産業技術総合研究所 情報・人間工学領域 人間社会拡張研究部門(Research Institute on Human and Societal Augmentation, 以下RIHSA)のシンポジウムが2025年11月26日(水)、柏の葉カンファレンスセンターとオンラインによるハイブリッド形式で開催されました。
2025年4月にスタートした人間社会拡張研究部門が開催する初めてのシンポジウムです。
講演、ポスター発表、パネルディスカッションなど、所外の方にもご登壇いただきながら、「共創」「連携」を前面に出したプログラム構成。
「RIHSAが目指すもの」という視点で、当日の様子をレポートします。
産総研、新たな中長期目標と組織再編で始動
開会挨拶に立った情報・人間工学領域長の田中良夫氏は、産総研が2025年4月から7年間の新しい中長期目標期間に入り、これに合わせ「人間拡張研究センター」が「人間社会拡張研究部門」という形でリニューアルされたことを報告しました。
「RIHSAは人と社会がともに高めあうことをキーワードに、人の生活や行動の質、サービスや産業の向上を目指しています。産総研のミッションである社会課題の解決と我が国の産業競争力強化に貢献するイノベーションの連続的創出のために、情報系の領域としてビジネスとテクノロジーを一体的に進化させる共創プラットフォームの構築を重視します」と述べました。
RIHSAが目指すもの 「ともに高めあう人と社会」
産業技術総合研究所柏センター所長であり、人間社会拡張研究部門長を務める蔵田武志氏は、RIHSAの理念として「人間社会拡張トライアングル」を提唱し、個人の能力と社会機能を同時に高め、両者を組み合わせて、社会課題解決、イノベーションを生み出すことを目指すと話します。
『人間社会拡張』という言葉はまだ一般的ではありませんが、文部科学省総合政策特別委員会(知識集約型の価値創造に向けた科学技術イノベーション政策の展開―Society 5.0の実現で世界をリードする国へ―(最終取りまとめ))では、AIやロボティクス、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)などを活用し、肉体的・地理的制約を超えて、「知」へのアクセスや発信、社会参加を可能にする技術とし、この技術こそがインクルーシブな社会基盤の構築に資するとされています。
従来の「人間拡張」は個々人の能力向上に焦点を当てていましたが、複雑な社会課題を解決するには、個人だけでなく社会やコミュニティの機能自体を拡張する必要があります。
キャッチフレーズは「ともに高めあう人と社会」。
RIHSAのロゴには、XR・人・ビル・クラウド・AIをつなぐブリッジのイメージが込められています。
人間社会拡張の技術は、多様な視点での議論を積み重ね始まったばかりです。
蔵田氏は、「今後、個人の拡張、社会の拡張を短期・長期で考え、マッピングしながらまとめていきたい」と抱負を語りました。
―研究推進を担う研究グループ-
人間社会拡張研究部門
生活機能ロボティクス研究グループ 田中 秀幸 研究グループ長
拡張介入オペレーション研究グループ 小林 吉之 研究グループ長
インターバース研究グループ 一刈 良介 研究グループ長
情報力学研究グループ、スマートテキスタイル共創研究グループ 村井 昭彦 研究グループ長
ソシオデジタルサービスシステム研究グループ 渡辺 健太郎 研究グループ長
センシング技術研究部門
スマートインタラクションデバイス研究グループ 武居 淳 研究グループ長
取材レポ「RIHSAが目指すもの」②へつづく