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遺伝子の正体

遺伝子、DNA、染色体、そして最近話題になっているゲノム。
なんとなく分かっているような気はするけれど、
よくよく考えてみるとそれぞれの使い分けが難しいこれらの言葉。
ここで一回整理しておきましょう。

染色体

 生物の体は細胞でできています。細胞の中には核と呼ばれる構造体があります。染色体は、その核の中にあります。

 染色体はヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAが巻き付いた棒状の固まりです。染色体は通常は核の内部でほどけていて、顕微鏡で見ても形がはっきり分かりません。ところが、細胞分裂のときがくると、棒状のはっきりとした姿を現します。

 ヒトの場合、一つの細胞の中に22対の常染色体と1対の性染色体が現れるのですが、性染色体は女性では2本のX染色体なのに対し、男性ではX染色体とY染色体と、異なる染色体になっています。このことから、Y染色体が性別を決めるカギを握っていると考えられています。

 また、染色体という名前は、ギムザ液というアルカリ性の色素でよく染まるところから付けられたものです。

DNA(デオキシリボ核酸)

 DNAとは、デオキシリボースという糖を含む核酸(酸性の化学物質)のことで、デオキシリボ核酸とも言われます。DNAは「塩基」「糖(デオキシリボース)」「リン酸」と呼ばれる化合物が一つずつ結合したものが最小単位(この単位をヌクレオチドと言う)となっています。その最小単位がリン酸を媒介につながり、鎖のようになります。2本の鎖の「塩基」と「塩基」がさらに結びつき、二重のらせん状の形となります。

 「塩基」には「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」「チミン(T)」の4種類あり、各最小単位にはこの内のどれかが結合しています。そして、AはTとのみ、GはCとのみ結合します。従って、2本の鎖の結合部は必ずその2種類の塩基の組み合わせになっています。この塩基の並び方が遺伝暗号になっており、生物の設計図になっていることが分かっています。

 ちなみにDNAの二重らせんモデルを提唱したのは、アメリカの科学者、ジェームズ・ワトソンとイギリスの科学者フランシス・クリックの二人で、昭和28年(1953)のことでした。

遺伝子

 生物のからだを形作っている細胞では、主にタンパク質が中心に働いています。そのタンパク質の構造にかかわる暗号部分と、その暗号の読み取りを指令する部分が遺伝子です。

 DNAのところで説明したように、塩基には決まった結合のルールがあります。そしてその結びついた塩基のパターンによって、タンパク質の合成のされ方が決まるのです。

 DNAの中で、遺伝暗号をもっている遺伝子といわれる部分は、DNA全体の数パーセントに過ぎないと考えられています。

 それぞれの遺伝子が持っている遺伝暗号に従って、筋肉や体内でいろいろな働きをする酵素やホルモンなどの、さまざまなタンパク質が作られていきます。

ゲノム

 細胞内の染色体の数は、生物の種類によって違います。高等動物、高等植物の場合、同じ染色体が対で存在します。つまり、一つの細胞に染色体のセットが2セット入っているということです。

 この、生物が正常な生命活動を保持するための基本となる1セット全体のDNAのことを、ゲノムといいます。

 たとえば人間の染色体は22対の常染色体(全部で44本)と、1対の性染色体(全部で2本。女性はX染色体2本、男性はX染色体とY染色体)が核の中に入っています。このうちの1セット(22本の常染色体とXかYの性染色体)の中に入っているすべてのDNAを、ヒトのゲノム、すなわちヒトゲノムと呼びます。

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