読んで学ぼう
2020年9月更新
ものごとの量をはかる単位として、世界共通の国際単位系(SI)が使われています。
国際単位系(SI)の起源は、フランスで最初に考えられたメートル法です。SIには基本となる7つの単位があり、それらをSI基本単位と呼びます。
それぞれの量をはかる単位と、その大きさを何を基準にして決めるかがSIで決められています。
その基準には、例えば光の速さなど、自然界で変化しない量を用いています。
では、SI基本単位について簡単にご紹介しましょう。
時間の単位は、秒 (s) です。
どれくらいの時間を1sというのかは、セシウムという原子に発生させた電磁波の振動数で決められています。
1sは、セシウム原子がある条件で発生する電磁波が、9192631770回振動するのにかかる時間です。
長さの単位は、メートル(m) です。
どれくらいの長さを1mというのかは、光の速さで決められています。
1mは、299792458分の1秒間に光が真空中を進む長さです。
質量(重さ)の単位は、キログラム(kg) です。
どれくらいの質量を1kgというのかは、原子の重さや光のエネルギーに関係のある「プランク定数」によって決められています。例えば、1kgは、シリコンという原子をおよそ20兆の1兆倍個集めたときの重さとして決めることができます。
電流の単位は、アンペア(A) です。
どのくらいの電流を1Aというのかは、電子の電荷の大きさと、その電荷が1秒間に何個運ばれるかで決められています。
1Aは、電子の電荷を1.602176634×10-19クーロン(C)とし、その電荷が1秒間に6.241509074×1018個運ばれるときの電流の大きさです。
温度の単位は、ケルビン(K)です。
どのくらいの温度変化を1Kというのかは、熱力学において物体に温度変化を与えたときのエネルギーの変化をもとに求められます(※)。例えば、理想気体の単原子分子を考えると、1Kの温度変化は、単原子分子の1個あたりの平均運動エネルギーに3/2×(1.380649×10-23) ジュール(J)の変化をもたらします。
※ 熱力学において分子の大きさも分子間の相互作用もない単原子分子からなる理想気体では、分子1個の平均運動エネルギーは、1/2mν² = 3/2kT のように温度(正しくは、「熱力学温度」という)Tと比例関係が成立します。但し、mは気体分子の質量、ν²は気体分子の速度の二乗平均、そして、kはボルツマン定数で、その値は1.380649×10-23J/Kです。なお、温度としてセルシウス度[℃]の単位で表されるセルシウス温度tが広く普及していますが、これは、熱力学温度Tの値から273.15を差し引くことで求められます(t [℃] = T [K]-273.15)。
物質量の単位は、モル(mol)です。
どのくらいの物質量を1molというのかは、系に含まれる原子や分子、イオンなどの粒子の数で決められています。
1molは、6.02214076×1023個の粒子を含みます。
6.02214076×1023mol-1をアボガドロ定数NAといいます。
※ 以前の定義では「1molは、0.012kgの炭素12(12C)に存在する原子の数と等しい粒子の数」で、キログラムという質量の単位に依存していましたが、新しい定義ではその依存性が無くなりました。
光度の単位は、カンデラ(cd)です。
どのくらいの光度を1cdというかは、光の強さで決められています。ここで言う「光の強さ」には、人間の目の感度の情報が含まれています。
1cdとは、周波数540×1012Hzの単色光を発する光源の、ある決められた方向での放射強度が(1/683)W/srであるとき、その方向における光度です。
7つのSI基本単位について簡単に紹介してきましたが、ここでSI基本単位に関係する7つの量の数値をまとめてご紹介します。
これら7つの量の数値は、2018年の第26回国際度量衡総会で、国際的に”定義”され(決められ)ました。
”定義された”これらの量は、測定して決めるのではなく、この数字に決まっているものとして、ほかの測定や計算に使われます。
ある単位であらわされた量の大きさを数値で表すのに便利なように、10の整数乗倍の大きさを表す接頭語を使うことができます。(例:1 km = 1000 m、1 fs(フェムト秒) = 10-15 s など)
量をはかる単位についてもっと詳しく知りたい方は、NMIJ『大人も子供も 学べるコーナー』にもっと詳しい内容がありますよ。
重さの単位であるキログラムの定義は、2019年5月20日に新しいものに変わりました。詳しくは、「キログラムの定義が変わる!究極の精密測定が科学の「基準」をつくる」も読んでみてください。