研究ハイライト シリコンフォトニクス・チップにおける垂直光入出力用45°曲面マイクロミラー

エレクトロニクス・製造領域
シリコンフォトニクス・チップにおける
垂直光入出力用 45°曲面マイクロミラー
  • プラットフォームフォトニクス研究センター乗⽊ 暁博
  • 天野 建
  • 研究戦略企画部森 雅彦

光電融合キーテクノロジーの確立

光チップへの曲面マイクロミラー集積プロセスの開発に世界で初めて成功した。これは従来2次元デバイスのみであった光チップに、曲面マイクロミラー(3次元デバイス)を導入したものである。シミュレーションによって光信号が低損失であることが確認され、実測値でも光結合効率などのミラーの基本特性が実用レベルであることを実証した。

 

垂直光入出力技術と改善点

シリコンを光媒体として使用するシリコンフォトニクスの実用的なアプリケーションでは、垂直光入出力(I/O)はチップ表面への柔軟なI/O配置が可能になるなど、光接続を行うにあたり多くの利点がある。産総研では、比較的簡単かつ安価に平面マイクロミラーを製造する方法を開発したが、ウエハーレベルでの製造・試験、ミラーの2Dアレイとしての2D光I/O配置などはまだ実現できていなかった。また、レンズのように働き、ビームウエスト変換や集光機能、コリメーター機能を実現できる点で有利である曲面マイクロミラーの製造方法を開発することも課題であった。

シリコンフォトニクス・チップの写真
 

曲面マイクロミラーのシミュレーションと実際の製作

新しい3次元の曲面マイクロミラー開発のシミュレーションでは、さまざまなタイプの光ファイバーを結合でき、広波長帯域で効率が同じであることが確認できた。この結果をもとに設計を行い、ウエハーレベルでの製造に適した半導体製造技術を用いて、Si導波路とスポットサイズ変換器を備えたSiフォトニックチップ上に開発した曲面マイクロミラーを集積した。近視野パターンと遠視野パターンの測定から、ミラーのレンズ機能は垂直光入出力に適していることがわかった。

SEMの写真
 

開発した技術を最適化し、効率やその他の特性を改善

今後はミラー製作の再現性・均一性を高めるとともに偏光度の影響を受けない光結合法を確立し、次世代半導体・シリコンフォトニクスでの光電融合のコア技術の一つとして、さまざまなタイプのシングルモード光ファイバーや導波路との効率的な垂直光入出力に使用する。

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本研究テーマに関するお問合せ先

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プラットフォームフォトニクス研究センター 光実装研究チーム

主任研究員 乗木 暁博(のりき あきひろ)

〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央事業所2群

メール:M-contact-pprc-ml*aist.go.jp(*を@に変更して使用してください。)

ウェブ:https://unit.aist.go.jp/pprc/optic/optic.html