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先カンブリア時代が現存!?

35億年の記憶をもった微生物!?

鉱泉のマンガン細菌

 北海道足寄(あしょろ)町。そこには日本でも珍しい、温泉そのものが滝となって流れ落ちる「湯の滝」と呼ばれる秘境があります。その滝の岩肌は黒光りし、なにやら異様な景観を呈しています。

 今から十数年前のことでした。北海道大学理学部長の針谷宥教授(故人)は以前から時々、この地を訪れその黒い岩肌を調べていました。その結果、滝の岩肌が二酸化マンガンでおおわれていて、黒い沈澱が生成していることが分かったのですが、当時はこの現象のメカニズムはまだ謎でした(後で、微生物の働きで起きていると判明する)。

 二酸化マンガンと言えば鉄と並んで重要な鉱物で、私たちには乾電池に使われていることで知られています。そしてその二酸化マンガンは、海底か、昔、海底であった地層の中からしか発見されていなかったのです。つまり、世界でも例を見ない大発見だったわけです。しかもさらに驚くべきことは、調査に行くたびに「湯の滝」の二酸化マンガンの量が増えていたのです。

 この情報は、海底のマンガン生成のナゾを解明するために、船の上で奮闘している一人の研究者を興奮させました。

 「とにかく、その現場を見たい。
  地上に二酸化マンガンが沈殿するなんてことがあり得るのだろうか、
  しかも今まさに増え続けているかもしれないという…」

 それが本当に事実であれば、先カンブリア時代がそのまま日本の中に保存されていることになるのです!

 研究者の頭の中は、「湯の滝」のことで一杯になりました。

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