本文へ

English

 

日本の明るさ標準を作ろう

はじめに

 このページは、サイエンスキャンプ2002(主催:財団法人日本科学技術振興財団)において、産業技術総合研究所・計量標準総合センターが実施した「日本の明るさ標準を作ろう-照度計の製作と校正-」の講義・実験用テキストに基づいて編集されたものです。サイエンスキャンプは、全国の高校生、高等専門学校生を対象に実施される、体験型科学実習プログラムです(下記リンク参照)。

 なお、ここで紹介されている照度計の校正方法は、実習プログラム用に大幅に単純化して行った簡易的な方法であり、実際に計量標準総合センターが行っている方法とは異なります。現在の校正方法については、光放射標準研究室(opt-rad-ml[a]aist.go.jp([a]を@に変更))までお問い合せ下さい。

●計量標準については「ものさしのふるさと」により詳しく書かれています。

(参考)サイエンスキャンプ関連のリンク先
サイエンスキャンプ公式Webページ(日本科学技術振興財団)
サイエンスキャンプ2002 計量標準総合センタープログラム(日本科学技術振興財団)
サイエンスキャンプ2002イベント案内(産総研)


基礎編

計量と国際単位系

 ものをはかることを「計量」と言います。計量の世界は、はかる対象(物理量)とはかる道具(測定器)とから成り立っています。例えば、「長さ」という対象に対して、「物差し」という道具がある、という具合です。明るさを表す量「照度」もはかる対象のひとつであり、「照度計」という道具ではかることができます。

物理量と「ものさし・はかり」(測定器)

長さ 物差し・メジャー 電流 電流計
質量 上皿秤・天秤 電圧 電圧計
時間 ストップウオッチ 電力 電力計
温度 温度計 光度 −−
湿度 湿度計 全光束 −−
真空 真空計 照度 照度系

計量標準とは

 物差しの目盛りがなかったり、デタラメだったりすると使い物になりません。測定器は共通のルールを持つ必要があるのです。しかし、ルール統一のために、全国の物差しを一堂に集めるわけにも行きません。そこで、標準となる物差しを決め(これを標準器といいます)、それと比較することにより、標準物差しとそっくりな目盛りを持った物差しを作ります。それを順に繰返すことにより、共通ルールをつくることが出来ます。国内だけでなく、国際的にもルールは共通である必要があります。またおおもとの標準器は、いつも正確であるよう保存しなければなりません。

 私たち産業技術総合研究所は、上に述べたことを実現するために、主に次のような業務を行っています。なお、「物差し」は物理量一般に読み換えることができます。

  • 国内:標準の供給、標準器の開発・維持
  • 国際:国際比較、メートル条約(SI)
  • 国内最高レベルの測定技術の開発

国際単位系(SI、Le Systême international d'unitês)

 国際共通ルールの根幹をなすものが、国際単位系(SI)です。現在、7種類の「基本単位」が定められており、光度単位カンデラ(candela)もその一つです。

1875  メートル条約締結(日本加入は1886年)
1889  最初のSI単位系設定

長さ m 温度 K
質量 kg 物質量 mol
時間 s 光度 cd(カンデラ)
電流 A "candela"

 先ほど述べた標準「物差し」を全国で維持するのは、実は大変な作業です。その代わり、各国の標準がいつでも実現(再現)できるよう、国際的な厳格な「定義」を定める、という方向性が現在の主流です。例えばかつては「メートル原器」が存在した長さの世界も、現在では下記のような定義に置き換わっています。

 (リンク先として「やさしい科学解説:ものさしのふるさと」)

1mの定義:
 「光が1/299792458秒の間に真空中を進む行程の長さを1メートルとする」(1983)

 これから少しずつ、今回の本題に入っていきます。では、光度単位カンデラの定義を見てみましょう。

1cdの定義:
 「周波数540×1012Hz(波長555nm)の単色放射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎ステラジアンであるその光源の、その方向における光度である」(1979)

 ずいぶんと複雑な定義ですが、「光度」とはそもそもどういった量なのでしょう?


光度と光束

 光源(例えばランプ)の明るさを表す量として、SI基本単位である「光度」(単位カンデラ、cd)、そして「光束」(単位ルーメン、lm)があります。2つの量の違いを図に示します。

光度と光束

 「光束」は、すべての方向に放出される光の総量を表す「全光束」として、電球の性能を表すのに用いられます。

 「光度」は、単位角(立体角1ステラジアン)あたりの「光束」として定義されています。光度の単位カンデラは、7つのSI基本単位中、唯一人間の感覚(視覚)に結びつく「心理物理量」である、という特徴をもっています。心理物理量の仲間には「騒音」(ホン)等があります。

 では、人間の眼の感じる「明るさ」をどうやって「量」として表すのでしょうか?

次のページへ

▲ ページトップへ

国立研究開発法人産業技術総合研究所