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最近の研究成果

リチウムイオン電池 2016年5月23日発表

電池内部の反応不均一性を可視化-長距離走行を可能とする自動車用電池設計へ適用-

リチウムイオン電池内部の反応不均一現象を可視化し、その発生要因を解明しました。実用の電池設計はトライ&エラーの要素を多く含んでいますが、今回の成果を用いることで、より科学的な観点からの高性能な電池の設計が可能になります。今後、電気自動車の走行距離拡大へ向けた二次電池開発への適用が期待されます。

リチウムイオン電池合剤電極の模式図、電子は集電体側、リチウムイオンは電解質側から供給される図

遺伝子組換え動物 2016年4月7日発表

ゲノム編集でニワトリを品種改良-低アレルゲン性卵の生産へ道筋-

卵白に含まれる強力なアレルゲンであるオボムコイドの遺伝子を欠失したニワトリを開発した。今回、次世代の品種改良技術としてさまざまな動植物で研究が行われているゲノム編集技術のクリスパー・キャス9(ナイン)法をニワトリに初めて適用して、ニワトリなど家禽(かきん)の新しい品種改良法を開発した。ゲノム編集により精子や卵子の元になる始原生殖細胞のオボムコイド遺伝子を欠失させて、オボムコイド遺伝子欠失ニワトリを作製した。このニワトリが生産する卵は、オボムコイドタンパク質を含まないことが期待され、副作用の少ないワクチンの生産や低アレルゲン性卵の開発に繋がると期待される。

卵白アレルゲン「オボムコイド」遺伝子を欠失したニワトリ(左写真)と遺伝子型解析の結果の比較(右図)の図

アクセシブルデザイン 2016年5月9日発表

どの方向からも画像が自分に向いているように見えるディスプレイを開発-標識・広告・テレビなどでの活用により情報にアクセスしやすい環境の実現を目指して-

360度どの方向から見ても画像が正面を向いているように見える表示技術を用いたディスプレイのプロトタイプを開発した。これまでの表示コンテンツの見やすさの改善の研究では、表示面を正面から見た条件での見やすさは改善できるが、表示面の正面方向から見た場合以外の見やすさは改善できなかった。そこで特殊なレンズ構造を使った独自の表示技術(特許出願中)を開発し、どの方向からみても表示面が自分の方向を向いているように見える静止画のディスプレイのプロトタイプを製作した。このディスプレイは、複数の利用者が同時に異なる角度から見ても、歩きながら見た場合でも、常に正面が表示されるため、これまでの一般的な表示では必ずあった見にくい角度や死角がなく、全ての利用者が最も見やすい正面向きの表示で内容を確認できる。また、表示装置のサイズには制限がほとんどないため、大規模イベント会場や駅・病院などの公共施設の案内や標識、文房具や玩具まで数多くのシーンでの活用が期待される。開発した技術は、公共スペースや交通機関、大型施設など、生活環境のあらゆる場所で、高齢者や障がい者を含むより多くの人々が情報にアクセスしやすい環境を実現するとともに、既存の情報環境の改善へ貢献することが期待される。

ディスプレイの試作模型(a,bは別角度から撮影)と利用例(cのイラストの矢印箇所)の図

悪臭除去 2016年5月10日発表

青色顔料が高性能アンモニア吸着材であることを発見-悪臭除去、PM2.5対策、燃料電池用水素精製へ期待-

プルシアンブルーは古くから使用されている顔料の一つである。今回、一般的なアンモニア吸着材であるゼオライトや活性炭よりもプルシアンブルーの方がアンモニアをよく吸着することを確かめた。また、プルシアンブルーに含まれる金属を他の金属で置換するとともに欠陥量を増加させた類似体では、アンモニア吸着量が増加した。さらに、一般的なアンモニア吸着材の場合、低濃度アンモニアの吸着能が低いが、プルシアンブルーは、空気中の「臭わないレベル」の低濃度アンモニアでも吸着できた。プルシアンブルー類似体はいったん吸着したアンモニアを放出させて、再利用できることも確認した。 この技術は、介護施設等におけるアンモニア臭対策、PM2.5の発生抑制技術や、水素燃料中のアンモニアを除去する技術としての利用が期待される。

プルシアンブルー(左)と、アンモニア分子を吸着するプルシアンブルーの結晶構造(右)の図

金属配線印刷 2016年4月20日発表

超微細回路を簡便・高速・大面積に印刷できる新原理の印刷技術を開発-あらゆる生活シーンのIoT化・タッチセンサー化を加速する新技術-

紫外光照射でパターニングし、銀ナノ粒子を高濃度に含む銀ナノインクを表面コーティングするだけで、超高精細な銀配線パターンを製造できる画期的な印刷技術「スーパーナップ(SuPR-NaP;表面光反応性ナノメタル印刷)法」を開発した。プリンテッドエレクトロニクス技術のうち、微細な電子回路の構成に欠かせない高精細な金属配線を印刷する技術は、冶具・版などの汚染による繰り返し再現性の乏しさ、塗布後の基材表面上での金属粒子どうしの焼結・融着、高温の後処理によるプラスチック基板の歪み、基材の屈曲による配線の剥がれなどが課題であった。今回開発した技術は、紫外光の照射によって形成した活性の高い基材表面上に、銀ナノインク内の銀ナノ粒子を選択的に化学吸着させ、粒子と粒子との自己融着によって低い抵抗の銀配線を形成する。これにより、プラスチック基板に強く密着し、最小線幅0.8マイクロメートルの超高精細な金属配線を、真空技術を一切使うことなく、大面積基材上に簡便・高速に印刷で作製できるようになった。フレキシブルなタッチパネルセンサーがこの技術によって実用化される予定であり、今回8インチの試作品を作製した。

スーパーナップ法による金属配線の印刷製造工程の一部(左)とフレキシブル基板(右)の写真

地震火山災害情報 2016年5月20日発表

東アジア地域の地震と火山噴火に関する災害情報図が完成-過去に発生した災害情報を1枚の地質図に表示-

過去の大規模な地震、火山噴火、それに伴い発生した津波による災害情報をまとめた「東アジア地域地震火山災害情報図」を作成した。「東アジア地域地震火山災害情報図」は、東アジア地域において過去に発生した大規模な地震、火山噴火、そしてそれに伴って発生した津波による災害情報を1枚の地質図にまとめたものである。災害規模、犠牲者数とその要因などが地質図上にアイコンで表示されているため、一目で対象地域の災害状況を把握できる。海外進出企業や旅行者などのリスク管理意識向上などが期待できるほか、防災計画の策定やハザードマップ作成の際の基礎データとしても利活用できる。画像データは5月20日より地質調査総合センターのウェブサイト(https://www.gsj.jp/HomePageJP.html)で公開するとともに、各国の関係機関や研究者などに提供していく。今後、アジア太平洋地域地震火山ハザード情報システム(http://ccop-geoinfo.org/G-EVERj/)上でも、今回まとめた情報のGISデジタルデータを随時公開していく予定であり、これらのデータを人口分布など他の情報と重ね合わせ、さまざまな解析に用いることが可能となる。

 東アジア地域地震火山災害情報図の一部の図

電磁波ノイズ 2016年4月19日発表

EMC試験で用いる擬似電源回路網を簡単に校正できる技術を開発-電子機器の安全性確認の効率化に貢献-

電子機器の安全性を確認する電磁環境適合性(EMC)試験のうち、伝導エミッション試験に用いる擬似電源回路網(LISN)を、簡単に校正できる技術を開発した。伝導エミッション試験では、LISNを用いて電子機器から発生する電磁波ノイズを測定するが、測定結果の信頼性を担保するために、事前にLISN自体の校正を行うことが国際規格で要求されている。ところが、LISNの校正には複数の標準器と複雑なデータ解析が必要なため、これまで主に専門の校正機関や校正事業者しか校正できず、時間とコストがかかっていた。今回、産総研と林栄精器は、LISNの校正に適した専用標準器を初めて開発し、さらに校正手順を単純化して校正システムの自動化を実現した。これにより、必要なときに、従来より大幅に短い時間で、またEMC試験現場でもLISNを簡単に校正できるようになる。今回の開発により、迅速かつ効率的な伝導エミッション試験の実施や伝導エミッション試験の信頼性の向上が期待できる。

今回開発した専用標準器(左)と擬似電源回路網(LISN)の自動校正システム(右)の写真

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