本文へ

つくって学ぼう

Over the Rainbow♪♪ 虹のかなたに~分光器で光を分ける~

(2/4ページ)

実験結果の例

白熱電球と電球色の蛍光灯の光は人間の目にはほとんど同じに見えます。そのままでは同じに見える光を、この分光器で見るとどうなるでしょうか?

白熱電球をみると、こんな感じの光の帯のような虹が見えます。窓の外を見たときと同じような虹ですね。

虹と色の図

ところが、見た目は同じような光なのに、電球色の蛍光灯を見るとこんな変わった虹が見えるでしょう。白熱電球みたいに、つながった光の帯ではなくで、とびとびになっています。

蛍光灯の虹の図

白熱電灯と蛍光灯の虹は、なぜちがってみえるのでしょうか?じつは、そのヒミツは「光るしくみ」にあります。白熱電球は、フィラメントという電気を流しにくいものでできた細い線に電気を流しています。そのとき電気抵抗のために熱がでて、フィラメントの温度が高くなって光っているのです。このように温度が高いものから出る光は、非常に多くの種類の色の光が混じっています。だから、分光器で光を分けてみると、つながった光の帯の虹が見えます。太陽も高熱で光っているので、窓のそとの光も分光器で分けてみると同じような虹が見えるのです。

いっぽう蛍光灯は、別のしくみで光っています。ガラス管のなかで電子を飛ばして紫外線という光の一種を発生させます。ガラス管の内側には紫外線を吸収して目に見える光を出す蛍光物質というものが塗ってあります。この蛍光物質が光っているのが蛍光灯というわけです。ところが蛍光物質が出す光は色のついた光なので、蛍光灯は白っぽい光を出すように、何種類かの蛍光物質を混ぜています。だから、とびとびの虹が見えるのです。虹の1本がひとつの蛍光物質の光なのです。

このように、見た目でわからなくても、分光器という道具を使うと、光の違いがはっきりわかります。しかも、どうやって光っているかということのヒントまでわかってしまいました。

どうして光が分かれたのでしょう

回折格子には、たくさんの細かいみぞがほってあります。光は「波」の性質を持っています。波なので、この回折格子にあたると色によってちがった方向に光の向きが変わります。そのため箱のなかに虹があるように見えるのです。

分光器で光を分けて観察すると、人間の目では区別がつかない光でも簡単にちがいがわかってしまいました。何かを分けて観察することは、「科学する方法」としてとても大切な方法です。人間は「科学する心」を持って、「科学する方法」をうまく使って、科学を進歩させてきたのです。

スリットから入った光が分かれる様子を表した図

どんな役に立っているの?

光には、虹の色の見える光(可視光)のほかに、人間には見えない光の紫外線や赤外線があります。ものには色がついているものがありますが、色がついていないように見えても、紫外線や赤外線の「色」がついているものがたくさんあります。科学の研究では、そんな「見えない色」を調べることがとても役に立っています。光を分けてみると、少しの「色」の違いでもわかりやすくなるので、見える色や見えない色を調べるために分光器が使われています。また、分光器で光の出るしくみのヒントがわかったように、ものの性質のヒントもわかることがあります。

研究用には、もっと精密な分光器を使いますが、光を分けるために回折格子が多く使われています。回折格子を使わないしくみを使った装置も数多く使われるようになりましたが、回折格子で光を分けることは、大切な科学の方法としてこれからも役に立ち続けてくれるでしょう。