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水素・熱システムチーム(清水建設-産総研ゼロエミッション・水素タウン連携研究室)

水素エネルギーシステム・熱利用技術

水素・熱システムチーム紹介ビデオ

  • 水素・熱システムチームの表紙 「再生可能エネルギーを水素で使いこなす」
    再生可能エネルギー由来の水素製造から利用
    [ YouTube 3分30秒 ]

研究背景

  固定価格買取制度が始まり、近年再生可能エネルギーが大量に導入されています。一方、需給バランスの調整力不足や送電線の容量不足のために、出力抑制といった制約を受け、利用できない再生可能エネルギーが発生し、今後さらに増加していくことが懸念されています。また、CO₂の排出抑制のためには、建築物のゼロエミッション化も重要であり、これらのミスマッチを解消し、再生可能エネルギーをできるだけ使いこなすことが必要です。

研究目標

  当チームでは、従来技術では有効に活用できない再生可能エネルギーを水素に変換し、発生する熱エネルギーを使いこなすため、水素製造・水素貯蔵等の個々の技術開発や、これらの技術を活用した水素・熱エネルギーシステムの実証を行い、再生可能エネルギーによる発電から需要まで、トータルに水素と熱を使いこなすエネルギーシステムの開発に取り組みます。

研究内容

  • 水素製造技術として、太陽光発電の直流電力を水電解装置に導き、電解セル数を制御する独自の技術で高効率化を目指しています。
  • 水素貯蔵技術として、水素吸蔵合金を用いた水素貯蔵装置を開発しています。街区での水素利用普及のために、1MPa未満の圧力で水素を貯蔵でき、かつ着火しない水素吸蔵合金を用いることで、高圧ガス保安法や消防法の適用を受けない安くて安全・大量な水素貯蔵方法を開発しています。
  • 水素の利活用範囲を広げるため、新しい水素圧縮技術、精製技術を開発しています。
  • 上記技術の更なる高機能化のために、太陽熱や未利用排熱を有効利用するための熱発電・蓄熱技術を開発、実証しています。
  • 建築物の運用時におけるゼロエミッション化を目指して、BEMS(ビルディングエネルギーマネジメントシステム)を活用した水素エネルギー利用システムの技術開発を、清水建設株式会社との共同研究として行っており(清水建設-産総研 ゼロエミッション・水素タウン連携研究室)、共同開発した建物付帯型の水素エネルギー利用システム「Hydro Q-BiC」を郡山市総合地方卸売市場内に設置し、実用化を目指して、日常的な運用を行っています。


【図1】BEMSによるエネルギーシステム実証の概要図
 
【図2】開発中の水素透過膜(PdCu合金) 【図3】太陽熱集熱装置 【図4】清水建設‐産総研
ゼロエミッション・水素タウン連携研究室
 

主な研究設備

太陽光発電直結水電解装置
20kW級太陽電池が水電解装置に直結されています。水電解装置は、電解セル数を切替え、太陽電池の最大電力点を追随できます。さらに、リチウムイオンキャパシタ(LiC)を接続して、日射の変動の平滑化を試みています。
高圧水素設備
高圧水素設備には、高圧水素供給ブースター(≦90MPa)、蓄圧器(≦90MPa, 200L)、水素カードル(≦19.6MPa、1,250L)、高圧・高温対応反応容器(≦100MPa, ≦200°C, 1L)、太陽熱パネル等を備えており、水素吸蔵合金及び太陽熱を利用した熱駆動水素昇圧の実証試験を行っています。また再生可能エネルギーで製造した水素をカードルに充填し、ステーションに供給すれば、燃料電池自動車で利用することも可能となります。
各種分析装置 100kW級系統連系試験設備・模擬負荷装置


【図5】電解放出型走査顕微鏡
装置例:電解放出型走査顕微鏡/エックス線回折装置/PCT特性評価装置/水素透過膜評価装置/表面張力計/熱伝導率測定装置/熱分析装置(TG-DTA/DSC) 単相3線200V、3相200V及び400V系の系統を模擬でき、周波数や電圧を変化させたり、短絡を発生させたりして模擬することもできます。
 

主な研究成果

  1. 水電解の劣化防止技術
      20kW太陽電池および5Nm³/時の水電解装置を用いて、太陽エネルギーの約15%を水素エネルギーに変換する事に成功しています。天候に依存し変動する電解電流をリチウムイオンキャパシタにより平滑化でき、これにより電解装置の長寿命化が期待できます。
    キャパシタを備えた太陽電池を直結した水電解装置による電解電流のデータ
    太陽電池の急激な電流上昇をキャパシタが充電し電流を平滑化しています

  2. 安全な水素貯蔵技術(燃えない水素吸蔵合金)
      非レアアースからなる安価な水素吸蔵合金を開発しました。写真で示すように、水素吸蔵・放出を繰返した後でも着火せず、消防法危険物非該当な合金です(認証取得)。

    【図6】金属粉の危険物判定(着火試験)

  3. 高温高圧域PCT測定技術
      最高100MPa、200℃の高温高圧域における合金のPCT(Pressure-Composition- Temperature)特性の取得が可能となりました。非危険物の熱駆動水素昇圧合金として期待されるBCC(Body-centered-cubic)合金の水素圧縮性能評価に成功しています。

    【図7】高温高圧域における合金の水素吸蔵放出特性

メンバー

役職 氏名  
研究チーム長 前田 哲彦 Maeda Tetsuhiko
主任研究員 遠藤 成輝 Endo Naruki
研究員 五舛目 清剛 Goshoume Kiyotaka
研究チーム付 牧野 貴至 Makino Takashi
研究チーム付 金久保 光央 Kanakubo Mitsuhiro
研究チーム付 河野 雄樹 Kono Yuki
国立研究開発法人産業技術総合研究所