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発表・掲載日:2010/03/15

再生医療向けに高品質・高効率な細胞自動培養ロボットシステムを開発


細胞自動培養ロボットシステムの写真

 川崎重工業株式会社と独立行政法人 産業技術総合研究所は、将来大きな成長が期待される再生医療向けに、多人数の細胞を同時に、高品質・高効率で完全自動培養する細胞自動培養ロボットシステム(R-CPX:RobotizedCell Processing eXpert sytem)の実用機を開発しました。

 再生医療は、病気やけがなどで機能を失った臓器や組織を、培養した細胞、組織を使って回復させる先端医療です。現在の細胞培養は、GMP※1に準拠した細胞調製室(Cell Processing Center : CPC)※2を使用し、高度な熟練技術者の手作業によって行われています。また、他人の細胞の混入や細胞間の感染などを防止するため、同室内での培養は1室あたり1人分に限られており、細胞培養の能力不足が本格的な再生医療の実現に大きな障壁となっています。

 今回開発したシステムは、2台のクリーンロボットが並行動作を行うことで、熟練技術者の複雑な動作を再現して培養作業の完全自動化を図るとともに、過酸化水素蒸気による除染機能を装備し、装置内を常に無菌状態に保つことで、多人数の細胞を同時に取り扱うことが可能となり、高品質・高効率な細胞培養を実現しています。また、培養以外の作業についても、装置内で手作業ができるよう人介入機構を装備し、システムの汎用性を高めています。さらに、画像処理により細胞の培養状態を判断する自動判定機能や、ユーザーの運用をサポートする遠隔監視機能を備えるほか、生産現場で培った生産管理技術を応用し、培養スケジュールの柔軟性や細胞の履歴管理など、医療現場の要求にも対応します。

 なお、本開発は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から委託を受けた基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発事業の「再生・細胞医療の世界標準品質を確立する治療法および培養システムの研究開発」において、大阪市立大学医学部の脇谷准教授をプロジェクトリーダー、東京大学医科学研究所の田原教授をサブプロジェクトリーダーとし、川崎重工と産業技術総合研究所を委託者、大阪市立大学、東京大学、信州大学、国立成育医療センター、松本歯科大学を共同実施先として、2007年9月から2010年2月までの2年半の開発期間で実施されました。再生医療と遺伝子治療の2分野で必要とされる細胞培養を対象とし、試作機を用いた評価を行い、問題点を明確にした上で、細胞自動培養ロボットシステムの開発を実現しました。


*1
GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品や医薬部外品の製造管理および品質管理の基準で、誰がいつ作業しても、必ず同じ品質・高い品質の製品を作るために、行うべきことを定めたもの。臨床研究では、研究機関が定めたGMP準拠が求められる。 [参照元へ戻る]

*2
細胞調製室(CPC):医療で使用する細胞を培養するためのクリーンルーム。調製室内は、常時クリーン度10,000〔空気1立方フィートに含まれる粒径0.5μm以上の微粒子(ゴミ・チリ)が10,000個以内〕に保持され、人がクリーン着を着て培養作業を行う。培養容器の取り扱いは、調製室内に設置されたクリーン度100の安全キャビネット(またはクリーンベンチ)内で行われ、その中は無菌に管理される。[参照元へ戻る]




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