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お知らせ記事2017/03/20

ドイツ人工知能研究センターと人工知能研究に関する研究協力覚書を締結
-人工知能の基礎研究から応用まで広範囲で長期にわたる連携に合意-

ポイント

  • 基礎研究から応用まで広範囲な人工知能研究の国際連携を推進する研究協力覚書を締結
  • 人工知能に関する5つの協力研究テーマを設定
  • 長期にわたる密接な連携を行うための枠組みの構築に合意

概要

 ドイツ人工知能研究センター(独名Deutsche Forschungszentrum für Künstliche Intelligenz) 【最高経営責任者 ヴォルスタング・ヴォルスター】(以下「DFKI」という)と国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)は、長期にわたるパートナーシップを確立することを想定し、密接な連携を行うための枠組みを築くことに合意する研究協力覚書(MOU)を平成29年3月19日に締結します。

 DFKIはドイツの人工知能研究を主導する研究所であり、官民協調モデルに基づき官と民が出資する非営利有限会社です。主力とする研究分野は、革新的生産システム(インダストリー4.0)、ロボット技術、サイバーフィジカルシステムなど、基礎から応用まで広範囲な人工知能研究に取り組んでいます。産総研は人工知能研究のプラットフォーム形成を目指し、平成27年5月に人工知能研究センター【研究センター長 辻井 潤一】を設立しました。同センターでは現在、国内外の大学、企業、公的機関と連携して、実社会のサービスから得られる大規模データを活用しながら先進的な人工知能技術の研究開発を推進しています。

 今回のMOUでは、人工知能研究に注力する両組織が、5つの協力研究テーマを含む人工知能研究に関する広域な分野において長期にわたるパートナーシップを確立することを想定しています。

 なお、今般のMOU締結に際し、駐日ドイツ連邦共和国大使館 ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン大使、ドイツ連邦共和国 連邦教育研究省 ヴォルフ・ディーター・ルーカス 局長、経済産業省 産業技術環境局 末松 広行 局長の臨席のもと、20日から開催されるCeBIT2017(国際情報通信技術見本市)の開催に先立ち、ドイツ連邦共和国ハノーバー市内ハノーバー国際見本市会場において、DFKI ヴォルスタング・ヴォルスター最高経営責任者と産総研 中鉢 良治理事長によるMOU署名式を行います。

<協力研究テーマの例>

  • 人とロボットとのコミュニケーションに関する認知ロボット工学
  • 革新的生産システム(インダストリー4.0)、健康、社会安全などに応用可能な大規模データ分析技術
  • 人と技術の相互コミュニケーション、セマンティックデータの統合などIoTに関する人工知能技術
  • 先進的な機械翻訳技術や多言語横断検索技術
  • 革新的な仮想現実・拡張現実を実現する人工知能技術

協定締結式の様子の写真
協定締結式の様子


用語の説明

◆認知ロボット工学
人や環境との相互作用を通じて発達・学習するロボットモデルから、人間の知覚・認知処理の仕組みを理解しようとする学問分野。[参照元へ戻る]
◆セマンティックデータ
データ同士、さらには、データと実世界との関係性を定義したデータ。これにより、単一のデータが関係性によって他のデータと結びつき、データ群が構造化される。[参照元へ戻る]