発表・掲載日:2016/12/26

新潟県内最古の化石を発見

-糸魚川市小滝から見つかった4億2千万年前の化石-


概要

 糸魚川市フォッサマグナミュージアム、国立大学法人 新潟大学、国立研究開発法人 産業技術総合研究所からなる研究グループは、新潟県糸魚川市小滝で採集された岩石から、古生代シルル紀(約4億2000万年前)※1という時代を示す放散虫※2化石を発見しました。

 これまでに新潟県内で発見されている最古の化石は、古生代デボン紀(約4億年前)※3のものであり、今回の発見はそれをさらに2000万年ほど遡る新潟県最古の化石記録となります。

 本研究成果は、平成29年1月27~29日に早稲田大学で開催される日本古生物学会第166回例会において発表されます。また、平成29年3月31日出版予定の新潟大学理学部紀要"Science Reports of Niigata University (Geology)"に詳細な内容が掲載されます。

古生代シルル紀の放散虫化石の図
図1. 小滝川流域で採集された礫岩中の珪質岩礫から発見された古生代シルル紀の放散虫化石


化石発見の背景

 フォッサマグナミュージアム、新潟大学、産業技術総合研究所 地質情報研究部門では、糸魚川の地質を明らかにする目的で平成22年から共同研究を行っています。これまでに市振地域の境川右岸の採石場において研究を行い、学会や論文を通してその成果を公表してきました(伊藤ほか,2012;Ito et al., 2014など)。

 平成26年からは小滝地域の研究を開始し、野外調査や化石の採集などを行ってきました。近年、フォッサマグナミュージアムと広島大学の児子修司博士は、小滝地域で採集された礫岩※4中の泥岩礫や石灰岩礫から古生代デボン紀※3のサンゴを発見しました(Niko et al., 2014, 2015など)(礫岩の入手の経緯※5)。一方で、この礫岩には珪質岩礫も含まれていますが、この礫からの化石の抽出は行われていませんでした。

地質時代表
図2. 地質時代表

化石発見の詳細

 本研究グループが研究対象とした礫岩試料は、小滝川ヒスイ峡ジオサイトの下流域である小滝の瀬野田から、河原の大きな転石として採集されました(図3)。この礫岩は現在フォッサマグナミュージアムに展示されています(図4)。本研究グループは、保管されているこの礫岩試料の一部の酸処理を行い、含まれていた珪質岩礫から大きさ1ミリメートル以下の放散虫※2化石を抽出しました。この放散虫化石(図1)はアメリカのテキサス州や岐阜県高山市の福地地域の古生代シルル紀※1の地層から報告されている化石群集と同じ種を含んでいることから、同時代のものと判断されました。これまでに新潟県内から発見・報告されている最古の化石記録※6は古生代デボン紀のものであり、本研究の結果は、県内最古となる化石の発見となります。全国的に見てもシルル紀の化石の産出地点は限られており、貴重な報告といえます。なお、この「シルル紀の化石を含む珪質岩礫」を含む礫岩が堆積した時代は、ジュラ紀(約2億年前)の可能性があります。

 また、現在糸魚川には古生代シルル紀の放散虫を含む地層の存在は知られていません。礫岩からシルル紀の放散虫を含む礫が発見されたことは、礫岩が堆積した当時はその地層が陸上に露出していたことを示します。このことは、糸魚川における数億年前の地質や地形を考える上で重要な情報となります。

展示

 今回の報道発表に合わせて、フォッサマグナミュージアム入口付近に特設展示コーナーを設けます。

化石の発見地点の位置図
図3. 化石の発見地点の位置図

研究対象とした礫岩(1)とその研磨片(2)ならびに放散虫を発見した珪質岩礫(3)の図
図4. 研究対象とした礫岩(1)とその研磨片(2)ならびに放散虫を発見した珪質岩礫(3)。
(1)の礫岩は現在、フォッサマグナミュージアムの第3展示室に展示されている。

今後の展開

 今回の研究により、新潟県内最古の化石が発見されました。この礫岩から古生代シルル紀及びデボン紀の化石が見つかっていることから、より古い時代の化石が発見される可能性もあります。

 今後も糸魚川市での調査・研究を継続し、この礫岩が露出する場所を探し、礫岩そのものの時代などについて解明していく予定です。



用語解説

※1. 古生代シルル紀
今から4億4000万年前~4億2000万年前の期間に相当する。数値年代については放射年代測定に基づく。生物の本格的な陸上進出が始まった時代として知られる。[参照元へ戻る]
※2. 放散虫(ほうさんちゅう)
海生の動物プランクトンであり、微小(大きさは0.1~0.3ミリメートル程度)な原生動物の一種である。5億年以上前の古生代カンブリア紀に現れ、現在の海にも生息している。化学的に安定なケイ酸質の殻をもつことから化石になりやすく、珪質岩や泥岩から見つかる。化石として残りやすい点や、進化が早く形が多様であることなどから、地層の年代を決定する示準化石として利用されている。[参照元へ戻る]
※3. 古生代デボン紀
上記の古生代シルル紀に続く時代で、4億2000万年前~3億6000万年前の期間に相当する。数値年代については放射年代測定に基づく。魚類が繁栄し、両生類が誕生した時代として知られる。[参照元へ戻る]
※4. 礫岩
2ミリメートル以上の石が川や海の底にたまってできた岩石。[参照元へ戻る]
※5. 礫岩の入手の経緯
平成9年ごろ、フォッサマグナミュージアム学芸員が、糸魚川市小滝の小滝物産で板状に切断された礫岩(当時、テーブルとして使用していた)に含まれる石灰岩礫に化石が含まれているのを見つけ、購入した。[参照元へ戻る]
※6. 新潟県内最古の化石
糸魚川では古生代ペルム紀・石炭紀の地層からサンゴや腕足類などの化石が多数見つかっている。転石からは古生代デボン紀のサンゴ化石が見つかっている。なお、日本最古の化石は、岐阜県高山市福地地域から発見された古生代オルドビス紀(約4億5000万年前)のコノドント化石である。[参照元へ戻る]



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