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つくって学ぼう

LEDを光らせよう

監修:市野善朗

LEDが光る様子の写真

はじめに

昔のあかり、現代のあかり

太古の昔、闇夜を照らす光は月と星の光だけでした。50万年ほど前、わたしたちの遠い祖先は、「火」という地球上で最初の「あかり」を手に入れます。やがて人間が家を作って住むようになると、家の中のあかりが必要になります。そこで今から5000年ほど前、植物や動物の油を燃やす「ランプ」、油を固めて作った「ろうそく」といった、「火」をつかった明かりが登場します。さらに200年前には、油の代わりにガスの炎によるあかりも発明されました。

ガス灯の発明と同じ頃、イギリスのデイヴィは、電池をたくさんつないで光らせる、世界で初めての電気のあかり、「アーク灯」を発明しました。アーク灯が街の明かりとして一般的に使われるようになったころ、アメリカのエジソンは、フィラメントに電流を流すことによって光らせる「電球」を発明しました。これは、油のランプの代わりとなる、世界初の電気による「部屋のあかり」だったのです。いまから約120年前のことでした。

エジソン電球、と呼ばれるこの電球は、その形をほとんど変えずに、今でも家庭で使われています。少し暖かみのある色の丸い電球がそうです。手を近くにかざしてみると、思ったより熱いことに気付くと思います。じつはこの電球、炎のあかりと同じように、光と一緒に大量の熱を出しているのです。貴重な電気エネルギーが、本来の照明としてでなく、熱となって失われていることになります。

この問題を解決すべく、いまから約70年前に登場したのが、皆さんも良く知っている、蛍光灯です。消費電力が少なくて済むこと、色が太陽光に近いことなどから、またたく間に広まりました。しかしこのあかりにも弱点があります。それは、人体に有害な「水銀」を使用しているということです。

電気を効率良く使えて長寿命、しかも有害物質を使わないあかりが出来たら…。そんな「夢のあかり」にぐんと近づいたのが、今から約40年前に登場した「発光ダイオード」です。英語の Light-Emitting Diode の頭文字を取って、LEDと呼ばれることもあります。発光ダイオードは、半導体に電流を流すことによって明るく光るという、今までの明かりとは全く異なるしくみを持った、「現代のあかり」なのです。

さあ、それでは発光ダイオードの点灯装置を作って、発光ダイオードを光らせて見ましょう。

つくってみよう!

単色発光ダイオードをつくってみよう!

準備するもの

準備するものすべての写真
  • 発光ダイオード(単色発光ダイオード(LED)を使用します。すべて発光色が異なります。)
    (例)
    日亜化学工業 NSPW-500BS-b2R
    豊田合成 E1L31-AC, E1L53-3B, E1L53-3G
    ローム SLI-570-UT, SLI-570-DT, SLI-570-YT
  • フルカラーLED(ほかのLEDとは異なり、リード(足)が4本あるのが特徴です。)
    (例)
    日亜化学工業 NSTM515AS
  • 調整ボードA(単色LEDに使用します。)
    ※偏光板、偏光フィルムなどの名まえで、科学教材販売会社などが販売しています。厚さが0.2mmぐらいのものが切りやすいと思います。
  • 調整ボードB(フルカラーLEDに使用します。)
  • クリップコード
  • 電池ボックス
  • 単三乾電池(3個を直列に使用します。)
  • 精密ドライバ(マイナス)(調整ツマミを回すのに便利ですが、爪でも代用できます。)

このほかに電池の向きや残量を調べるために、テスターがあると便利です。

豆電球は、発光ダイオードとの対比のために置いたもので、ここでは使いません。

それぞれの部品は、電気部品店のほか、インターネットの通信販売でも購入することが出来ます。

電池ボックスに電池を入れた様子の画像

電池を電池ボックスに取り付けます。ここでは4本用ボックスに3本の電池を取り付けています。3本が直列になるよう注意します。