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お知らせ記事2012/07/17

大阪府立大学と産業技術総合研究所との連携・協力に関する協定の締結について

 公立大学法人 大阪府立大学【理事長 奥野 武俊】(以下、「大阪府立大学」という)と独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下、「産総研」という)は、2012年7月17日(火)、大阪府立大学 中百舌鳥キャンパス 学術交流会館 多目的ホールにて、連携・協力に関する協定を締結し、記念シンポジウムを開催します。

 大阪府立大学は2005年4月に、それまでの大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学の再編・統合と同時に公立大学法人となり、“高度研究型大学 ―世界に翔く地域の信頼拠点―”を基本理念に、「大学の構成員すべてが世界水準の研究を目指す高い志を持ちつつ、社会の牽引役となる有為な人材を高度な研究の場を通して教育し輩出する大学」を目指すとともに、教育研究の成果を社会に還元するため、産学官連携・地域連携を推進しています。

 一方、産総研は1882年に創立された地質調査所をはじめとする産業技術系の旧国立研究所群を統合して2001年に発足した研究機関で、「持続的発展可能な社会の構築、技術を社会へ」という理念のもとに、産業競争力強化・産業技術政策の地域展開への貢献を目的に、基礎研究から製品化研究まで幅広い連続した研究を実施しています。

 大阪府立大学と産総研は、これまでにも共同研究等により各種研究プロジェクトを推進するなど、先端的研究・教育を連携して進めてきました。今般、両機関が連携・協力協定を締結することにより、相互の研究開発能力や人材を活かしてさらに総合力を発揮し、その成果の社会還元を通して産業技術の振興や社会の諸問題の解決に貢献します。

締結式の様子の写真
締結式の様子
大阪府立大学 奥野理事長(左)と産総研 野間口理事長(右)

1.協定の目的

(1)教育研究や産学官連携にそれぞれ取り組んできた大阪府立大学と産総研の連携による相乗効果で、研究成果を活用した社会への貢献をさらに加速させます。

(2)公立大学法人と独立行政法人という異なる基盤とその特色を生かし、研究・教育内容の充実、学術・文化の発展、および科学技術の高度化を図ります。

(3)バイオメディカル分野、植物工場分野、ナノ分野における研究協力、産学官連携による産業振興、人材育成事業への相互協力を通して、研究・教育・社会貢献の推進を図ります。

2.主な連携内容

(1)研究分野における協力

 1)バイオメディカル分野における協力

 最近のゲノム研究及びポストゲノム研究の進展により、ヒトゲノム配列が解読され、さらに疾患に関連するタンパク質等が解明されていることから、数百ある創薬ターゲットの数は10 倍以上に増加すると期待されています。現在、タンパク質の立体構造を基にした薬物設計や化合物スクリーニングが盛んに行われています。両機関は、それぞれが所有する分子ライブラリーやバイオテクノロジーのノウハウを相互に利用して、バイオ医薬品を含めた新しい創薬手法の基盤技術の開発を連携して推進します。

 

 2)植物工場分野における協力

 新しい植物の栽培体系として植物工場が注目されています。産総研では、主として医薬品などの高付加価値物質を生産する遺伝子組換え植物の産業利用に向けて完全閉鎖型植物工場システムを用いた研究を行っています。一方、大阪府立大学では、主として食品目的の野菜などを同様に完全閉鎖型植物工場で自動化多段式栽培設備を用いて大規模に効率よく生産する研究に加え、植物工場の管理運営に関する人材育成も行っています。両機関の交流により、完全閉鎖型植物工場の産業化に向けたソフト面・ハード面での連携体制を構築します。

 

 3)ナノ分野における協力

 我が国が低炭素化社会の加速やエネルギー利用の高効率化を目指して力を入れてきた研究分野のひとつがナノ科学・材料研究分野です。大阪府立大学と産総研は、それぞれのポテンシャルを活用し、相互協力することにより、超伝導などを利用した超高感度センサー技術、カーボンナノ構造体を用いたナノ電子デバイス、新機能を持った材料の計算機シミュレーション、電池・熱電デバイスの開発、有機物を含む分子レベルの磁性の応用に関する連携を推進します。

 

(2)産官学連携・人材育成等における協力

 両機関は、人材交流・人材育成を行うとともに、優れた人材の供給という視点から、産業界の協力を得ながら効果的な共同事業を実施していきます。

補足説明資料

連携体制図