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太陽光チーム

薄型結晶シリコン太陽電池モジュール技術

研究背景

   太陽光発電は、2012年7月に開始された固定価格買取制度(FIT)により、急速に導入量が増加しています。それまでの住宅の屋根への設置に加えて、メガソーラーと呼ばれる大規模発電所が各地に設置されていますが、その結果として再エネ賦課金による国民負担も増加しています。このため、太陽光発電のコスト低減は、最も重要な課題となっています。

研究目標

   当チームでは、高効率・高信頼性モジュール(変換効率目標22%)を低コストで作製するための技術開発として、以下の課題に取り組んでいます。
  • シリコンインゴット高精度スライス技術(薄型ウェハの作製)
  • 高効率セル作製技術(PERC型セル、バックコンタクト型セルなど)
  • モジュールの高効率化・高信頼性化技術(新規評価技術や部材などの開発)
   また、次世代の高効率(セル変換効率30%以上)太陽電池の開発として、スマートスタック技術の研究にも取り組んでいます。これらの課題に取り組むことにより、2020年に14円/kWh、2030年に7円/kWhの発電コスト目標を先導するための技術開発を実施しています。
太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)

太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)

研究内容

   太陽光発電の将来にわたる持続的な普及・発展には、その中心となる結晶シリコン太陽電池セル・モジュールの一層の高効率化・低コスト化が必要です。当チームでは、結晶シリコンインゴットのスライスからセル・モジュールの製作までの一貫試作施設を保有し、ウェハ・セル・モジュールを一体とした研究開発を進めています。
   以下に主要な研究開発課題を示します。
  • 薄型ウェハの作製技術

       ダイヤモンドワイヤーを用いたスライス技術を開発しています。現在のウェハ厚さ(0.2mm)から 0.12-0.1mmへの薄型化を目指しています(セルの厚さ0.18mmから 0.1-0.08mm)。
       また、クラックや亀裂とウェハ強度低下の関係を解明することにより、薄くても割れにくいウェハの開発や、ウェハ洗浄工程などにおける歩留り向上を図っています。

    シリコンインゴット(左)と、スライス後の様子(右)
    シリコンインゴット(左)と、スライス後の様子(右)
    (ウェハ厚さは0.12mm)

  • 新しいセル作製プロセスの開発

       熱拡散技術だけではなくイオン注入技術を用いたセル作製プロセスの開発に取り組んでいます。このイオン注入技術を有効に用いることでバックコンタクトセル作製のための工程数を大幅に削減することを目指しています。

  • モジュールの信頼性向上・新規評価方法の開発

       絶対EL(Electroluminescence)法による電圧マッピングによる新しいモジュールの評価方法を開発しています。絶対EL法では、太陽電池に順バイアスをかけ、セルからの発光強度から個々のセルの電圧を破壊することなく評価が可能です。

    絶対EL(Electroluminescence)法による電圧マッピング
    絶対EL(Electroluminescence)法による電圧マッピング

  • 次世代多接合太陽電池「スマートスタック技術」

       バンドギャップの異なる様々な材料を接合する手段として、金属ナノ粒子配列を接合媒体として用いる技術「スマートスタックテクノロジー」を開発しました。金属ナノ粒子配列を用いた世界で初めての高効率多接合太陽電池であり、格子定数に関係なく様々な太陽電池の接合が簡単に可能になります。

    スマートスタックの方法
    スマートスタックの方法

       これまでにGaAs/InP系4接合太陽電池で変換効率31.6%、GaAs/CIGS系3接合太陽電池で24.2%を達成しています(産総研太陽光発電研究センターとの共同成果)。量産性にも優れた実用的手法として、対象を拡大しています。
       また、ボトムセルに薄型結晶シリコンを用いれば高効率・低コストを同時達成可能になります。FREAの結晶シリコン太陽電池技術とスマートスタックテクノロジーを融合し、結晶シリコン太陽電池の理論限界効率(29%)を超える「結晶シリコンスマートスタックセル」の開発を進めています。試作セル(GaAs/Si系3接合)において、変換効率24.7%を達成しています。

    GaAs/Si系3接合スマートスタックセル
    GaAs/Si系3接合スマートスタックセル

主な研究設備

電極焼成炉 スピンエッチング装置 イオン注入装置
電極焼成炉 スピンエッチング装置 イオン注入装置
電極に用いる銀ペーストと拡散層とのコンタクトやアルミBSF層を形成するための装置です。 ウェハを回転させながら片面をエッチングする装置です。保護膜なしで片面のみをエッチングできます。 リンやホウ素のイオンを加速して基板に打ち込むための装置です。精密な拡散の制御が可能です。

主な研究成果

  • 1.FREA標準セル作製プロセス(Al-BSF構造で、メーカの量産品と同等以上の、セル平均効率約19.3%の量産化試作施設)を確立しました。
  • 2.シリコンインゴットのダイヤモンドワイヤーを用いたスライスによる薄型ウェハ(厚さ0.12mm)の作製技術を確立しました。厚さ0.12mmウェハの量産に近い加工条件を確立し、歩留まり99.8%を達成しました。
  • 3.結晶シリコンスマートスタック技術を、GaAs/Si系の3接合セルに適用し、変換効率24.7%を達成しました。
  • 4.量産タイプのPERC型セルで20.5%、両面受光型セルで20%の作製プロセスを確立しました。
  • 5.イオン注入技術により、ピラミッド状の表面においても深さが均一な拡散層の形成に成功し、イオン注入技術によりセルの変換効率19.4%を達成しました。
  • 6.セル・モジュールの新しい評価技術(絶対EL法、内部量子効率マッピング法)を開発しました。絶対EL法は、スマートスタックセルのエネルギー損失評価法としても有効です。
FREA製結晶シリコンセル イオン注入により形成されたリン拡散層
FREA製結晶シリコンセル イオン注入により形成されたリン拡散層

メンバー

役職 氏名  
研究チーム長 高遠 秀尚 Takato Hidetaka
主任研究員 棚橋 克人 Tanahashi Katsuto
研究員 Mitchell Jonathon Mitchell Jonathon
研究員 望月 敏光 Mochizuki Toshimitsu
研究員 立花 福久 Tachibana Tomihisa
研究員 Joonwichien Supawan Joonwichien Supawan
研究員 上出 健仁 Kamide Kenji
研究チーム付 水野 英範 Mizuno Hidenori