被災地域の企業が有する技術シーズの実用化支援を通じて地熱関連産業の振興に寄与します。

 地熱チームの研究者が国内研究者のリーダーシップを取り、沈み込み帯に起源を有する超臨界地熱資源の開発による国内総容量数10kW~数100GWの発電可能性を提示しました。現在、2050年以降にベースロード電源として大規模に利用可能にするための研究開発を進めています。

【図3】超臨界地熱システムのモデル
【図4】柳津西山地熱発電所
(写真提供:東北電力株式会社)
【図5】地表設置型3成分地震計の設置状況
微小地震情報統合可視化システム
【図6】微小地震情報統合可視化システム(注水した水の挙動のモニタリング)
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主な研究設備

【図7】温泉システム模擬装置

 温泉の配管系を室内で模擬することが可能です。温泉モニタリング用センサの評価や、温泉発電装置の実験等に使用します。

【図8】亀裂せん断滑り実験装置

 高温・高圧の地熱貯留層内で発生する力学現象を模擬可能な装置です。

【図9】超高温坑内模擬装置

 350℃、600気圧の坑内環境を模擬可能な装置です。機器、素材の開発に使用します。

主な研究成果

超臨界地熱資源の開発

 国内研究者からなる研究チームを統率して、国内複数地点で物理探査や地質学的情報の収集等を行い、超臨界地熱システムの性状を明らかにするとともに超臨界地熱資源を利用した商用発電の実現可能性を示しました。

微小地震による地熱貯留層の高度モニタリング

 地熱フィールドで取得した微小地震の高度解析を進め、精度の高い微小地震発生位置の推定とともに、地震波に含まれる散乱波や反射波の検出を行い、貯留層内での水の流れのモニタリングを実現しました。

人工地熱システムシミュレータの開発

 岩石力学・貯留層工学に関する室内実験等を通じてEGS(Enhanced Geothermal Systems)型地熱貯留層造成・生産シミュレータを開発しました。

温泉泉質の遠隔連続モニタリングシステムの開発

 地熱発電と温泉との関連を科学的に説明可能にするために、温泉の泉質(温度、流量、電気伝導度等)を自動遠隔モニタリングできるシステムを開発するとともに、取得したデータのAIによる解析法を導出しました。

被災地企業の技術シーズ支援

 被災地企業の技術シーズ支援を行い、坑内計測機器、地熱貯留層シミュレータ、温泉発電装置、温泉水利用水素製造システム等について実用化へ向けた機能向上を実現してきました。

【図10】簡易遠隔温泉モニタリング装置
【図11】地熱貯留層シミュレータ
【図12】小型温泉発電装置
【図13】シーズ支援事業により開発した地熱井・温泉井用ボアホールスキャナー

メンバー

役職 氏名
研究チーム長 浅沼 宏(兼務) Asanuma Hiroshi
主任研究員 山谷 祐介 Yamaya Yusuke
主任研究員 石橋 琢也 Ishibashi Takuya
主任研究員 渡邉 教弘 Watanabe Norihiro
研究員 岡本 京祐 Okamoto Kyosuke
研究員 鈴木 陽大 Suzuki Youta
研究チーム付 柳澤 教雄 Yanagisawa Norio
研究チーム付 最首 花恵 Saishu Hanae
国立研究開発法人 産業技術総合研究所