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ニュース

2016/02/10

産総研、エアバス、フランスCNRSは共同で航空機内組立作業ヒューマノイドロボットの研究開発を開始
-産総研内の共同研究ラボを拠点に、日仏研究者が一体となって推進-

ポイント

  • 航空機内の難姿勢・繰り返し作業を実行するヒューマノイドロボット全身作業技術の開発に着手
  • 産総研、CNRSが強みを持つ多点接触動作計画、ヒューマノイドロボット全身制御技術を活用
  • 共同研究成果はエアバスの導入想定事例に基づき検証

概要

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)とエアバス・グループの統合研究開発組織AIRBUS Group Innovations【代表 Sébastien Remy】(以下 「AGI」という)、フランス国立科学研究センター【理事長 Alain Fuchs】(以下「CNRS」という)は、2016年1月1日より、空間的制約が厳しい航空機内において、組立製造作業に当たる産業用ヒューマノイドロボットの技術開発を行うJoint Research Project【共同代表者 森澤 光晴 主任研究員(産総研)、Adrien Escande研究員(CNRS)】 (以下「JRP」という)を開始しました。

 JRPは、AGIが日本の機関と初めて行う本格的なロボット工学に関する共同研究です。JRPの主要拠点は、産総研 情報・人間工学領域【領域長 関口 智嗣】に設置された、産総研・CNRSの国際共同研究組織である「AIST-CNRSロボット工学研究ラボ(AIST-CNRS JRL (Joint Robotics Laboratory), UMI3218/RL)」【共同ラボ長 Abderrahmane Kheddar(CNRS), 吉田 英一(産総研)】 で、HRP-2やHRP-4などのヒューマノイドロボットを開発のプラットフォームとして活用します。

内容と期待される成果

 航空機の組立製造工程にヒューマノイドロボットを導入すると、作業者を困難な姿勢での繰り返し作業から解放し、高度な技能を持つそれら作業者をより高付加価値な作業に振り向けることができると期待されます。人間に似た体形や構造と多能性を有するヒューマノイドロボットは、人間用に設計された製造環境を変更しなくても、さまざまな作業に対応できると考えられます。

 JRPでは、航空機内の狭い空間で全身によって行う組立製造作業に焦点を置き、ヒューマノイドロボットによる機内の加工屑などの掃除機を使った清掃やねじ締め、計器類の取り付けなどの作業、組立後の航空機の検査作業の実現を目指します(写真参照)。このために、これまでAIST-CNRS JRLにおいて日仏共同で開発した、数多くの接触を伴うヒューマノイドロボット動作の計画・制御技術や、産総研のヒューマノイドロボット先端技術である全身制御技術(写真参照)を適用します。さらに、これらを発展させ、空間的制約が厳しく、アクセスが困難な環境でのヒューマノイドロボットの高度な作業を実現するための動作計画・制御のための技術開発を行います。

概要図

 開発された技術は、将来の現場への導入を目指し、エアバス・グループの民間航空機、ヘリコプター、宇宙など異なる部門から提供される導入想定事例に基づき、毎年検証されることとなっています。また、JRPは、EUプロジェクト枠組みHorizon 2020で実施されている、航空機内におけるヒューマノイドロボットによる移動機能を実現するCOMANOIDプロジェクトとも協力して進めていきます。

共同研究開始を記念した調印式について

 共同研究開始を記念し、2月12日(金)に産総研つくばセンターにて調印式を行います。

 産総研つくばセンターでは、関口 情報・人間工学領域長、Remy AGI代表、CNRS システム工学部門 (Institute for Engineering and Systems Sciences, INSIS) のJean-Yves Marzin部門長が出席し、調印式を行います。調印式後に、本件に関する取材を個別にお受けすることとします。

用語解説

◆多点接触動作計画
与えられた環境下で、ロボットをある位置・姿勢から目標の位置・姿勢に遷移させる動作系列を計画する技術は「動作計画」と呼ばれ、1990年代から盛んに研究されており、産業用ロボットの組立動作の作成などに広く利用されています。通常は、ロボットアームなどが環境との接触を避けるように動作の計画を行いますが、ヒューマノイドなどが制約のある環境で作業を行うには、人間のように手足やその他の部分と環境との接触を積極的に利用する必要があります。「多点接触動作計画」は、この問題を解決する技術で、ロボットの安定性や動作範囲などの制約が多いことから、より困難な技術課題となっています。近年、ヒューマノイドの作業能力向上のため、各国で盛んに研究が行われています。[参照元へ戻る]
◆全身制御技術
ヒューマノイドは、人間と同様の手足や胴体の構成を持ち、自由度(動かせるモータの数)が30を超える複雑な構造となっています。2000年代前半までは、平面上の2足歩行の研究が中心で、脚は歩行、手は物体操作などと、実現する機能によって体の部分を分割して対応する方法が中心でした。2000年代後半より、複雑な環境におけるヒューマノイドの作業能力の向上・多様化を実現する技術として、手足の動作を協調させることでヒューマノイド全身の自由度を効果的に活用して目標の機能を実現する「全身制御技術」の開発が進んでいます。[参照元へ戻る]
Horizon2020
Horizon2020は、欧州連合(EU)の新しい研究開発・イノベーション枠組プログラムで、2014年から7年にわたり800億ユーロ規模で研究開発が行われる計画となっています。フランスCNRSとの共同研究ラボであるAIST-CNRS JRLは、前身の枠組みであるFP6, FP7からEUの国際研究開発プロジェクトに参画しており、Horizon2020でも、航空機内におけるヒューマノイドによる移動機能を実現する「COMANOID」プロジェクトが採択され、日欧で共同研究を実施しています。[参照元へ戻る]

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