産総研 - ニュース 受賞

2015/04/24

平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受賞

 平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞・若手科学者賞)の表彰式が4月15日に文部科学省にて、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(創意工夫功労者賞)の伝達式が4月17日に産総研つくばセンターにて、行われました。

 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として行われています。
下村文部科学大臣の写真
下村文部科学大臣 ご祝辞

科学技術賞 開発部門

受賞者の写真
先進コーティング技術研究センター 秋本 順二 研究チーム長
先進コーティング技術研究センター 片岡 邦光 研究員
元石原産業株式会社        神代 善正 様
 石原産業株式会社        外川 公志 様

「次世代リチウムイオン電池用チタン酸化物負極材料の開発」 

 高容量の負極材料として使用できる新しいチタン酸化物系材料H2Ti12O25を世界で初めて発見するとともに、その工業化に適する製造プロセスの開発を進め、さらに、粒径制御により入出力特性の改善策を見出した。
 従来技術の負極材料リチウムチタン酸化物と比べ、約40%の容量アップが可能となり、大型蓄電池の高容量化、長寿命化、低コスト化に繋がる成果であり、今後の大型蓄電池の普及・展開の加速に寄与している。

科学技術賞 技術部門

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触媒化学融合研究センター 韓 立彪 研究チーム長
片山化学工業株式会社   藤野 博良 様
             佐賀 勇太 様

「環境対応型機能性リン類の触媒的製造技術の開発」

 新規なニッケル触媒の創製に成功し、この触媒を用い、アセチレンに当量のリン水素化合物を直接付加させることにより、一段階で、環境対応型機能性リン類を高収率、安全に製造できた。また、マイクロリアクターによる連続生産により、低コストで安全な工業生産システムを構築し、環境対応型機能性リン類の量産化を実現した。
 本開発により、環境対応型機能性リン類の工業生産が可能となり、これら化合物の市場供給が実現された。
 環境対応型機能性リン類は、難燃性に加え、様々な機能性を有することから、過去に例のない機能性化合物として、プラスチックや機能性材料他、幅広い展開が可能である。


若手科学者賞

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機能化学研究部門 原 雄介 主任研究員

「新規自励振動高分子の創製とケミカルロボティクスの開拓研究」

 化学反応を直接的に力学的なエネルギーに変換可能な自励振動高分子の駆動変位・駆動周波数・駆動環境などを根本的に改善することで、外部装置に頼ることなく駆動するゲルアクチュエータやゲルロボット、マイクロチップに内蔵可能な微小ゲルポンプの開発に成功するなど「ケミカルロボティクス」といった新たな研究分野を開拓してきた。
 本研究成果は、微小ロボットやバイオ分析チップなどへの応用が積極的に進められており、国民のQOL向上に寄与することが期待される。


創意工夫功労者賞

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地質調査総合センター 大熊 洋子 主査

「電子地形図導入による地質図類出版の高度化改良」

 「5万分の1地質図幅」の刊行に当たり、出版基図として電子地形図の導入を発案し、実際に電子地形図を導入した編集出版システムの設計の改良と運用を主体的に実施した。これにより、原稿作成時から印刷時まで一貫して同一の基図データ使用することが可能となり、従来の印刷地形図からの基図作成に掛かる費用及び期間が短縮され、出版作業の迅速化及び出版費の低減化も実現した。さらに他の地質図で複数の地形図を使用する場合には、結合した状態での基図を調整することにより、結合部分の精度が向上した。最終的には出版物としての地質図類の高精度化が実現した。