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風力エネルギーチーム

高性能風車要素技術およびアセスメント技術

研究背景

 風力発電は実用化が進んでいますが、より一層の普及とグリッドパリティ実現に向け、更なる発電コストの低減が必要です。そのためには、風車本体のハード的な高性能化に加え、事前の適地選定・発電電力量評価、運転時の発電電力量予報技術といったソフト的な高度化が必要です。

研究目標

 当チームは、さらなる発電コストの低減に向け、高性能風車要素技術及びアセスメント技術の確立を目指すとともに、そうした優れた技術を国内の風力発電産業界とともに実用化につなげることにより、健全な国内導入量の発展と日本の風力発電産業の国際競争力向上に貢献します。


1.風車単体・ウィンドファーム全体を高性能化(高出力化・長寿命化)する要素技術を開発・実証することにより、
  発電電力量+5%以上、風車寿命+5~10%以上の向上の目標を掲げています。
2.風力発電アセスメント技術の高度化を達成することにより、誤差±5%以下、計測・評価コスト20~30%削減の
  目標を掲げています。
所内試験研究用風車に搭載したナセル搭載LIDARの計測事例(視線方向風速分布)

所内試験研究用風車に搭載した ナセル搭載LIDARの計測事例(視線方向風速分布)

※LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging(レーザ光によって風向・風速をリモート計測する装置)の略

研究内容

1.高性能風車要素技術

 風車の上流側の風速・風向を把握できる新しい技術としてナセル搭載LIDARに着目し、高性能なナセル搭載LIDARプロトタイプ機を開発・実証します。ナセル搭載LIDARによって得られる風車上流側の風速情報に基づき、風車の予見制御(ヨー制御、ピッチ制御)を行うことにより、風車の出力を改善するとともに、風車翼への荷重を減少させ風車の信頼性・寿命を改善することが可能であり、基礎研究、実証研究を進めています。

数値気象モデル

数値気象モデル

2.風力発電アセスメント技術の高度化

 洋上でのマストによる現場風況観測は実証研究を除き、経済的に極めて困難であることが挙げられます。高コストな洋上での現場観測に代わる新技術として、衛星リモートセンシング及び数値気象モデルを援用した洋上風況推定技術を開発しています。数値気象モデル及び衛星リモートセンシングの活用により、低コスト化(数億円(1/5~1/10)以下)が期待されています。

数値気象モデル

衛星リモートセンシング

主な研究設備

国内メーカ製のナセル搭載LIDARプロトタイプ機
(ナセル上の運転状況監視カメラによる撮影)
試験研究用風車
国内メーカ製のナセル搭載LIDARプロトタイプ機 試験研究用風車
風車前方(9方向)にレーザ光を照射し、風車上流側の風速・風向を計測・評価できる装置です。 (株)駒井ハルテックKWT300
定格出力:300kW、風車直径:33m、
ハブ高さ:41.5m

日本の厳しい外的条件(複雑地形起因高乱流、等)に耐えるように設計された風車です。産総研もその設計段階において共同研究を通じて協力・貢献しています。
地上設置LIDAR 衛星・気象データ処理システム 音源探査装置
地上設置LIDAR 衛星・気象データ処理システム 音源探査装置
地上高さ50~200m上空の風速を、地上からリモートで計測する装置です。 大規模な人工衛星データや気象データを保 存する約1PB(ペタバイト)のストレージとデータ処理を行う計算機システムです。 30個の音響センサで構成され、音の発信源(音源)を探査できる計測システムです。

最近の主な研究成果

1.ナセル搭載LIDARのフィールド実証結果【図1】

 高性能なナセル搭載LIDARにより、風車上流側の風速分布をリモート計測することに成功し、ナセル搭載LIDARによって得られる風車前方の風向情報を基に、±10°以上のヨーエラーの出現率を改善することで、最大で6%程度、風力エネルギーを多く得ることが可能であることを見出しました。

図1 ヨーエラー(流入風向に対する風車の向きの誤差)の頻度分布

【図1】 ヨーエラー(流入風向に対する風車の向きの誤差)の頻度分布

2.アセスメント技術の高度化(数値気象モデル)【図2】

 経産省ASTERデータを用いることにより、数値気象モデルの空間解像度を高解像度化するシミュレーション環境を整備しました。海上風シミュレーションに特化した高解像度海面水温データセットMOSST(Shimada 2015)を開発し、海面付近における大気安定度の再現性を大幅に改善しました。

図2 海面温度の各種データセットと観測データとの比較(大阪湾)

【図2】 海面温度の各種データセットと観測データとの比較(大阪湾)

3.アセスメント技術の高度化(衛星リモートセンシング)【図3】

 大気安定度を考慮したSAR(合成開口レーダ)による風速推定の補正手法を開発し、SAR風速推定における風向の依存性の課題(陸風の場合、SAR風速値は、実測値よりも過小評価傾向)を抽出しました。

図3 洋上観測鉄塔(沖合1km)の実測値とSAR推定風速の差(平塚)

【図3】 洋上観測鉄塔(沖合1km)の実測値とSAR推定風速の差(平塚)

メンバー

役 職 氏 名  
研究チーム長 小垣 哲也 Kogaki Tetsuya
主任研究員 竹山 優子 Takeyama Yuuko
研究員 嶋田 進 Shimada Susumu
研究員 川端 浩和 Kawabata Hirokazu
研究チーム付 阿部 裕幸 Abe Hiroyuki
研究チーム付 往岸 達也 Ohgishi Tatsuya