発表・掲載日:2005/08/18

愛・地球博: EXPO 2005 AICHI JAPAN のテーマ館「グローバル・ハウス」においてアクティブRFIDとPDAを用いた「展示物説明コンテンツの配信サービス」を提供

ポイント

  • 愛・地球博のテーマ館「グローバル・ハウス」において新サービスの提供を開始
  • 今までの音声に加えて、画像・テキストでの展示物説明コンテンツの視聴が可能に
  • 車椅子での来場者にも、無線LANを通じて展示物説明コンテンツを提供

概要

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)情報技術研究部門【研究部門長 坂上 勝彦】は、現在開催中の「愛・地球博」(EXPO 2005 AICHI JAPAN)のテーマ館「グローバル・ハウス」において稼働している「展示会向けの統合情報支援システム」を活用し、アクティブRFIDとPDAを用いた来場者向けサービスを新たに8月20日より提供します。

 この統合情報支援システムは、協奏計算アーキテクチャ「CONSORTS (コンソーツ) 」を基盤ソフトウェアとして、カード型情報端末Aimulet (アイミュレット)GHを用いた来場者への自動音声ガイドサービスや、来場者の入出場管理・来場者の流動解析などを行う展示会場の運営支援を実現してきました【図2参照】が※※、今回の新サービスにより、

  • 音声に加えて画像・テキストでの説明コンテンツの視聴が可能
  • 説明コンテンツの視聴履歴や、来場者の移動履歴に応じた、説明コンテンツの選択が可能
  • 混雑した展示物の近くでも、全ての来場者に同等なサービス提供が可能

となります。

 この新サービスでは、アクティブRFIDとPDA (Personal Digital Assistance)とを統合した端末装置 「Aimulet GH+」【図1】を用います。インフラ側で稼働するCONSORTS が個々の来場者の位置・移動軌跡・コンテンツの視聴履歴を見守っており、来場者にとって適切であると推定される複数のコンテンツを来場者が所持する端末装置に配信します。来場者は配信された複数のコンテンツの中から「聞きたい・見たい」コンテンツを選択して視聴できます。コンテンツは、音声・画像・テキストで配信されます。

 このサービスは全ての来場者にとって有用なものですが、今回は特に車椅子の来場者の方々に、この新サービスを提供します。

 

2004年12月14日プレス発表「アクティブ型無線ICタグとマルチエージェント技術による展示会統合支援システムを実用化
※※ 2004年1月31日プレス発表「愛・地球博:EXPO 2005 AICHI JAPAN のテーマ館「グローバル・ハウス」において展示会向け統合情報支援システムを提供

サービス提供のためのアクティブRFID付きPDAの写真
図1 サービス提供のためのアクティブRFID付きPDA
 
CONSORTS アーキテクチャによる統合情報支援システムの図
図2 CONSORTS アーキテクチャによる統合情報支援システム

技術の内容

 統合情報支援システムでは、協奏計算アーキテクチャ「 CONSORTS (コンソーツ)」が、端末装置に内蔵されたアクティブRFIDからの情報をもとに、来場者の動きを検出・分析する流動解析を行っており、個々の来場者の概略位置を見守っています。

 PDAへのコンテンツ配信という今回の新しいサービスの導入においては、会場ですでに稼働している展示会統合情報システムをそのまま用い、ネットワークやアクティブRFIDを用いた位置測位システムなどのインフラへの変更はほとんど必要ありません。このことは、我々の開発した CONSORTS をベースとした展示会統合情報支援システムの拡張性の高さを示すものです。

 また、こうした来場者の位置情報の把握は、より良いサービスの提供のために重要ですが、一方でプライバシーへの配慮の視点が不可欠です。統合情報支援システムでは、来場者の氏名や住所等の個人情報を登録しないため、プライバシー侵害の心配は全くありません。

今後の予定

 産総研では、展示会統合情報支援システム上での新たなサービスの運用により、マルチエージェント技術の有効性の実証を進め、また産学官にわたる共同研究や技術移転を積極的に展開し、来たるべきユビキタス情報社会における、「安全・安心・便利」の調和のとれた公共空間の設計に貢献すべく、さらなる技術の創出を目指します。


用語の解説

◆PDA
個人情報端末。手のひらに収まるくらいの大きさで、PCのもつ機能のうちいくつかを持つもの。液晶表示装置や外部との接続端子を搭載し、電池や専用バッテリーで駆動する。[参照元へ戻る]
◆協奏計算
多くの音楽家が共に協力して音楽を奏でるという意味の音楽用語「協奏」のコンセプトをベースに、自律的なソフトウェアが分散して情報処理を行うマルチエージェントの考え方をさらに拡張して、1) 利用可能な情報サービスを組み合わせて自分に必要なサービスを作り上げてゆくこと、2) 個人の便利さとシステム全体の効率とを同時に達成することを実現するような、産総研・情報技術研究部門で提唱しているコンピュテーション(計算)の方法。[参照元へ戻る]
Aimulet GH
Aimuletは造語で、お守り、魔除けという意味の amulet に、intelligentinteractive、あるいは「愛(あい)・地球博」のiを挿入したもの。GHはグローバル・ハウスを意味する。[参照元へ戻る]
◆流動解析
人や物・自動車など対象物の移動する流れを、データマイニングなどの手法を使って解析し、またシミュレーションの結果との照合などを行って、混雑の原因を解明して流れを良くするための改良案や、より多くの顧客に興味を持ってもらう展示方法を作成するマーケティングなどを行う技術。[参照元へ戻る]
◆マルチエージェント
人間の行動を支援するために自律的に動作するソフトウェアのことをエージェントと呼び、それらが多数集まって複雑な仕事をこなすシステムをマルチエージェントと呼ぶ。[参照元へ戻る]
◆データマイニング
実験や計測によって得られる数値・テキスト・画像・音声などのデータから、その背後に隠れた有意味なモデルを自動的に生成するような、モデル生成・機械学習の手法。[参照元へ戻る]

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