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2015/10/23

映画「1001グラム ハカリしれない愛のこと」(2015/10/31公開)に産総研計量標準総合センターが協力しました。

 日本における国家計量標準機関(National Metrology Institute, NMI)である産総研計量標準総合センター(National Metrology Institute of Japan, NMIJ)が、ノルウェー国立計量研究所に勤める女性科学者「マリエ」を主人公にした映画「1001グラム ハカリしれない愛のこと」の技術用語の翻訳や技術情報の提供に協力しました。


映画「1001グラム ハカリしれない愛のこと」について

 詳細は公式ホームページをご覧ください。

映画公式バナー(映画公式サイトへのリンク)



宣伝スタッフによる日本版「マリエ」(産総研研究員)取材のようす

 映画の中で主人公マリエはノルウェーのキログラム原器を管理する立場ですが、当所平井亜紀子研究グループ長は、長さ標準供給の仕事に加えて、かつて日本の長さ標準であったメートル原器が2012年に重要文化財に指定された後、管理、整備も担当しています。マリエと同じように国の計量標準を維持・供給するという重責を担う女性研究員として取材を受けました。
 インタビューの内容は、劇場で販売されるプログラムに掲載されます。

取材の様子写真1 取材の様子写真2
取材を受ける産総研計量標準総合センター
工学計測標準研究部門 ナノスケール標準研究グループ
平井 亜紀子 研究グループ長
一般には知られていないメートル原器の重要性や
計測の精度を高める研究の難しさから、
女性研究者の日常まで話題は多岐に渡りました。



映画の題材になった「キログラム原器」についてご紹介

計量標準とは?

 計量標準とは、生活、産業、研究などの基盤となる計測という行為とその結果に信頼性を与えるためのモノサシとなる重要な役割を担っています。計量標準は各国の国家計量標準機関(National Metrology Institute, NMI)が整備しています。映画には、実在するノルウェーの国家計量標準機関である「ノルウェー国立計量研究所」が主人公マリエの勤務先として登場します。 

日本の国家計量標準機関:産総研計量標準総合センター

 日本における国家計量標準機関は「産総研計量標準総合センター(NMIJ)」です。産総研計量標準総合センターの歴史は古く、1903年(明治36年)の中央度量衡器検定所に始まり、旧通商産業省工業技術院計量研究所などを経て、2001年に産業技術総合研究所の一員となりました。明治時代からの長きに渡り、国際的に同等性の確保された計量標準の整備とそのトレーサビリティの確立に向けて活動してきました。

映画にも登場する「キログラム原器」とは?

 キログラム原器は直径、高さとも約39 mmの円柱形状で、白金90%、イリジウム10%の合金です。世界の質量標準は映画にも登場するパリ郊外の「国際度量衡局(BIPM)」に保管されている「国際キログラム原器(International Prototype of the Kilogram)の質量」を基準に維持・管理されています 。
そのはじまりは、1875年(明治8年)、世界共通の計量単位制度を目指したメートル条約締結です。日本がその条約に加盟したのは1885年(明治18年)のこと。1889年(明治22年)には、条約機構の最高機関である国際度量衡総会の第一回会合が開かれました。
 この会合で、新しい単位系の基礎を「メートル原器」と「キログラム原器」に置くことが承認され、同時に「国際原器」を精密に複製した「国家原器」を加盟各国に配ることが決定されました。
 それまで質量の単位「キログラム(kg)」は、「一辺が10 cmの立方体の体積の、最大密度における蒸留水の質量」と定義されていましたが、 現在の「国際キログラム原器の質量」に置き換えられ、以来120 年以上、世界に一つしかない国際キログラム原器が未だその基準として用いられています。
 

日本の「キログラム原器」は?

キログラム原器の画像 日本の質量標準は、産総研で保管する「日本国キログラム原器」によって実現しています。これは国際キログラム原器と同じ形状材質のもので、国際度量衡局から加盟国に配布されたもののひとつです。
 日本国キログラム原器の質量は、約30年ごとに国際度量衡局が保管する国際キログラム原器と比較校正され、その質量値の同等性が確認されています。日本国キログラム原器の最新の測定値(1993年)は、この100年間で7 μg しか変化していませんでした。










産総研による高精度化への足どり

 キログラム原器は、大気中で用いることが定義されているため、浮力や表面吸着物の影響が無視できません。そのため、体積や表面積が異なる等質量の分銅(シンカー)を内蔵した天秤を開発し、シンカー間の見掛けの質量差から空気の浮力および分銅表面への分子吸着の精密補正を、世界で初めて行いました。これらの計測技術を使い、現在1億分の1のオーダーの精度で質量標準を確立しています。
シンカーの解説図
 

新しいキログラムの再定義に道を拓く

 映画の中に1キログラムの新しい定義をめぐってパリで議論が交わされるシーンがでてきますが、メートルの定義が、 光が真空中を伝わる行程の長さを基準としたもの に移行したように、実際にキログラムの定義を、基礎物理定数を基準としたものへと移行させることが国際度量衡委員会(CIPM)などで検討されてきました。
 国際キログラム原器の質量の長期安定性は、表面汚染や損耗などの影響により、50 µg 程度 であると推定されています。これは1 kg に対して相対的に1億分の5のわずかな変動幅に相当するが、近年の計測技術の進展においては無視しえない大きさとなりつつあるからです。
 産総研では、約40年前にシリコンを用いたアボガドロ定数の精密測定に着手し、人工物ではなく普遍的な物理定数による「質量標準」の確立を目指して研究を進めています。


 

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お問い合せ

国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター
https://www.nmij.jp/inquiry/

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